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2004.04.22

フェミニズム運動について

瀬戸智子の実験教室「やじろべえ日記」で、ジェンダーフリーやフェミニズムについて
以前書きました。
いろいろ、意見をいただいたので、
weblogでも、考えていきたいと思いました。
まず、以前書いた文に加筆修正して掲載します。

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フェミニズム運動は難しい。
問題の本質が見えにくいからです。
「男女差別」はあるか?
と、問われれば
「ある」と大方の女性は答えると思います。
家庭、職場、学校、そして社会の中で
いろんな局面で、「差別」に遭遇するのです。
しかし、「ではどのように解決をすればいいか」という打開策、対応策について言及すると、
百家争鳴。百人いれば百人の答え、考えがあります。
なぜなら「男女差別」はあらゆる差別の中で全ての人が男、女に関わらず
公平に平等に受益、損益を受けている差別だからです。
(階級差別、民族差別、宗教差別、、、などの問題は
これらの関係者だけが差別に関している、という意味でです。)
世界の、日本のフェミニズム運動の流れを見ただけでも頭がクラクラ。
本流から支流ができ、いつのまにか本流が無くなりと、、、
あるいは初めの説が変節したり、なかなか大変です。
私個人の意見を言えば、
「フェミニズム運動」の流れの中で、女性が女性を攻撃していくという
悲しい論争だけはして欲しくないな、ということです。
例えば、「主婦論争」
働く女性たちにとっていちばん槍玉に挙げられる専業主婦。
「貴女たちが、そんな甘い考えだから、いつまでたっても女性の立場は低いのよ。」
と、言ってエリート女性たちは、女性の権利を拡張していきました。
しかし、その実、行われたことは「深夜労働、危険物取り扱い、、、、」
いろんな分野に女性が進出していく中で、「保護」されるべきものが見えなくなってきた感がします。
「保護」を求める女性たちを、同じ女性たちが「甘え」と斬り捨てていく、、、
その動きに翻弄されるのが、実は男性たちでもあります。
男性たちにとっても、
女性差別が、居心地のいいものでないことにソロソロ気がついてきました。
では、全ての人たちが手を取り合えばいい??。
しかし、問題はそう単純ではないのです。
そこに資本の論理が入ってくるから、
「男女差別は階級差別でもある」と私は思います。
未来の子どもたちによりよい物を残すために
不問に付してはならない大切な問題です。
社会全体が変わっていくには時間がかかります。
ただ、変わっているのも事実です。
諸々の問題を抱えつつも、世の中は次第にジェンダーフリーの方に動いています。
婦人参政権のない時代もありました。
女性が働くなんて想像もできない時代もあったのです。
ましてや「離婚」を女性の側から突きつける時代にもなりました。
ゆっくり、確実に「真の意味での男女同権」の時代に近づいていると信じたいものです。
勿論、逆行している方針や政策もあります。
その一つ一つに丁寧に対応していかなければなりません。
何回も書いているように
私個人はジェンダーフリーの立場に立っているのですが、
今の行政が指導する方法には疑問を呈しています。
いきすぎたジェンダーフリーは、定着しないというのが
過去のフェミニズム運動の示しているところです。
ともすれば、一つの視点だけにこだわると、全体が見えにくくなります。
次代を担う子どもたちにジェンダーフリーを教えることは大切ですが、
小手先だけのやり方ではかえって逆効果。
人間としての尊厳を教えること、
両性を尊敬すること、
などをまず伝えていくべきだと私は思います。
カワイイ、と思った女子には
感情のままに「カワイイ!!」と言ってもいいのではないでしょうか。
「もっと、ガンバレヨ、オイオイ」とはっぱをかけるときは
男子生徒に「もっと逞しく」と言っても、なんらおかしいことではないと思います。
「逞しさ、やさしさは作られたものである」と考える方が変です。
これは、個人の属性です。
まなじりあげて抗議する問題ではないと考えます。
ほかにもっと一杯考えるべき問題はあります。
例えば、就労のこととか、家庭のことなど、両性で協力していかなければならないこと。
人間という観点から出発していない教育現場の付け刃な方法はいずれ破綻するでしょう。
破綻して負の遺産をついでから、男女の尊厳、権利を子どもたちに教えることは大変です。

ここまで来ると、やはり私はいつものように
「オイオイ、文科省サン、もうちょっと親身になってくれよ〜〜〜」と不平を漏らすのです。
みなさんはどのように思われますか?

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コメント

私はこの問題について真剣に考えたことがないのでよくわかりません(なら書くな)。
が、生活に密着した部分に限っては実感があります。
うちの奥さんが「恐い」です。長年に渡って私はいろいろ教育されて、今では洗濯も料理も分担すべきことはして自分のことは自分でするようにしつけられました(おかげで独りでも生きていける!)
 男と女の生物学的特徴や習性があると思うので(脳の話しかり)、なんでもかんでも理屈でやるのは反対だなぁ。形式的にかみついてくる女性の意見はどうも賛成しかねます。

 それから昨日私の働く塾の一つの女性オーナーとの世間話のなかで、「主婦と話すると、最近はちょっとイライラしちゃう」ということを、今日の瀬戸さんの「女性が女性を攻撃していくという悲しい論争」という発言を見て思い出しました。これは別のところに問題があると思いました。

投稿: aranxp | 2004.04.22 13:38

aranxp さん、こんにちは。
書き込み有り難うございます。
思わず、声に出して笑ってしまいました。
姿が彷彿と目に浮かびます。
夫がこの書き込みを見たらきっと言うでしょう。
「お〜〜,aran。おまえもか、、、」と。

また、主婦の問題って難しいですね。
この問題はおいそれとは「発言」できませんが、
ゆっくり、時間をかけて考えていきたいです。
ご意見待っています。

投稿: せとともこ | 2004.04.22 15:49

初めまして。
トラバされていたので、お礼参りをしにきました。

 僕の家庭環境において、女性は働くものと思っていたので、ジェンダーフリー問題は、そんなにピンと来るものではありませんでした。
父も母のことを尊重してましたし。
多分、生まれたときからジェンダーフリーの立場でだったのかもしれません。
だから、女性が働かないと言う状況は逆に違和感を感じます。

 こんな僕が思うのは、男性と同じような割合で女性が働きかつ同じような割合でそれぞれの役職につけば、徐々にジェンダーフリーな社会になっていくのだと思います。
というのも、日本人は与えられた状況を徐々に受け入れてそれが普通だと思うようになる国民ですから。

 話は変わりますが、実は(?)25年間1998年まで広島に住んでいました。
大学も広島大学です。
学部が霞(ローカルですいません)にあったので、西条に通うことはなかったのですが。
 また、高校の頃、高屋から来ていた友達の家に遊びに言ったりしたこともあり、ちょっと親近感を覚えました。
 突然変なこと書いてすいません。

投稿: すし | 2004.04.24 12:48

すし さん。
おはようございます。
書き込み有り難うございます。

>こんな僕が思うのは、男性と同じような割合で女性が働きかつ同じような割合でそれぞれの役職につけば、徐々にジェンダーフリーな社会になっていくのだと思います。
というのも、日本人は与えられた状況を徐々に受け入れてそれが普通だと思うようになる国民ですから。

本当おっしゃるとおりだと思います。
徐々にでは変わって来ています。
ただ、その変わり方が「オイオイ、、、」
なんて思うときもあるのです。
例えば学校教育の中でのジェンダーフリーとか、、、
問題は山積です。
一つ一つ丁寧にやらなければなりませんねぇ〜〜

さて、話は変わって
すしさんは広島だったのですか!!
それは嬉しい。
なるほど、、、
これからもよろしくお願いいたし増す。

投稿: せとともこ | 2004.04.25 11:27

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