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2004.04.30

国語教育の必要性

このところ、よくメールをいただきます。
それは、「作文教室」についての問い合わせです。
「子どもに どうのようにして作文を書かせるか?」と
いうことから、
「いかに人間として成長できるか?」
に至まで親の悩みは尽きないわけです。
そんな悩みの、一つの受け皿として
メールを私に送ってくださいます。
有り難うございます。

「学校教育の大切さ」を痛感しています。
今日は、瀬戸智子の実験教室 の「作文教室の扉」とにかく書こうの文を掲載します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


国語教育って難しいの一言につきます。
多くの子どもとお母さんが
「どうしたら、国語が好きになりますか?」
と私の所に聞きにきます。
この場合は多くは「すき」=「いい点が取れる」なんです。
確かに国語ってどんな風に勉強していいかわかりません。
とくに現代国語の長文にいたっては「おてあげ状態」
です。
出題者と自分の感性,自分の考えが合うかどうか、
ただこの一点にかかっていると云っても言い過ぎではありません。
仕方がないのでテスト勉強は「まあ漢字と文法くらいかな、、、」となります。
あとは「本を読む」くらいです。

以前、小学校4年生の子と、国語の問題集を勉強していたときのことです。
まず、長い文が書かれています。
(主人公の名前を変え、要約のみ下に書きます。)
 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  
ここに心優しいライオンと、したたかなキツネがいます。
いつものようにキツネがやってきてライオンにいいました。
~なんて立派で強いライオンさん〜
キツネにそういわれると、ライオンは空に向かって一飛び。
そして子鳥を捕まえます。
その子鳥をキツネはしっかりと手に押さえ
〜ああ、、、なんて、強いライオンさん〜
と言いながら、ニヤニヤ笑いながら去っていきます。
キツネがいなくなると、ライオンは大きくため息をしました。
「ああ、今日も疲れたな」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

このような話がまず書かれていて、
次にいろいろ質問があります。
その中の一つ
「なぜ、ライオンは疲れたと思いますか?」

みなさんは何故と思われますか?
子どもたちはいろんな答えを出してくれました。
「やりたくないことをした」
「強いふりをした」
などなど
しかし、どの子も違っていました。
正解は
「ライオンが疲れたのは小鳥を捕ったから」
というものだったのです。

私はこの答えを見て愕然としました。
「こ、こんな、、、
こんな表面的な解答を子どもたちに求めていたのか」と驚きもしました。

作者が伝えたかった事は、はたしてそんな事でしょうか?
「本当は強いと云われているものの優しさ、悲しみ」
「心ないことをした痛み」だったのではないでしょうか。
複雑な心の機微、ゆれうごく気持ち、そんなあんなを
考える所にこの本の意義があったはずなのに、
「国語の問題」という洗礼を受けるとこんな具合になったのです。
あのような正解を「良し」とする子にはなってもらいたくないと私個人は思っています。

あれ以来、私は子どもたちに
「国語のテストにしゃかりきになるより、
自分で作文を書いたり、本を読みなさい」と声を大きくして言っています。

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コメント

私は、「ライオンは強い、という皆の期待に毎日応えねばならないから」と思いました。
 読む人によって答えが違ってきますね。それではまずいので、客観的な答えとして「文章に書いてあること」の中から考えるというのが国語の問題の原則ではないかと思っています。
 ただこの問題の場合「どう思いますか?」ときいているので、文章中には書いていない複数の解答を用意しておくのがいいのかと思いました。ただそれだとどこまでを許容するかという問題が出てきます。
国語の出題についてよく考えたことがないのですが、国語業界(?)ではどのように考えられているのでしょうか?

投稿: aranxp | 2004.04.30 13:24

 「言葉」について以前Webに掲載していた文章を改稿してblogに載せましたので、トラックバックさせていただきました。
 国語の貧困は、仕事がら子どもたちに接する機会が多いので、このところ痛切に感じていました。私が昼間に指導している大学受験生にも同様のことがいえる問題なので、これはここ数年にはじまったことではないのでしょうけれど。
 彼らの多くは単語の羅列でしゃべります。論理的でないというか、感覚的というか。深く考えもしないでしゃべり、情緒的にとらえがちです。感想をもとめても「好き」「きらい」「かわいそう」「ムカつく」「わからない」などと言い、理由をきくと「なんとなく」などと答えます。

 文部科学省は小学生のころから英語を教えることを検討しているそうですが、それ以前にもっと国語教育を充実させて、日本語の多様な表現や細やかな感受性を子どもたちに教えておいてもらいたいものです。自分のまわりにいる人とのコミュニケーションに不自由がない表現力を身につければ、やがて外国語を学ぶときにも、それを用いて海外の人々との意思疎通をするときにもきっと役に立つでしょうからね。外国語を学ぶのはそれからでも遅くはないでしょう。

 私は予備校生には午後に講義し、中学生相手には夜に講義する仕事なので、家を出るのはお昼過ぎです。出かける前に時計代わりに見てるのが、今BS2でやっている 20世紀はじめのフィンランドが舞台の「牧場の少女カトリ」っていうアニメーションです。もうじき最終回を迎えますが、4月29日からは、どういうわけか新たに朝の時間帯にもういちど第1話から放送しているようです。

 はじめて放送されたのはもう20年近く前で、私が高校生のころだったと思います。主人公は学問をすることに憧れをいだく健気な女の子です。奉公先で出会った大学生の青年や、当時は珍しかった女医さんたちに気に入られ、本を贈られ喜ぶシーンには当時非常に感動したのを覚えています。主人公の女の子は家庭の境遇は恵まれてはいませんでしたが、素直で働き者で勤勉で、誰からも好かれる子なのがとても救いでした。原作は日本では戦前から「牧場の少女」として少女小説として紹介されていたそうですが、劇中で時おり流れるシベリウス「フィンランディア」は森と湖の国とやさしい人々への憧れを抱かせます。この作品は「学ぶことの楽しさ」「学ぶ喜び」っていうものをあらためて思い出させてくれました。

投稿: Rough Tone | 2004.04.30 22:19

精神病理学の世界は言語をかなり重要視しています。
そのことについてトラックバックしていただきました。
国語は重要です。

ずっと前に大阪での病気の治癒率は非常に高いとのアンケート結果が出たことがありました。医師と患者のコミュニケーションが良好だからだそうです。相手を知る、自分を理解してもらう。これからますます重要になるでしょうね。

感じたことをあらためて言葉にすることによって、自分自身も自分のことをよりよく理解できるのではないでしょうか?

投稿: mossarin | 2004.05.01 09:45

aranxpさん、
Rough Toneさん、
mossarinさん。
おはようございます。
書き込み有り難うございます。
また沢山トラックバックしていただいて、
有り難うございました。
トラックバック、書き込み、拝見して
ますます国語教育の重要性を感じます。
一時期大野晋さんの「日本語」という本が爆発的に売れましたが、
やはり多くの方が、いまの国語教育のあり方に問題を感じつつ、
どうしたらいいか模索しているのでしょうね、、、
これからも、このテーマについては、
「学力」と共に考えていきたいと思います。
また、ご意見、感想などお知らせください。
よろしくお願いいたします。

投稿: せとともこ | 2004.05.02 09:15

瀬戸さん、トラックバックありがとうございます。瀬戸さんにメールを書こうと思いつつ、今になってしまいまいした。以前松戸にお住まいだったとか。びっくりです。ホームページは、図解などが入っていてとても分かりやすいですね。作文について、教室のお母さんからいただいた質問を記事にしました。また、トラックバックさせていただきますね。

投稿: ぶんぶんちゃん | 2004.06.18 18:35

ぶんぶんちゃん。
おはようございます。
書き込み有り難うございます。
私も、よくぶんぶんちゃんのブログ、読ませていただいています。
ぶんぶんちゃんの、エネルギー、熱意が伝わってきます。
国語って、本当に難しい。
言葉では、全てを語ることができない。
面と向かっていても、理解が及ばないことがあるのに、
ましてや、文字だけの文から、真意を測るって難しいですね、、、
そうは言っても、
「文は人なり」
文から人柄ってそこはかとなく伝わってきます。
そういう意味でも、
人間としての質を高めていきたいと、願っている今日この頃。
これからも、どうぞよろしくお付き合いくださいね。
今度は教育論なんかお聞かせくださいね。

なお、以前は松戸にいましたよ、、、、
あのままいたら、サッカーは柏サポ。
かな???
じゃ〜〜〜
また。

投稿: せとともこ | 2004.06.20 08:36

初めまして「にわか教育パパの世迷言」のばかぼん父です。
この度はトラックバックをありがとうございました。
よろしくお願いいたします。
このライオンの問題は、aranxpさんに一票です。
「まずどう思いますか?」と言う問いで記述なら
何を書いても正解でなければ日本語として成立しません。
選択問題なら「ライオンはキツネの期待に応えることに気疲れした。」に近いものを選びます。
根拠は、ライオンの性格を「心やさしい」とし、「したたかな」といわれているのがキツネ一頭しかいません。
小鳥を捕まえるのに要した労力は「ひととび」です。これで疲れるくらいなら断ればよい。
なのになぜ、ライオンは小鳥を捕まえたのか?と考えるしか、
問題文中にヒントがありません。

もし書かれている通りの国語教師がいるとしたら、
その学校へは子供を入れないということだけは
間違いありません。

投稿: ばかぼん父 | 2004.10.02 15:13

ばかぼん父さん。
こんにちは。
コメント有り難うございます。
古い記事をトラックバックさせていただいて、有り難うございました。

さて、
本当に仰るとおりと私も思います。
私の書き方が、不十分でした。
私としたら、
その問題の答えうんぬんかんぬん
より、本質的なことを伝えたいと思ったので、
(つまり、短絡的な答えを求める問題が多い、ということ)
一つの例として問題、あげただけですので、
「日本語としてなりたたない」
問題がそもそもあったわけではないのです。
これからも、
お気づきのことがありましたら、
教えてください。
よろしくお願いいたします。
では。

投稿: せとともこ | 2004.10.03 14:40

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