« シナリオはできた | トップページ | ストレスを受け止める仕事 »

2004.09.15

水上勉と般若心経

作家、水上勉が亡くなりました。
9月8日、享年85才。
心からご冥福をお祈りいたします。

水上勉といえば、代表作は「飢餓海峡」。
あるいは、「雁の寺」や「越前竹人形」などが有名です。
しかし、
私は水上さんの作品では「般若心経を読む」が一番好きです。
これは、小説ではなくて、水上さんがご自分の一生を、般若心経の教えに鏤められている「色即是空」と、
照らし合わせて書かれているエッセィーです。
私は、それまで多くの「般若心経」の解釈や解説を読みましたが、
水上さんの本ほど、頭をガ〜〜〜ンと打たれ、
胸にズキンズキンと血が沸き上がる解説(?)はありませんでした。
一言で言えば、
「壮絶」
なのです。
本の帯には、こう書いてあります。
〜〜〜〜〜〜
人間はなぜ瑣事に悩み、色に惑うのか。
悩み、惑い続けながら、なぜ「生」に執着し「色」に執着するのか。
自ら煩悩の熱い炎に焼かれ身悶えしながら、なお人間の真実に迫ろうとする水上勉が、一筋の光明を求め、「心経」を一休和尚に問い、正眼国師に質す。
その苦悩の果ての悟りとは、、、、、
〜〜〜〜〜〜
のたうち回り、自らを「愚かだ」、おろかだと、言い、
這いずり回って、その生を生き抜いた水上勉。
この本を読みながら、
私は「安心」をしました。
人間の極限に追い詰められた「愚かさ」は、まさに自分のものであり、
自分こそが、「この のたうち回っている水上勉である」。
「生きる」ということが、どんなに凄まじいものであるかを、教えてくれます。
そして、
「不浄である」人間に一縷の光を、確かに指し示してくれる本であると、私は思います。
人間が、間違いを犯す者であることは、古今東西、多くの哲学、文学で語られています。
間違いをおかす 故、
神(仏)は無謬である、と思いたい。
しかし、その神(仏)とて、人間が愚かな知恵で生み出したものである。
神(仏)もまた然り。
人は、神(仏)と共に、
愚かさを共有して、生きていかなければならないのでしょうか???
ひたすら、
愚かに、生きまくった水上勉。
そして、
真実を探し求めた水上勉。
その壮絶で迫力ある「生」は、
今、土に帰った。
本当に、
ほんとうに、
冥福を祈り、
そして感謝を捧げたいと思います。
ありがとうございました。

|

« シナリオはできた | トップページ | ストレスを受け止める仕事 »

コメント

こちらでは始めまして、涼 です。

この本は知りませんでした。読んでみようと思います。
トラックバックを有り難うございました。

投稿: | 2004.09.15 18:07

涼さん。
こんにちは。
その後、いかがお過ごしですか???

さて、水上勉の本、読まれたら、
是非、感想などお聞かせください。
楽しみにしています。
では、、、

投稿: せとともこ | 2004.09.17 13:10

「般若心経を読む」ですか?
涼さんと同じく僕も知りませんでした。

「飢餓海峡」くらいの有名作あたりなら知ってたんですけど。
こういう名作を描く作家さんとリアルタイムを共有できた僕達って案外幸運なのかもしれませんね。…亡くなってからこんな事思うなんて遅すぎますが。

水上さんのご冥福を祈りつつ僕も「般若心経を読む」を読んでみようと思います。

投稿: ろぷ | 2004.11.28 19:31

ろぶさん。
こんにちは。
コメント有り難うございます。

そうなんですよね。
水上勉のこの本は、私もたまたま見つけたのです。
他の本に比べて、エッセイーということもあって、あまり知られていませんが、
私にとっては、迫力のある本でした。
ろぶさんも、お時間があったら是非ご覧ください。
感想など、またお聞かせくださいね。
楽しみにしています。

それにしても、ろぶさん。
私たちって、今、大変な時を生きているのかもしれませんね。
歴史の教科書をなんページも割くような時代なのかも、、、
なぁんてこの頃思います。
一体、どんな未来が待っているのか???
と、思わざる負えません。
では、、、
また。

投稿: せとともこ | 2004.11.29 16:16

はじめまして。
お経そのものも結構楽しいです。
おすすめです!

投稿: 理人 | 2007.08.29 22:20

理人さん。
はじめまして。
コメントありがとうございます。
理人さんのブログも拝見しました。

私も般若心経には興味を持っています。
力を与えて頂いているように感じます。
また音の響きも好きです。

またいろいろお教えくださいね。
これからも宜しくお願いいたします。

投稿: せとともこ | 2007.08.31 13:11

TBありがとうございます。

「般若心経を読む」は、私も知りませんでした。
(そもそもが、私には「他力本願」のほうが性にあってるので、般若心経はいらんわ…、と、よく「真言」さんの伯父と話していたことがあります)

ただ、般若心経は短いから、「阿弥陀経」より疲れない…
(こらこら…)

「飢餓海峡」の舞台もあったんですが、これはスケジュールの都合があわず、映画(のTV)
三國さん、伴淳さんの迫力の前に、健さんがかすんでましたね。

生きることに、いろんな意味でこだわった方でしたが、命日のことをすっかり忘れてました。

投稿: goldberg2006 | 2007.09.24 21:35

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/15797/1440233

この記事へのトラックバック一覧です: 水上勉と般若心経:

» 苦悩の創作ー水上勉氏死去 [BigBan]
もう何年前になるだろうか。 水上氏の創作の場を映像で紹介する番組があった。 氏 [続きを読む]

受信: 2004.09.15 16:11

« シナリオはできた | トップページ | ストレスを受け止める仕事 »