« 中秋の名月 | トップページ | 月は東に日は西に »

2004.09.29

権威と権力と情報

「権威」という言葉から、あなたは何を思い浮かべますか?
また、「権力」という言葉から何を想像しますか?
まず、国語辞書の解釈を、述べるならば、
===「権威」===
他を追随させるに足る、その方面でのずば抜けた知識、判断力、実力。
その方面での知識、技術について他から範とされる人物。
===「権力」===
その組織に属する他人すべてを、自分の意思通りに動かす事の出来る力。
だ、そうです。

一芸に秀でたある人を「○○の権威」とか言って、尊敬、信頼のまなざしを贈ります。
本来、権威は「人」に付いてきたものでした。
しかし、
あるところから、「権威」は立場に、肩書きに変わるようになりました。
たとえば、学校の先生、
たとえば、政治家、
たとえば、官僚。
などなど。
もともと、権威がないところに、立場、肩書きの(権威)を押しつけたため、
それを守るために、「権力」すなわち力をもってして、
人を制圧しなければならなくなりました。
失墜した権威が権力と結びつくことはたやすいことです。
こんな構図、あるていど大人になった私たちには、
受け入れることもできるし、
流すこともできます。
しかし、
人生観、世界観が未だ確立していない子どもたちが、
こんな洗礼を受けるのは、とても心苦しく、大人の責任を痛切に感じます。

FAIRNESSさんの9月29日付けのブログには、
「どうせ政治家なんか皆悪い事しかしないんだから」という小学生の姪ごさんとの会話から、
話は始まり、
〜〜〜考察の結論ではなく「政治家」ときたら「悪い」という条件反射のようなやり取り、小学生ぐらいでは子どもは目や耳に入るものをそのまま受け取って覚えていくのだろうから不思議だなどと思ったわけではないのだが、その覚えた内容が面食らう。〜〜〜と書かれ、
そして、
〜〜〜いつ、どんな風にして姪は「政治家」=「皆悪い事をしている」というルーチンが頭の中に作り上げられたのか?
また、こうした
条件反射は、
「学校の先生」や「警察官」にも同様ではないか?〜〜〜
という疑問が投げかけられています。
そして、最後に
〜〜〜「信頼」とか「不信」とか言う物は、必ずしも「実態」によってのみ生じるわけでもないようだ。〜〜〜
と、結ばれています。
これは、
なかなか「重い提案」だと私は思いました。
この「実態」の責任は、
取りも直さず、
私たち大人だから、、、

今の子どもたち100人に「政治家についてのイメージ」を問えば、おそらく100人が、同じような答えに辿り着くのでは?と思います。
なにしろ、
テレビ、新聞では、「真面目」な部分は取り上げられず、
ダーティな部分ばかりが、何回も茶の間に届けられるのだから、、、
(実際、そういう部分があまりに多いという実情が問題なのだけれど)
今の子は、
「末は博士か大臣か」
なんて誰も思わない。
むしろ
「嘘付いたら政治家になるよ、、、」
なんて言っているのだから。

私たちの子どもの頃、学校の先生は絶対だった。
それが、成長するにつけ、先生の拡大倍率が縮まり、やがて等尺になってくるわけです。
そして、そんな私たちが、いずれ親になったとき、
子どもの先生は、「自分と同じ」環境を共に歩んで来た友人になることが多い。つまり、
以前の親より、今の親は学校教育を受けて来ているから、、、
親自身が、
「教育の専門家」然としているから。
教師も今、いろんな意味で「受難の時代」であるのかも、と思います。

また、
警察だって、
私たちの日常の中では、
「あてになる」存在ではもうない。

私は、ここで
「情報」というものの「怖さ」を改めて思うわけです。
情報は「実態」を作っていくのでしょうか???
私たちは、
自分で考えているような気がしているけれど、
実は、「情報」に躍らされ、
情報に煽られているのではないでしょうか???

失墜した権威は、
権力という力と、情報という力を今、持ち、
私たちの日常に、あたりまえのように侵入して来ているのでしょうか???
今、
子どもも、大人も
「実態」のない何かに衝き動かされているのかもしれません。

|

« 中秋の名月 | トップページ | 月は東に日は西に »

コメント

瀬戸さん こんばんは
TB有り難うございます。
エントリーに書いた事は以前から感じていた事だったのですが、一番言いそうもない姪がそんな事を言ったのでどうにも気になって取り上げてみました。
実は最初書いた時は少年犯罪や国際問題に関してまで言及していたのですがあまりに焦点がボケてしまったのでばっさり削除してこのテーマに限定しました。
瀬戸さんが言われた
>「実態」のない何かに突き動かされているのかもしれません。
ということ
私が削除した文章の表現では
『その時の風潮により「実態」とは違った評価がされ、その評価で「実態」そのものまで変質してしまう。』
と言うようなことを書こうとしてました。
発想が単純なので、瀬戸さんに私の思考パターンを見透かされたようで一瞬ドキッとしました。

また、関連する話題が出た時にまとめて見ようと思います。

投稿: FAIRNESS | 2004.09.29 22:28

FAIRNESS さん。
こんにちは。
書き込み有り難うございます。
いつもFAIRNESS さんの記事は、深い洞察と、鋭い感性で、ウ===ンと唸らされます。
今回も、
記事を拝見して、しばらく悩みました。
FAIRNESS さんの言わんとなさりたいことの、どこまで理解できたか自信がないのですが、
私の中では、
子どもたちに夢を与えることの出来ない大人の責任を、
強く感じました。
子どもたちから突きつけられている、試されている問題だと私は思います。
「後生おそるべし」
子どもは、豊かな感性で、しっかりと、
時代を嗅ぎ取っているのでしょうか???
真正面から対峙しなければならないのでしょうね。
また、関連の話題、楽しみにしています。
では。
また。

投稿: せとともこ | 2004.09.30 15:06

せとさん、こんにちは。
TB有難うございました。
本当に怖いことですね。権威と権力の結びつき、情報の氾濫・・・・。
子供達の未来が本当に心配です・・・。
こちらからもTBさせていただきます。

投稿: 田舎の神主 | 2005.10.04 15:10

田舎の神主 さん。
こんにちは。
コメント有り難うございます。
情報がドンドン規制されてくる気がしてなりません。
マスコミはすでに形骸化しているのでしょうか?
この先、トンネルの中に一直線なのでしょうか???
子どもたちの未来。
守るのは、本当に今だ!と思います。
お互い、意見交換しながら頑張っていきたいと思います。
これからもよろしくお願いたします。
では、、、

投稿: せとともこ | 2005.10.05 13:04

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 権威と権力と情報:

» 姪の一言 [FAIRNESS]
夏休みに遊びに来た小学生の姪がたまたまテレビでニュースを見ていたので「お前、興味 [続きを読む]

受信: 2004.09.29 21:53

« 中秋の名月 | トップページ | 月は東に日は西に »