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2005.04.27

学ぶこと

列車事故が起きて三日目。
いまだ車内に取り残されている方々の懸命の救助活動。
併行して行われている原因究明。
次第に解き明かされてくる謎の多くは「人災」の感がしてなりません。
どんな原因であれ亡くなった方はもう帰らない、、、と考えると胸が塞がれます。
この事故の推移をテレビや新聞で見ながら、私はふとJCO社 臨界事故を思い出しました。
状況は全然違うのに、、、
と、いうのはあの当時、テレビや新聞は、「安全とコスト」で終始していましたが、私の頭をかすめた事柄はそれに加えてもう一つありました。
「被災され亡くなった職員の方は、ご自分のなさっている仕事の危険、安全をしっかりと認識していなかったのでは?」
「会社の方も安全と危険が徹底的にわかっていなかったのでは?」
と、いう事でした。
そしてさらに思ったのは、
「理科教育が削減されていく中で形を変えて、このような事故が多くなるんじゃないかな、、、」というものでした。
放射能は目に見えない、触っても痛くない。ちょっとこれくらいなら、、、と思うその延長上に大事故がありました。
電車においてスピードと重さと遠心力と、あるいは風力と、、、とかとかそんな物理的なシステムを把握していなくてもボタンで電車は動く。その延長上に大事故がある。
卑近な例であげるならば、酸性洗剤と塩基性洗剤を混ぜると有毒ガスが出る。
人間は感電する、、、、
などなど枚挙にいとまがないのですが、こうした基本的な科学が身についていなくても、一定の生活はできる。
しかし、その構造を、メカニズムを知っていないと、大事故を招くことがある。
このような「そもそもの始めを」学校は教えてくれなくなりました。
では学校で教えなければ、職場で?
いえいえ、職場はもっと能力効率主義でルーチン化されています。
学校が、しっかりと教えなければならないと私は思います。
「科学教育研究」という雑誌の9巻P100~106(1985年)で西川先生は、「戦後経済・産業界の教育に関する要望、、、、」という長いタイトルの論文を書かれています。
内容を要約すると、
〜〜〜〜〜〜〜
経済6団体は戦後、教育の現場に要望をいろいろ出した。
昭和20年代後半から急激に増加、30年代でピークを迎え、その後は急激に減少。
要望の内容を比較すると、30年代までは実務に直ちに役立つ能力、
しかし、それ以後は国語を中心にした基礎学力の重視を求めてきた。
そして、この基礎学力とは「読み書きそろばん」のことであり、加えて英語である。
(瀬戸意訳)
〜〜〜〜〜〜〜
西川先生によれば、理科が学校教育の中で強調されるのは発展途上国、中進国。戦時下の国、平和で先進国では「教養教育」というのが一般的だそうです。
また、保護者の意識調査でも、社会人になってからどの教科が役に立つかという設問では、
「国語、算数、数学、社会」と続き理科は体育と同レベルという結果が出たことも西川先生は「学校教育研究」という雑誌で論文を載せています。
この後、先生はご自分の見解を書いて、理科教育の重要を訴えていらっしゃいます。
私は、学校教育において、子どもたちをバランスよく育て、教えるという立場に立つなら、どの教科も必要と思います。どれが大切で、どれがそこそこ、、、なんてありえません。
しかし理科教育はかなり削減されている現実を見ると、将来にわたって禍根を残すのではと思うのです。
雷がなったらどこに逃げる?
油は引火しやすい、、、
車はすぐには止まることができない。
などなど。
生活の場に当たり前のようにある科学を、しっかりと認識できるような学校教育であることを、願ってやみません。
私はいつも思うのですが、人類が、学ぶ目的とは生き抜くことだと。
今回のような事故が、二度と起こらないための原因究明は、いろんな立場からなされると思います。またそうでなければとも思います。
文部科学省をはじめ教育関係者は、この事故から何を学ぶのでしょうか?
いずれにしても、
いずれにしても、
大きな流れの中で、泡のように消えていく事件の一つにしてはいけない重要な事故でした。
しっかりと今後の対応を見ていく必要を感じています。

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コメント

 TBありがとうございました。とてもいい話です。私も理系を学び教えている立場では、子供達の将来に対してとても不安を感じています。後になっては取り返しのつかないことだけに、慎重にやってほしい分野ですよね。

投稿: ryo | 2005.04.30 22:25

ryo さん。
おはようございます。
今、学力低下が叫ばれている中、点数だけが学力のように判断されている気がしてなりません。
本当の意味で生きる力とは何か、、、考えていきたいものです。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。

投稿: せとともこ | 2005.05.04 07:55

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