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2005.06.26

上野千鶴子著「家父長制と資本制」

今日は、上野千鶴子さんの「家父長制と資本制」を読んでいこうと思います。
要約のみを、私がまとめましたので、興味のある方は読まれることをお奨めします。
なお、私自身の感想はいずれ「ナショナリズムとジェンダー」とともに書きます。
今回は私自身の覚え書きとして、内容のみの まとめです。
最初に目次の紹介。
1 理論篇
マルクス主義フェミニズムの問題構制
フェミニストのマルクス主義批判
家事労働論争
家父長制の物質的基礎
再生産様式の理論
再生産の政治
家父長制と資本制の二元論
批判に応えて
2 分折篇(家父長制と資本制
家族の再編
結び—フェミニスト・オルターナティヴを求めて)
付論 脱工業化とジェンダーの再編成—90年代の家父長制的資本制

上のように本書は読者を案内していきます。

では、まず理論編から。
マルクス主義フェミニズムの問題構制
〜マルクス主義と女性解放〜
解放の思想は解放の理論を必要とする。
誰が、何から、如何に解放されたいのかをしらなければ、現状に対する不満や怒りのエネルギーは方向を見失う。
女性解放の理論は三つがあり、三つしかなかった。
1社会主義婦人解放
2ラディカル・フェミニズム
3マルクス主義フェミニズム

社会主義婦人解放は抑圧の解明の変数に「階級闘争」を持った。
しかし、現実にはこの変数だけでは到底女性の解放はあり得なかった。
ラディカル・フェミニズムはフロイト学説に依拠した。
フロイトの女児の男根崇拝から自分の劣等、内面化して「性支配」やがて「家父長制」に組み込まれていく女たちの解放を心理学の面から探求していった。
フロイトは抑圧からの適応、マルクスは抑圧からの解放を目指した。
社会主義婦人解放は女性の解放を社会主義革命に還元。
ラディカル・フェミニズムは性革命を尊重。
そこで登場したのが、どちらにも偏らないマルクス主義フェミニズムである。
今、ここに生きている中で要求されるものは「おのおのの理論の射程と限界を見極め、その限で理論構築の可能性を追求することである」

〜フェミニストのマルクス主義批判〜
「家族は階級の外にある」という言葉でフェミニストのマルクス主義批判がはじまる。
しかし、家族という領域が階級支配、したがって資本制の抑圧の外部にあり、それから自由であることを意味しない。
女性が労働市場に参入しても、過程にとどまっていても資本の間接的な支配を受けている。
女性にとっては市場のうちも外も解放ではない。この限においてはマルクスにも限界がある。
マルクス主義フェミニズムはマルクス主義に忠誠を誓うことでなく
限界を認め、そこから出発することである。
マルクス主義フェミニズムは女マルクス主義者でもなければ、フェミニストマルクス主義者でもない。性支配に物質基盤があると考え、解明しようとする「唯物論的フェミニストである」

〜家事労働論争〜
マルクス主義フェミニズムの最大の理論的貢献は、
「家事労働」という概念の発見である。
「家事労働」は「市場」と「家族」の相互依存関係をつなぐミッシングリングであった。
「市場」と「家族」への分離が生じた近代産業社会の要の位置に「家事労働」はある。
そして、ここから主婦論争へと発展していく。
「愛という名の労働」をどの様に考え、位置づけていくか。
世界各国、日本における一連の主婦論争のはてに、マルクス主義フェミニズムは三つの概念を発展させる。
1家父長制
2再生産
3イデオロギー

〜 家父長制の物質的基礎〜
家父長制とは何か。
以下に定義する。
〜〜家父長制の物質的基盤は男性による女性の労働力の支配のことである。この支配は女性が経済的に必要な生産資源日かずくのを排除することによって、また女性の性的機能を統制することによって維持される〜〜〜

〜再生産様式の理論〜
女性はその性ゆえ、いつでも再生産に関わる。
では再生産とは何か。
生産システムそのもの、労働者、そして人間という生物学的なもの。この3つが次々と生み出されることを再生産という。
どうすれば唯物論てきな分析方法を、生産と再生産とを単一の過程の部分として十分に統合できるような、また性差が階級構造の組織形態と分離できないことが明らかになるようなやり方で用いることが出来るか?

〜 再生産の政治〜
中絶、子どもの数、子どもの教育費、世代間支配などを分析。
再生産費用の均等。世代間支配の終了などを提唱。

〜 家父長制と資本制の二元論〜
統一理論(1,2,3)か二元論(4,5)か。
1性支配は理論的に無意味である。
2性支配は資本制的生産関係から帰結する
3性支配は独立した家父長制から帰結する
4性支配は資本的生産関係と分かちがたく結びつき、資本制的家父長制という単一のシステムを形成
5性支配はそれぞれ相互の独立した家父長制と資本制という二つのシステムの相互作用の結果。
しかし、今日の女性はさらに多面的な分野での考察を加えなければならない。
〜批判にこたえて〜

2 分折篇
〜家父長制と資本制〜
・第一期
工業の発達によってドムス(家内奴隷から家畜まで含む単位)が解体。単婚家族の芽生え。
・第二期
戦争によって「銃後」の女性たちの意識革命と未婚女性の労働市場進出。
・高度経済期
男にとって「一億総サラリーマン時代」であり女にとって「サラリーマンの妻時代」
近代的な家父長制の成立(封建的なそれとは違う)
主婦の大衆化と女性階級の登場
・第三期
主婦労働者、パートタイマの出現
その中での女のニ重労働。

〜家族の再編〜
人口問題。
女性の晩婚化と少子化。
再生産の自由などが論議される。

〜 結び—フェミニスト・オルターナティヴを求めて〜
「過去300年間にわたるフェミニズムの歴史をふりかえって、
その始動や高揚、ガタガタした発展ぶりを見れば、その開花の時期が特定の社会経済的な変動期に一致していないだろうか?その移行期には女性は生産への新たな参入、もしくは新たに認知された参入を通じて、一時的にももっとも先駆的な位置を占める」
(ミッチェル)

「女の経験を男の言葉で語る」ことではなく「男のやっていることを女の言葉で相対化できたとき、はじめて資本制と家父長制のもとに置かれていた女性は、それから脱してオルターナティヴを見つけるであろう。

〜付論 脱工業化とジェンダーの再編成—90年代の家父長制的資本制〜
略。

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