イラク世界民衆法廷
6月23日からトルコのイスタンブールで開かれていた「イラク世界民衆法廷」は27日終了しました。
(米国のリチャード・フォーク教授(国際法)、国連人権高等弁務官事務所顧問のクリスチン・チンキン氏(英国際法学者)ら世界の著名な法律家や人権活動家54氏が参加)
この法廷は、
2003年3月のイラク戦争開始とほぼ同時に戦争に反対する知識人や市民が始めたもので、この2年間、日本でも「イラク国際戦犯民衆法廷」として、東京や大阪、広島など各地で開催。また世界13カ国でイラク戦争の戦争犯罪を裁く「公判」や「公聴会」が行われています。
さてさて、今回の世界民衆法廷は、
米英両国政府が大義ないまま引き起こしたイラク戦争を糾弾。
ブッシュ米大統領とブレア英首相の戦争犯罪を断罪しました。
そして、多国籍軍のイラクからの即時撤退とイラクが受けた損害に対する賠償を求めました。
声明では「イラクへの攻撃は正義と自由、われわれの安全、われわれの未来、われわれすべてに対する攻撃だ」と、イラク戦争を糾弾。
この戦争を「歴史上最も不正義で不道徳な戦争」の一つとした上で、「米英による27カ月に及ぶ(イラク)占領はイラクの国家と社会の破壊と荒廃に導いた」としています。
さらに、 法廷は米英の侵略戦争と占領に協力した「有志連合」諸国や、軍事基地・領空の使用、その他の後方支援で協力した諸国の政府、戦争をめぐる虚偽の報道を広めたメディアも告発しています。
この戦争によって利益を得たハリバートン(石油関連)、ベクテル(土木・建設)、CACIインターナショナル(軍事請負会社)なども告発。
そして、その罪状の中味は以下の通りです。
—国連憲章とニュルンベルク諸原則に違反して侵略戦争の最高の犯罪を計画、準備、実行した
—イラクの民間人と民間施設を攻撃目標にした
—不均衡な(大量の)兵力と無差別の兵器を使用した
—軍事行動中とその後の占領中、民間人の生命を守る基準を守らなかった
—平和的手段で訴えた抗議者に暴力をふるい、死に至らしめた
—容疑や裁判なしに、集団的・個別的制裁を加えた
—イラク兵や民間人に拷問や非人道的虐待を加えた
—不法に侵略し、占領した国の法律を書き換えた
—意図的に環境を破壊した
—イラクの女性の地位を極端なほどまでに低める条件をつくりだした
—イラクに存在する人類の豊かな考古学的・文化遺産を守らなかった
—イラクのメディアの検閲を含め、情報の権利の行使を妨害した
—拷問や不法拘束を認めさせるため、国際法に違反して拷問の定義を変えた
次に アメリカ国民の世論を見てみましょう。
6月27日発表のUSAトゥデー紙・ギャラップ共同世論調査によると、
ブッシュ大統領のイラク戦争遂行を支持すると答えた人は40%、不支持は58%。
同大統領の不支持率も過去最高の53%。
(13日発表のギャラップ社の世論調査結果では、米軍のイラク撤退支持は59%。)
さらに 議会でも変化が明らかに見えてきました。
今年1月に民主党議員25人が、米軍の「即時撤退」を求める決議案を提出。
そして6月16日には、共和党の議員もその中に加わりました。
与野党の議員が、この様な決議案を出す背景は、国内の高まる世論を反映しているからにほかなりません。
混迷するイラク情勢は、イラク本土も勿論ですが、米軍兵士の犠牲も日に日に数を増しています。
主権移譲後の04年7月から05年6月26日までに死亡した米兵は892人です。
国際的にも国内からも批判が相次ぐ中で、
この24日、ブッシュ大統領は、イラク首相との会談後の記者会見。
「タイムテーブルを示す道理はない」として、撤退時期の明確化を求める要求をはねつけました。
ブッシュ大統領の言う「われわれの目標は明確だ。すべてのイラク人を代表する民主的で平和なイラクだ」とはなんなのでしょうか?
彼の頭の中には、どんな設計図が描かれているのだろうか?
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コメント
つまり、単純な反米感情の爆発にすぎないんだよなぁ。日本の平和運動は、いつも不満分子の不満の矛先が、反米、反権力に転化されている。なんちゃって平和主義なんだよ。
投稿: 罵愚 | 2005.06.30 03:41