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2005.07.23

笑う者は誰か

私たちの関心が郵政民営化とテロに寄せられてる影で、
ミサイル防衛:改正自衛隊法が成立しました。
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日本に向け発射された弾道ミサイルをミサイル防衛(MD)システムで迎撃する手続きを盛り込んだ改正自衛隊法が22日午後の参院本会議で与党の賛成多数で可決、成立した。短時間で飛来してくるミサイルに対し、日本有事として防衛出動を発令する前でも迎撃を可能とするもの。06年度末から配備を開始する迎撃システムの法的枠組みがこれで整う。
(同新聞より抜粋)
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ドミノがまた一つ倒れました。
私は、「力の論理」はなんの解決にもならない。
むしろ憎しみが限りなく増幅するのではと懸念する者です。
さて、先に自衛隊法改正の中味を見る
という記事を書いたところ、多くのご意見を頂きました。
ミサイル配備に賛成、反対の方のそれぞれの主張を読みながら、私が思ったことはただ一点でした。
「この問題で一体誰が得をして、誰が犠牲になるのか?」

そもそもの立脚点が違う場合、ネット上での議論に限界を感じている私は、(風来疎竹参照下さい)この法案に対しては今でも反対の立場ということで、意見表明とさせていただきます。
では、なぜ反対か?
今日は、軍事費や税金との関係で見ていきます。
いずれ「戦争と環境」についても考察を加えたいと思っています。

軍事費と経済成長というサイトでは、「軍事費の増加は経済にどのような影響を及ぼすか?」という試案が詳しく書かれています。
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軍事費の増加は経済成長と関係があるのだろうか? あるとすれば、成長を促進させるのか、それとも成長を鈍化させるのだろうか? ここでは、戦後のデータを元に軍事費と経済成長との関係を需要側から考察してみました。
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という理が初めに書いてあって、
1、総需要へのショックとその影響
2、潜在成長率への影響
3、まとめと結論
・ 防衛費の増大による総需要の増加は、物価水準の上昇で相殺される。
・ 防衛費は貯蓄を減らす
・ 貯蓄の減少は投資を減少させる。
・ 投資の減少は潜在成長率を低下させる。
・ 防衛費の成長への効果はマイナスである。
防衛費が増大した場合のシミュレーション

 GDPに占める防衛費の割合が1%のままなら、10年後の2013年のGDPは675兆円である。ところが、GDPに占める防衛費の比率を2%に引き上げた場合、2013年のGDPは660兆円でしかない。これは、防衛費比率の上昇によって潜在成長率が低下してしまったためである。この需要側のシミュレーションによるとGDPに占める防衛費の比率を1%増やすと10年後には15兆円も生産・所得が減少することになる。
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とまとめられています。
是非ご覧ください。
軍需景気と言う言葉がありますが、長期的には国民の生産、所得は減少する方向にあるのでしょうか。
では現実に世界の軍事費を見てみましょう。

 2004年の世界の軍事費は、1兆4百億ドル(約106兆円)になりました。
2000年には約8千億ドルだったのが3割も増えています。
(スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)より)

 世界の軍事費の急増は、アフガニスタン、イラクでの戦争で、米国が軍事費を激増させたためです。米国だけで世界の軍事費の約44%を占め、日本と英国を合わせると52%を超えます。
軍事費の流れを見てみましょう。
旧ソ連が崩壊した90年代、全体として減少の傾向
01年「9・11」以来、「対テロ戦争」と称してアフガニスタンへの報復戦争、イラクへの国連憲章違反の先制攻撃戦争、イラク戦争では、陸・海・空・海兵隊を大動員し、いまもなお、14万人の兵員を駐留させているため、費用は増大。
最初から攻撃に加わっている英国も軍事費が急増。
また、日本の軍事費は、SIPRI年鑑によれば、04年度は424億ドル(4兆9030億円)で、米国、英国、フランスに次ぐ4位。
実際、日本は、主要国の軍事費が減少傾向にあった90年代も、軍事費を増やし続けてきました。02年度は、過去最高の4兆9535億円です。
05年度は、4兆8564億円。   
一方、軍需産業と呼ばれている会社が大もうけしていることは想像に難くありません。
「軍需産業」や「利益」などいろいろのワードで検索下さい。

私たち国民の生活は日に日に苦しくなっている中で、容赦なく取られていく税金。
その税金の使い途の少なからぬ部分で軍事費が使われているという現実。
そして、この軍事費増大が私たちをハッピーにしてくれるかというと、
所得や生産が将来的に減り、生活を脅かす一つの原因になるかもしれない。

そして、ここへきて更にミサイル防衛法案による日本の金銭的な負担増大。
敵からのミサイル攻撃がある前に撃ち落とすという発想のもとで進んで来た、このMD構想。
国会でも論議されましたが、何をもって「敵の攻撃」と見なすかは、判然としていません。
ご存知のように国際連合憲章は先制攻撃は認めていません。
これは、日本国憲法の精神と同じように「正義と秩序を基調とする国際平和」を高らかに謳っています。
さてさて、いまだ、開発途上と言うミサイルの精度ならびに安全性。
本来の働きを発揮出来る頃、この国には一体どれくらいの人たちが存在しているのだろうか?
(税金払うだけでくたびれて、、、みんなどこかの国に逃げた、、、なんてことのないように)

 最後に世界の軍事費1兆ドル 武器より貧困対策を
というサイトを見つけました。
同時にご覧ください。

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コメント

 ハイ。よく知っております。あなたがこういった記事を書かれたときは、コメントが賑やかになることを。そして最後のサイトも「jan jan市民記者」の一員となっております。 兎に角、軍事費を増大させると、昔は「軍需景気」になったのですが、今は軍需産業以外は国の財政が赤字になるので駄目なんです。こういう大事なことを決めるときは、国民に信を問うてからにして欲しいものです。

投稿: hitoriyogari | 2005.07.23 14:58

hitoriyogariさん。
こんにちは。

>軍事費を増大させると、昔は「軍需景気」になったのですが、今は軍需産業以外は国の財政が赤字になるので駄目なんです。こういう大事なことを決めるときは、国民に信を問うてからにして欲しいものです。

本当に仰るとおりです。
私たちは、取られる税金のことも、その使い途もあまりに知らされていないと実感しています。

また、パグウォッシュの方でも重大なご指摘有り難うございます。
>実際問題、核時代、地球問題が心配されているときに、ナショナリズムを煽って戦争に結びつけるのは、人類のために決して良いことではありません。しかし、宗教問題(特にイスラム原理主義)がある以上、なかなか巧くいきません。

難しい問題ですね、、、
いずれにしても次の時代に何を残すか、問われているのでしょうね。
これからも、いろいろご意見、アドバイスをお願いいたします。
では、、、また。

投稿: せとともこ | 2005.07.23 16:54

 対話を拒否した平和主義を、平和主義と呼べるのだろうか?対話と武力を放棄して、なにを手段にして安全保障政策がなりたつのか?一方的なアジテーションに乗せられるほどバカな民族だと愚弄しているんだろうか?
 日本の平和主義は、また一歩後退したんだな。

投稿: 罵愚 | 2005.07.23 17:35

”自衛隊法改正の中味を見る”にコメントされている、通りすがりでスミマセンさん、これ(↑)で理由が分かったでしょ?

投稿: 鎖ッ誅罪 | 2005.07.23 17:58

毎度お世話になります。
コメントする前に国連憲章を見てみました。

↓参考資料はココ
http://www.lares.dti.ne.jp/~m-hisa/uncharter/japanese.html

何度見直しても国連憲章が先制攻撃を認めていないようには見えませんでした。そして日本国憲法9条とも乖離があるように見えます。国連憲章って玉虫色ですね。(初めて知った。)国際外交は二枚舌、三枚舌は当たり前なので、全て疑ってかからなければなりません。

それはともかく本題です。戦争が起こらないための外交努力は日本は既に充分過ぎるくらい行っています。それは大前提として覚えておかなければなりません。それでも補えないものがあるから防衛政策というものがあります。

MD構想に莫大な費用がかかるから単純に防衛予算が増えてしまうというのは短絡的な考えで、逆にMD構想によって削減できる自衛隊の予算も出てきます。また、自衛隊の予算以外にも削減できる予算が出てきます。(詳しいことは物凄く長くなるので省略しますがミリタリーの専門家の方宜しくどうぞー)

日本で兵器産業に携わっているのは三菱重工と石川島播磨重工がメインです。三菱重工はH-ⅡAロケットのエンジンも製造していますが、PAC3からもたらされる技術は大きいので三菱重工としてもH-ⅡAロケットへのフィードバックという技術的メリットがあります。(ミサイルとロケットは同じ技術です。)日本の宇宙開発産業の発展も期待できます。一番得るものが多いのは三菱重工かもしれません。

また、日本の場合武器輸出ができない故に装備の割には調達価格が異常に高いことが問題視されています。故に装備だけを見ると日本は決して他国と比べて突出していません。

専守防衛を放棄して憲法9条に手を加えて先制攻撃を許すなんていうイージーな手段に出れば更に歯止めがかからなくなります。それが怖いから私はMD構想を支持しています。

でも、先制攻撃を許したら拉致被害者家族会の皆さん(特に蓮池透さん)は支持するかもしれません。(不謹慎な発言かもしれませんが。)

やっぱりこの問題は難しいよー(泣)

投稿: FeldDorf | 2005.07.23 19:45

FeldDorf さん。
おはようございます。
核心を突いたコメント有り難うございます。
頂いたコメントの中で、3点について私の意見を述べさせていただきます。
1国際連合憲章
2ミサイル防衛と軍事費
3軍事開発と科学の進歩


1国際連合憲章第51条に【自衛権】が書いてあります。
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この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国が措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。
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つまり自衛の戦争は認めるが、先制攻撃は侵略とみなすというのが、国際関係の常識です。
おっしゃるように、憲法や法律は解釈の問題ですから、如何様にもとれます。
一番、記憶に新しいのは、イラク戦争のおり、米英が「二国間軍事同盟に基づく集団自衛権」というカラクリを使ったのは衆知の事実です。
「国連、先制攻撃」などで検索下さい。
沢山出てきます。

2ミサイル防衛と軍事費
 〜来年度の概算要求で、「ミサイル防衛」の導入費を初めて盛り込み、千四百二十三億円を計上。当面の計画だけで五千三百億円以上を見込んでいる。〜
これまたミサイル防衛 歳入費などで検索下さい。
山ほど出てきます。
いずれも軍需産業が大もうけすることは書いてあります。

3軍事開発と科学の進歩
科学と科学的知識の利用に関する世界宣言
http://www5e.biglobe.ne.jp/~saiban/html_form05/sekaikagakukaigi/kagakutokagakutekitisiki.html
あるいは、有名なラッセル・アインシュタイン宣言。
また、今まさに開かれているパグウォッシュ会議など、科学者は、
「科学の平和利用」を真に追及しようとしています。
軍事ミサイルのいずれが科学の進歩に貢献するのか?
いかがでしょうか。

いずれにしても、この問題、さまざまな問題を抱えています。
これからも、お互いに意見交換をしていきましょうね。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
では、、、また。

投稿: せとともこ | 2005.07.24 09:41

 「そもそもの立脚点が違う場合、ネット上での議論に限界を感じている私は」対話は拒否するという。議論はしないが「反対の立場ということで、意見表明とさせていただきます」ときたもんだ。あげくにこんどは「いずれにしても、この問題、さまざまな問題を抱えています。
これからも、お互いに意見交換をしていきましょうね」だという。
 文章のはじめと終わりでは、立脚点が逆転しています。立脚点がちがうから対話を拒否しているのではなく、反論できないから無視していることを自白した文章です。
 先生の平和運動は、仲良しクラブなんだな。仲良しとだけは意見交換するが、立脚点のちがう異論は、議論の相手にしない。そうして“平和”を話し合いましょうという。
 自閉症を患った平和運動って、なんだりろうか?

投稿: 罵愚 | 2005.07.25 03:47

注意欠陥多動性障害を患った非平和運動って、なんだりろうか?

投稿: 鎖ッ誅罪 | 2005.07.25 09:32

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