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2005.12.15

大量破壊兵器は誤り

米大統領、大量破壊兵器「情報誤り」と言うニュース。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
大統領は「機密情報の大半は結果的に間違っていた」と認め、さらに「イラク戦争に踏み切った決断に責任を持っている」と述べ、開戦の決断は正しかったと強調した。機密情報の間違いについても情報機関改革などを通じて改善することを改めて約束した。

 発言は、イラク戦争開戦の最大の根拠としてブッシュ政権が掲げたWMD情報の取り扱いに関して政権の責任を認めたものではない。情報機関の判断の誤りにもかかわらず、開戦を決断したブッシュ政権の決断自体は正しかったと開き直るものだ。
(上記ニュースより)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
アメリカ国内でも、イラク開戦の大義や、
その後のイラク国内の混迷、泥沼化の責任を問う声が大きくなり、
さすがのブッシュさんも、持ちこたえられなくなったのでしょうか。
しかし、
なお、その決断は正しかったとの開き直り。
どこが、どの様に正しかったのか、の説明は演説には述べられていませんでした。

15日国民議会選に向け、
さらに緊張の高まっている現地イラク。
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一方、選挙関係者への襲撃も続いている。西部ラマディでは13日、スンニ派の「イラク自由進歩党」のミズハル・ドレイミ党首が銃撃を受け、死亡した。同氏は04年の日本人3人拉致事件の際、解放交渉の「仲介役」を自称してメディアに登場したことで知られる。また、中部ティクリートでは14日、投票所が約30分間銃撃を受けた。
(上記ニュースより)
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こうした中、
サマワ陸自宿営地付近に着弾か 隊員・施設に被害なしなどのニュースが新たに伝わってくれば、
自衛隊の方々の安全が心配されます。


さてイラク戦争、日本の判断の正当性改めて主張 官房長官ということで、日本政府はイラク開戦は間違いでなかったと発表したようです。
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「イラクが過去実際に大量破壊兵器を使用した事実や国連の査察団が指摘した数々の未解決の問題にかんがみれば、イラクへの武力行使が開始された当時、大量破壊兵器があると(米国や日本政府が)想定するに足る理由があった」と強調。
(上記ニュースより)
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アメリカでさえ、大量破壊兵器は間違いであると認めた今、
(それが操作されていた情報であることは露呈しています)
なお、当時はそう判断せざるを得なかったと言う日本政府。
この弁をそのまま信用するなら、
日本って、相当にアメリカに信用されていないのですね。
この期に及んでまだ正しい情報を教えてもらえない。
不憫な使いっ走りなのか、、、
アメリカにとって日本は。
そう言えば、
ブッシュさんの二期目の大統領就任の折のパロディーにも小泉さん登場しなかったなぁ〜〜〜
なぁんて思い出しています。

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コメント

その通り。

投稿: 風林火山 | 2005.12.15 18:42

はじめまして。
僕には、「アメリカ(ブッシュ)が」間違った情報に基づき戦争を起こした、という言い方がどうにもなじめませんでした。本質がもっと別な場所にあると思ったからです。

そもそも、政府の情報機関が根拠不明確な「特ダネ」を持ち込み、ブッシュをも騙していたといえないか(もっというならば、情報機関ですら、イラクに騙されていた、と言えないか?)
この思いがずーとあったのです。
裏の取れない・取りようのない情報を根拠に、戦争を始めるという重大な決定をしてよいのか、-そういう暴走が可能な政治システムを許すのか、が問われるべきと考えたのです。

>機密情報の間違いについても情報機関改革などを通じて改善する
こういう演説をしたのは、やはりブッシュも今私が書いた危険に気付きだした証拠でないでしょうか?

……一方、私らの国は、情報機関を強化せねば”国益”を損なう、と割にリベラルな立場の人まで言っているのが不安です。

投稿: デルタ | 2005.12.16 01:28

デルタさん。
おはようございます。
コメント有り難うございました。

>機密情報の間違いについても情報機関改革などを通じて改善する
こういう演説をしたのは、やはりブッシュも今私が書いた危険に気付きだした証拠でないでしょうか?

本当に、そう思います。
「情報」
人類は今、黎明期にあると思います。
利便性を追求し、
簡便性を求め、
情報を駆使してきた私たち。
しかし、
結局、情報を使うのは人間であるということを改めて考えさせられます。
「情報」
核問題と同等に考えていきたいと思います。
また、これからもご意見お聞かせくださいね。
では、、、

投稿: せとともこ | 2005.12.18 08:30

●『声』欄で見つけた素朴平和主義的投書(2003年4月 5日)
平成15年4月4日、朝日新聞東京本社版の『声』におもしろい投書が掲載されていた。「イラクで戦争 なんでだろう」、茨城県牛久市の男性・公務員(45歳)の方のもの。投書子茫漠として尋ねて曰く、即ち(以下引用開始)、
①テロリズムがダメなのに戦争がOKなのはなんでだろう
②テロリズムがダメなのにフセイン大統領へのピンポイント爆撃がOKなのはなんでだろう

③テロリズムがダメなのに誤爆が「やむをえない」のはなんでだろう
④政情不安で大量破壊兵器を持つ国はたくさんあるのにイラクだけが攻撃されるのはなんでだろう

⑤国際社会の民主的手続きを守らない国が「中東に模範的民主主義国家を作るため」戦争をするのはなんでだろう

⑥イスラエルは国連決議に反してヨルダン西岸を占領し続けているのに、米英軍に攻撃されないのはなんでだろう

⑦「日米同盟が国連より優先する」ことを決めた政府が「国連中心主義」を言い続けるのはなんでだろう

⑧世界有数の軍事予算を組んでいる政府が「米国に依存しないと国を守れません」と平気で言えるのはなんでだろう

⑨「自国軍兵士の犠牲を少なくするために、広島、長崎への原爆は必要だった」という論理が現在も通用する国を、全面的に信頼し続けるのはなんでだろう(以上引用終了)

この総ての問いは国際法と国際政治の誤解と知識不足に基づくものであり、それらは各々、数語で回答できるものだと思う。蓋し、

(1)テロはダメで戦争がOKなのは・・現在の国際法と国際関係の秩序がそう考えているから

(2)フセイン大統領へのピンポイント爆撃がOKなのは・・戦争だから
(3)誤爆が「やむをえない」のは・・戦争だから
(4)イラクだけが攻撃されるのは・・米英といえども使える資源も時間も有限であり、かつ、不可逆であるという前提のもとで、安全保障戦略遂行における費用効果と選択肢間(手段間)の比較優位性を為政者は考えざるを得ないから

(5)国際社会の民主的手続きを守らない国が「中東に模範的民主主義国家を作るため」戦争をするのは・・国際社会に原則民主的手続など存在しないから

(6)イスラエルが米英軍に攻撃されないのは・・イスラエルは少なくとも潜在的な英米の同盟国だからであり、他方、アブラハムとイサクとヤコブの末裔達は米国の政策決定に小さくない影響力を持っているから

(7)「日米同盟が国連より優先する」ことを決めた政府が「国連中心主義」を言い続けるのは・・日米同盟の枠内で国連を最大限に利用することの何が問題ですか?

(8)世界有数の軍事予算を組んでいても「米国に依存しないと国を守れ」ないのは・・有事法制が存在しないから。あるいは、憲法に不備欠陥があるから

(9)「広島、長崎への原爆」投下を正当化する国を・・今次イラク戦争で米英を中核とした同盟軍を支持するからと言っても、誰も米英を全面的に信頼なんかしていないと思います。しかし、国際政治秩序を理解する上で「米英流の国際政治を認識するための文法」を共有しつつ、自国の安全保障戦略を立案することは可能かつ合理的ではないですか、と。

要は、民主主義は国際秩序の内にその活躍の場をいまだそう多くは持たず、戦争は国際法においても国際関係の秩序において全面的に否定されているわけではない。また、『ベニスの商人』じゃあるまいに、「戦争をするのは仕方がないが、民間人に一人の犠牲者も出してはならぬ。特に、女・子供にはな!」とか「1回の誤爆も許されるものではないぞよ」、あるいは、「戦後におけるその所謂内的被爆の安全性が証明されないうちは劣化ウラン弾など使用してはならぬ」などは、正に、朝日的素朴平和主義が撒き散らすトンデモ言説であり、それらは、朝日新聞を信奉する方々のコミュニティーでのみ通用する願望妄想の類だと思う。私はこの投書を読んでそう思った。


●戦争を知らない子供達に<戦争>をちゃんと教えよう(2003年4月 6日)
朝日新聞『声』欄にこのような投書が掲載されていた。平成15年3月24日東京本社版より。横浜市・32歳・主婦の方の投書。以下引用開始。

>子供たちは家庭や学校で「戦争は良くないこと」と教えられる。
>その戦争を日本が支持している現実を、子供たちはどう受け止め
>ているのだろう。彼らが納得できる答えを、大人たちは示さな
>ければならない。(以上引用終り)

そうなのだ! 戦争は必ずしも悪ではないこと:否、戦争を「善」とか「悪」とかの道徳的な範疇で理解することはあまり生産的でないことを子供達にちゃんと教えるべきなのだ。それなのに、<戦争体験>なるものを<継承>することには熱心な人々が、大東亜戦争後の戦後一貫して、戦争自体を巡る国際法と国際政治の現実と本質を教えてこなかったのはなぜだろう。蓋し、反戦を唱える勢力にとって(日米安全保障条約が保障する平和の恩恵により!)、戦争とは実は他人事であり、反戦運動とは思想的ゲームのお題の一つに過ぎなかったからではないか。ならばそろそろ、子供達にちゃんと戦争を教えようよ。この投書を読んでそう思った。


自衛隊イラク派遣延長 速やかに撤退の準備を(朝日新聞)

外国部隊が居座ることへの、イラクの人々の反感を過小評価するのは危険だ。

 宿営地周辺の住民感情は自衛隊に友好的と伝えられる。だが、道路脇に仕掛けられた爆弾が自衛隊の車列を狙って破裂したり、「ノー・ジャパン」と叫ぶデモ隊に囲まれ投石されたりもしている。

●当初の目的は果たした

 思い起こせば、昨春から日本人が人質にとられる事件が相次いだ。そのうち1人が無残に殺害された。自衛隊の派遣が米英と一体と見なされたことと無関係ではなかろう。こうした厳しい現実に目を閉ざしてはならない。

~~(中略)~~

イラク側が自衛隊の駐留を望んでいるといっても、雇用などを通じて地元が経済的に潤うことへの期待が大きいのではないか。

▽参考:捏造される日本の報道 東京財団シニア・リサーチ・フェロー
東京財団は五月二十四日から三十一日までイラクのサマーワからお客様を招いた。そのお客様とは宗教家が二人、医師が二人、女性教師が二人、世話係の薬剤専門家が一人という構成だった。

~~(中略)~~

サマーワに駐留する自衛隊医務班のサポートをしているバッシャールさんが、次のような事実を明かしたのだ。

 「一月に自衛隊がサマーワに入ると、日本の一部マスコミは自衛隊駐留反対のデモをサマーワ住民が起こすようけしかけたが成功しなかった。一説によると貧乏人を集めて金を渡しデモをさせようともしたらしい。しかし、サマーワ住民の自衛隊に対する期待が大きく成功しなかった。それであきらめてそのマスコミ人はサマーワから退散したのだ」

「日本のマスコミはフェアーな報道をしようとしないのか」

ついにアブドルアミール・リカービ氏は激怒し、「日本のマスコミはフェアーな報道をしようとしないのか。私の発言を何故正確に伝えようとしないのか」とインタビューをした通信社の記者に抗議したほどだった。それだけ露骨な偏向した対応があったということだ。

 結果的に、アブドルアミール・リカービ氏の訪日は自衛隊派遣反対組にとっては不満足なものであったことから、彼の帰国後、「アブドルアミール・リカービ氏は日本政府から百万ドルを受け取り自衛隊員の安全を保証した」と報じられた。

 その報道はもちろん何の根拠も無いでたらめであり、根も葉もないものだったが、一部週刊誌が記事を掲載し、英文のサイトに載せたことからこの捏造記事は世界中にばら撒かれ、アラブのマスコミでも流れることとなった。

 その後、アブドルアミール・リカービ氏は日本のいいかげんなマスコミの犠牲となり、相当にアラブ世界とイラク国民の間で信用を無くしたものと思われる。その後、彼が無責任な日本のマスコミによってもたらされた信用失墜の挽回に、どれだけの努力が必要であったかということは想像がつこう。報道の恐ろしさは、いったん情報が流されるともうその誤報の完全な訂正はほとんど不可能になってしまうということだ。

デッチ上げられたあるテレビ報道

 今回のイラク訪問団の送別会の夜にも同様のことが話題となった。イラクのサマーワで医療支援に従事している医師・上部一佐の奥様とご子息がイラク民間親善代表団のメンバーに面会した。

 その折に話題になったのは、「Bテレビ局のCさんがキャスターを勤める番組のなかで、自衛隊の医療班の貢献度は何点か、とイラクのサマーワ中央総合病院のD院長に尋ねたら、十点程度という返事が返ってきていましたが、本当にそんなものなのでしょうか?」という奥様の不安だった。

 そのことを聞いたイラク人の医師アリーさんは、「それは根本的に悪意に満ちた事実の捏造です」と語り、「実は私がこちらに来る三日前にサマーワの自衛隊基地で、新たな医療機器の贈呈式がありました。そのとき件のD院長が出席していて、日本のマスコミに対し(私の発言を勝手に編集することは断る。もしそのようなことをするのであれば、二度と日本のマスコミは相手にしない)とものすごい剣幕で語ったのです」と続けた。

 そして、バッシャール氏はBテレビ局の番組のなかの、サマーワ中央総合病院のD院長の発言がどう編集され報道が捏造されたのかを教えてくれた。

 サマーワ中央総合病院のD院長の説明によれば、Bテレビ局の質問は二つあり、

最初の質問は日本からの医療機材の援助についてどう評価するかという内容のものであり、

次いで第二の質問は自衛隊医療班の協力についてどう思うか、というものだったということだ。

 D院長は日本からのより一層の援助を期待し「医療機器の援助は十点ぐらい」と答え、次いで自衛隊医療班の協力については高い評価をしたというのだ。

~~(中略)~~

既に読者にはお分かりだろう。日本のBテレビ局は、「日本の医療機器援助に対する評価」と「自衛隊医療班の活動内容に対する評価」を繋ぎ合わせることにより「自衛隊の医療班が百点満点のうち十点程度しか貢献していない」という話をデッチ上げまことしやかに報道したのだ。

 ところがこの捏造された情報を、まことしやかに伝えたのが著名な社会派のニュース・キャスターであったことから、ニュースは捏造されたものであるにもかかわらず、日本の視聴者たちの間で真実として受け止められ、サマーワに派遣されている自衛隊員の家族の人たちに肩身の狭い思いをさせ、苦しい立場に立たせることになったのだ。

 この事実を耳にした医師・上部一佐の奥様とご子息は顔を高潮させ、目を少し潤ませて「事実はそうなんですか、それで納得しました、安心しました」と語り、イラクから来た若い医師との面会の席を後にした。

▽参考:[JOG(378) サマーワに架けた友情の架け橋]
イラクでは噂が伝わるのが速い。昨年12月14日の自衛隊の派遣期間が終わりに近づき、またロケット砲が打ち込まれるという騒ぎが起こると、「自衛隊は帰るのか?」という懸念が瞬く間に広まった。

すると140人の老若男女からなるデモ隊が「日本の支援に感謝する」と自衛隊宿営地に詰めかけ、口々に「帰らないで」と懇願した。同時に「自衛隊の滞在延長を願う署名運動」が展開され、2日間で1500人もの署名が集まった。[1]

実は感謝デモはこれで二度目だった。

~~(中略)~~

もっともこうした事実は、日本のマスコミはほとんど伝えなかった。逆にパレスチナ自治政府のアラファット前議長の死去を受けてサマーワで行われた「パレスチナ支援デモ」では、20本ほどの横断幕のたった一つに「自衛隊は撤退すべきだ」と書かれていただけで「反日デモ」などと報じた新聞があった。

偏向報道もここまで来れば、確信犯という他はない。

●「無防備地域」宣言 国防協力を拒否?
ジュネーブ条約で有事の際に攻撃が禁じられている「無防備地域」の宣言をするよう地方自治体に求める運動が全国に広がりをみせている。これまでに宣言条例が成立した例はないが、確認されただけで21区市町で署名活動などが進められている。国の責任で行う防衛行動を自治体が制約することには疑問があるほか、国民や自治体に協力を定めた国民保護法、武力事態対処法に正面から反する問題点も指摘されている。(中略) 

「宣言すれば平和を確保できる」「武力攻撃を免れることが可能」などの合言葉で戦争不参加や反戦を呼びかけ、自治体に「無防備地域」宣言の条例制定を請求するため署名運動などが進められている。すでに全国規模の連絡組織もできており、署名が法定数に達した大阪市、大阪府枚方(ひらかた)市、兵庫県西宮市などでは市議会に条例が提出されている。(中略)

しかし、自衛隊の施設などの管轄権は自衛隊法で内閣総理大臣にあると規定され、地方自治体には与えられていない。政府や自衛隊などと合意なしに戦闘員や軍事施設の撤去などを地方自治体が実行することは非現実的だ。国民保護法なども自治体に国の方針に基づく協力義務を定めており、自治体が条例でこうした条件を確保する規定を勝手に盛り込む行為は、国防への協力拒否を意味するだけでなく、仮に条例が制定されても法律違反として無効とみなされる可能性が高い。(中略)これまでに、条例を可決した自治体はないものの、運動自体は次々と別の地域で展開される状況が続いている。(以上、引用終了)


私はこのブログで何度か無防備地区(地域)宣言の無意味さについてコメントしてきた。即ち、①平時に、②交戦主体である国と無関係に地方自治体が、③無防備地区(地域)宣言をすることができる;その効果として、④その地方自治体の住民は敵の攻撃を免れ、かつ、⑤その地方自治体とその住民は自国の戦争遂行に協力しなくともよい(協力してはならない)という主張は、「ジュネーブ諸条約第一追加議定書第59条」とは無縁な主張である、と。尚、より詳しい説明は下記拙稿と参考URLをご一読いただきたい。

・アーカイブ:無防備地区宣言の妄想と詐術(上)(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/241060.html

・参考:無防備地域宣言運動への反論
 http://xdl.jp/hantaitouron/index.shtml

・参考:無防備地域宣言運動の嘘
 http://obiekt.seesaa.net/article/9271282.html

・参考:無防備宣言都市
 http://www.mars.dti.ne.jp/~saitota/hitori051210.htm


国際法-憲法-行政法の解釈からは、上の諸論稿でもって既に無防備地域宣言を条例で行うという試みの荒唐無稽さは完全に論証されているはずである。しかし、無防備地域宣言の条例化を目指す運動が全国に広がっているのもまた事実である(下記「無防備地域宣言運動全国ネットワーク」のURL参照)。ある同志の言葉を借りれば「多くの人々の絶え間ない反論にもかかわらず、あるいは切られたのにも気付かないのか、この無防備宣言都市という発想はゾンビのようにしぶとく広まっている」状態なのである(笑)。さて困った(笑)。

・無防備地域宣言運動全国ネットワーク
 http://peace.cside.to/

困ったというか、完全に破綻しているこの<無防備地域宣言の法論理>に基づいて、<無防備地域宣言の条例推進運動>が広範に展開されている現象に私は大変興味を持っている。而して、この記事では法理と運動の交差というか落差の原因について考えてみたい。


◆確認☆無防備地域宣言運動の論理と意図
無防備地域宣言運動全国ネットワーク結成の際の基調「全国ネット結成にいたる経過とこれからの取り組み」の第1章「はじめに~無防備地域宣言(運動)とは」にはこう書いてある。以下、引用開始。

ジュネーブ条約追加第一議定書(1979年)第59条は「いかなる手段によっても紛争当事国が無防備地域を攻撃すること」を禁止し、その無防備地域に4つの条件をあげている。

(a)すべての戦闘要員並びに移動兵器及び移動軍用設備は、
 撤去されていなければならない。
(b)固定の軍用施設又は営造物を敵対目的に使用してはならない。
(c)当局又は住民により、敵対行為がなされてはならない。
(d)軍事行動を支援する活動が行われてはならない。

この規定を活用して、「(平時から)戦争不参加の意思を表明し、そのために地域の非軍事化に努め、戦争の危機が迫った場合には自治体が無防備地域を宣言して戦争から離脱し、あくまで地域住民の生命財産を戦果から守る運動」(林茂夫氏)といえる。(以上、引用終了)

また、同ネットの桝田俊介事務局長は『週刊金曜日』(2005年12月9日号:No.585, pp.18-19)の中でこう述べておられる。以下、引用開始。

●無防備地域宣言は戦争に協力しない
この運動は住民が地域で戦争非協力を貫くことで戦禍を免れ、さらにはそれを宣言することで戦争への流れを阻止し、国家に戦争をさせない平和の力を生み出すことを呼びかけています。(中略)確かに議会の壁は厚いですが、引き続きこの運動を広め、武力によらない平和の実現に取り組んでいきます。(以上、引用終了)

ジュネーブ条約が規定する無防備地域宣言を条例で行うことはできないというポイントについては再度詳しく論じる必要もないだろう。そもそも無防備地域宣言の制度主旨は、「敵国の占領や攻撃に対し、抵抗も武装もしない地域を無防備地域とし、敵の無血占領を認め、無条件降伏を宣言することで、消耗戦や敵の不必要な攻撃をやめさせ、住民の無用の犠牲を防ぐ」(上掲、産経新聞記事より引用)ことであり、簡単に復習しておけば、

(イ)平時の無防備地域宣言は真冬の幽霊
ジュネーブ条約追加第一議定書59条の規定は戦時国際法の規定であり、それを平時に行うことはできない。59条第2項本文に書かれている通り「軍隊が接触している地帯の付近又はその中にある居住地区であって敵対する紛争当事者による占領に対して開放される」地域だけが「無防備地区宣言」の対象なのだから。

(ロ)無防備地域宣言の主体は紛争当事者
無防備地域宣言は交戦中の国家だけができる。百歩譲ってこの59条2項だけを見てその宣言の主体を「紛争当事者の適当な当局」なるものとしたところで、その当局には同条の4項目:即ち、(a)すべての戦闘要員並びに移動兵器及び移動軍用設備の撤去:(b)固定の軍用施設又は営造物の敵対目的の使用禁止:(c)当局又は住民の敵対行為禁止:(d)軍事行動を支援する活動の禁止のすべてを実効あるものにする、法的と実力的の双方の権能がなければならない。よって、少なくとも(笑)、地方自治体は日本では「紛争当事者の適当な当局」ではない。


◆推論☆無防備地域宣言運動の思想と目標
死者に鞭打つような<無防備地域宣言の法論理>が破綻しているという話しはこれくらいにしよう。問題なのはゾンビである<無防備地域宣言の条例推進運動>の方なのだから。問題はシンプル。それは、荒唐無稽な無防備地域宣言がなぜ運動としてはその勢力を失わないのか、これである。

しかし、その解答もシンプルなのではなかろうか? 要は、最初から無防備地域宣言運動にコミットしているプロ市民の人々は国際法-憲法-行政法などから見て同宣言が荒唐無稽なこと、即ち、ジュネーブ条約追加第一議定書59条が規定する法的効果が具現するかどうかなどどうでもよいことなのではないか、と。つまり、そもそも無防備地域宣言と同条例推進運動はメビウスの帯の関係にあり、

(甲)国家と住民の関係を思想的に分断すること
(乙)戦争を行える普通の国に日本がなることを阻止すること

彼等はこれら(甲)(乙)の二つを実行するための(よく言えば)契機、ありていに言えば方便としてジュネーブ条約を使っているだけなのではないかということである。実際、「無防備地域宣言は戦争に協力しない」「この運動は住民が地域で戦争非協力を貫くことで戦禍を免れ」、あるいは、無防備地域宣言そのものが戦時国際法上の制度であるのにかかわらず「無防備地域を宣言することで戦争への流れを阻止し、国家に戦争をさせない」などと全国ネットの事務局長が語っておられるのを読むとき私にはそうとしか思えない。

私のこの推論がもし満更間違いではないとすれば、無防備地域宣言運動は国際的に認められている法制度を運用すると見せかける不当表示というだけでなく、国防を妨害する勢力を日本国内に抱えさせることにより日本への武力行使のコストを低減させる点で(この場合、無防備地域宣言運動は紛争の促進要因になる!)、この運動にコミットしているプロ市民は幾重にも宣言運動に賛同する善意の住民を騙している。

蓋し、無防備地域宣言運動にコミットしているプロ市民は、戦争は自然現象ではなく人間の行為だから止めさせることができる;または、戦争は国家の指導者が決断し国家が国民を巻き込んで行うものだから、国民(住民)は戦争に協力しないことも可能だという想定をお持ちなのかもしれない。しかし、経済のグローバル化の進行と同じく戦争は人間のコントロールを超える点では自然現象と何の違いもないし、また、国家と無縁に国民や住民が戦争や平和を手にすることはないのである。

畢竟、第二次世界大戦が終了してからのこの60年間;世界に現存する193ヶ国(国連加盟191ヶ国+台湾+バチカン)の中でこの60年間に戦争を行っていない国は8ヶ国+バチカンにすぎない(アイスランド・ブータン・デンマーク・フィンランド・日本・ノルウェー・スウェーデン・スイス;これら8ヶ国の人口は全世界の人口64億1560万人(2005年1月現在の国連による推計)の2.5%、1億6千万人にすぎない)。このことを鑑みれば少なくとも、2005年の現在において戦争は常に起こりうるという前提の上で諸国家はその国民の安全と安心を確保する施策をとるべきことは確かであり、無防備地域宣言運動などは、本質的に戦争を誘発する危険な政治運動に他ならない。私はそう考える。


投稿: 中村 | 2005.12.24 23:10

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