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2006.01.04

滅びの美学を超えて

『新選組!!土方歳三 最期の一日』を見ました。
感想は、月並みですが、
「良かった」の一言です。
テーマは「生きる」ことだと脚本家の三谷さんも述べていますが、
確かに、生と死との狭間で揺れ動く人々の気持ちが丁寧に描かれていました。
今までの土方像と言えば、死場所を求めて戦った新選組最後の人という印象が強く、その様に後々まで語り継がれています。
その壮絶な死に際に、
人々は哀しみと嘆きと、そして一つの時代の終焉を見てきました。
つまり人はそれを
「滅びの美学」と称します。
哀惜とともに若者たちを思う時、
生き様よりは死に様を賞賛したものです。
しかし、今回のドラマはこうした視点を覆すものでした。

時代に翻弄され、
時代の流れに追われる若者たちが、一人ひとり散っていく。
そして、ついに土方、一人が残る。
仲間達は既にいない。
遠い、とおい彼方で待っている。
ならば自分も行こう、そこへ。
と、逸る気持ちを押さえながらも、
自分たちが生きていた証だけは、
しっかりと残していきたい。
残さねばならぬ。
いつでも死ぬことは出来る。
が、今やることは戦うことだ
と、決意して榎本武揚のもとに向かう土方。
土方にとっては、まだこの時は「死は華やかな勲章」。

そして榎本、さらには軍師大鳥とのやり取りの中で、
すでに人生を諦めた三人が、それぞれの思いで、
再び「生きる、しかもより良く生きる」ことへの執着を持つようになる。
新選組があった証は死ぬことではない。
新しい豊かな時代を作ることである、、と確認。
土方は強烈に生きることを願う。
また、榎本も大鳥も自分を活かす道は自分で切り開くことであると得度する。

生きることは、
偶然ではない。
必然である。

そんな当たり前のことをもう一度三人は噛みしめる。

生きるという希望と目標に包まれ、
土方はその最後の充実した一日を突っ走る。
駆け抜ける。
そして死ぬ。
土方は死んだ。

近藤さんが、仲間が待つ彼地へと逝った。

ドラマは、壮絶で迷わず、しかし揺れ動く一つの時代の終焉。
美事なまでに描かれていました。

人は、これからは土方を思うとき、
哀愁と懐かしみと、飽くなき生への執着を思うに違いないのではと思いました。
それは、滅びの美学を超えて、、、
なかなかに明けなかった夜を明けさせた男たちの物語として、思い出します。

さて、物語の縦糸たるあらすじは、死から生へでした。
そして横糸はキャストです。
土方さん演じる山本さん。
素敵でした!!!
もう、彼以外の土方はない、、、と思うくらいはまっていました。
まっすぐな目がいい。
視線の向こうには、未来がある。
そんな熱くてなお涼しい目がいい。
山本さんは、本当に好演なさっていました。
また榎本を演じる愛之助さん。
あの鷹揚さと風格。
一朝一夕のものではありません。
大鳥役の吹越さん。
科白以上に顔、表情が物を言う素晴らしい演技を見せてくれました。
さらに回想シーンも煩くない程度のほどよいバランスで、みんなの顔を見ることが出来て懐かしく思いました。


全ての人に、
それなりの事情があり、
その中で精一杯に生きていく様を見ることで、
改めて自分自身の日常を振り返ることも出来たように思います。

本当に素敵なドラマでした!!!

なお、
新選組!を見たときの感想を書いた以前の記事を載せておきます。
お時間がありましたらご覧下さい。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
時代を駆け抜けた男たち
滅びの美学
最後の武士

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コメント

瀬戸さん、こんにちは。
 ようやくトンネルから脱出してきました。もう大丈夫かなと思っています。
 さて、昔は「生き様」という言葉はなく、「死に様」だけです。従って、「生の美学」はなく、「死の美学」だけであった。
 ところで、新撰組は死の美学を追究したものでした。だからかっこいいのでしょう。
 またよろしくね。

投稿: hitoriyogari | 2006.01.04 15:05

hitoriyogariさん。
おめでとうございます。
実は今朝、辛口の方へ行って、
まだ更新されていないので心配していたところです。
コメント頂けて本当に嬉しい!!!
とても幸せ!!!
いつも私の心の隅にhitoriyogariさんの場所があって、どうなさっているかと、気にしていたのです。
まだまだ寒いとは思いますが、
お体、絶対、ぜったい大切になさってくださいね。

さて、ご指摘有り難うございました。
そうですか、、、
生き様と言う言葉は本来はなかったのですか。
なんだか何気なく使っている自分が恥ずかしい^^;
しっかり反省。
これからも、アドバイス宜しくお願いいたします。
楽しみにしています。
では、、、また。

投稿: せとともこ | 2006.01.04 15:31

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受信: 2006.01.05 01:12

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