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2006.02.21

道州制

 首相の諮問機関である地方制度調査会が「道州制の導入が適当」とする答申案をまとめ、28日の総会で決めたのち、小泉純一郎首相に答申する予定とのこと。
さてこの道州制
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
行政区域を比較的大きなregion(国によって「道」「州」「省」などと呼ぶ)に分け、広範な行政機能を持たせて地方主権を図る制度である。
(上記wikipediaより)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ということで、実はこの問題少なくとも昭和30年代からあったそうです。
その理由は、西洋の先進国が、移民によって戦後の高度経済成長の労働力不足を補ったのに対して日本は、地方の余剰労働力を、出稼ぎや集団就職などの手法で都会に移して労働力不足を補ったため、過疎・過密が進んだ地域が生まれたため地域間の格差を是正することからでした。
ところが、
税収が少ない県には地方交付税交付金や補助金を投入したり、池田勇人内閣の所得倍増計画や田中角栄内閣の日本列島改造論、はたまた、総合保養地域整備法(リゾート法)などによって地方への公金投入をしたことにより、地方の生活基盤の整備が進んだため、独自財源増大を目的にした道州制を導入する意味がなくなり、道州制論議は不活発なまま推移したそうです。
ところがここ近年になって道州制の議論が改めて活発になった要因には、つぎのような理由が挙げられています。
・国家の借入金が膨大になり、中央(大都市部)が、地方に、とりわけ「ムダな公共事業」に対して反感を持っているため。(しかし、中央の「ムダな公共事業」については居直っている。)
・中央から地方へ、地方交付税交付金や補助金を投入しづらくなったため。
・中央による、強引な市町村合併の延長線上。これが進んで、基礎自治体が十数個しかない県や、都府県規模の巨大な面積の市が造られているため。
・地方債の格付けが下がり、自治体として破産してしまうので、外見の予算規模を大きくするため。
・交通網の発達により、生活圏・経済圏が拡大したため。
・歴史的背景に基づくもの。この説は、元々日本は約10個の国から成る連邦国家だった、という背景に基づいているとのこと。
なお、上記の記事はwikipediaを元にしています。
さて、こんな道州制。
今、出されている案を見ていきましょう。
現在の47都道府県を廃止。
全国をおよそ10くらいの「道」「州」に再編、市町村との二層制にしようというものです。
16日に同会専門小委員会がまとめた答申案では、
区域案として9,11,13地域に分ける三案を盛り込みました。
また答申案では、国の役割を外交、防衛、通商などに限定。
国が道州へ移す主な権限として、国道の管理、一級河川の管理などを挙げています。


さてさて、
この道州制が実施されたらどんな問題が生じるか???
その疑問点や問題についてはwikipediaでは以下のように書かれています。

・都道府県の廃止
道州制の実施に伴い、都府県は廃止される。しかし、県への愛着や誇りなどといった土地観や感情の問題などから、都府県の廃止に国民の理解が得られるかを疑問視する声もある。
・府県の分割
市町村において合併や分割が行われている点から、府県でも合併や分割が認められるのは自然な事である。
・面積
面積が大き過ぎては、道として成り立つかという問題もある。例えば、東北、北陸や九州などにこの傾向が見られ、北と南、東と西で文化圏や経済圏が大きく異なる状態では、食い違いが大きくなることが懸念される。
・名称
道州制の施行に際しては、方位(東西南北中)を付けた名称を極力避けて、雅称を用いるべきだとの意見がある。これは、安易な方位地名の濫用や、安易なネーミングによる「安っぽさ」を防ぐ事が目的である。
・財源
財源に関しては、貧富の格差を是正するために、税収の多い道から多めに国税を取って、それを税収の少ない道に回す必要がある。又、「紐付き」の補助金を、「紐抜き」の一般財源に転化する必要もある。
・市町村は別問題
市町村の合併・分割(分合)と、府県の合併・分割は、本来は分離して考えなければならない問題である。


こうして問題点を見ていくと、
都道府県が広域化することで、地方行政がますます遠い存在になってしまいかねません。
また、
道州制の導入が市町村の大再編と一体のものとして進められている今の現実をしっかり見ることが必要です。
いわゆる「平成の大合併」によって、全国の市町村数は約3200から今年三月末には1821まで約4割減ります。
私の住む地域でも近隣の市町村合併が進められきそうです。
住民には直接問題がなさそうですが、
例えば、今までは近くにあった市役所が、遠方になるとか、
あるいは税金が高くなる、
学校の問題、
サービスが悪くなる(今までの常識では悪い方に基準が合せられているから)
などなど、双方の住民から不満が出ています。
住民からの下からの要望もなしに進められている道州制や市町村合併は、もともと財界の強い要望であったことを見過ごしてこの問題を語ることはできません。
1989年、経団連は、都道府県制について「国民や企業の活動範囲が全国的に広がってくることを考えると、行政単位としてはいかにも狭小に過ぎる」とその再編を提言しました。
そして、次に出てくるのが例の奥田ビジョン
これに関しては、ことある毎に述べていますが、
道州制に関しても例外ではありません。
「活力と魅力溢れる日本をめざして」を見ると、
「『州制』を導入する」と打ち出し、「社会資本整備や地域の環境対策などの内政分野については、各地域の州政府(全国で五〜十)、ならびに現在より広域的な自治体(三百程度)の所管とします」と明記しています。
さらに政府の経済財政諮問会議の専門調査会が05年4月にまとめた「日本二十一世紀ビジョン」では、
「道州制の実現・人口三十万人規模の基礎自治体」を目標に掲げました。
経団連が提唱することは、
福祉や暮らしを担う自治体を減らすことで、財政規模を大幅に縮減し、同時に、財界の望む大型プロジェクトを進めやすくする狙いであることは言うまでもありません。

この問題、日常的にあまり気にならないのですが、
いざ公的なサービスを受けようとするとき、その不便さを感じたり、
税金が知らない間に高くなったりと、
気がつくと住民にしわ寄せが来ていると言うことがあるかもしれません。
しっかり、自分の住む町の「市町村合併」にもう一度目を向けていきたいものです。

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コメント

30年も前からこの道州制議論があったことは知ってはいましたが、中央政府の組織まできちんと整備して提唱したのは、大前研一氏だと思っています。
わたしはメリットのみ書きましたが、勿論デメリットもあるわけで、よく国民のコンセンサスをとってからの話だと思います。

投稿: hitoriyogari | 2006.02.21 17:02

見せかけの改革は看板が派手なほどよく、実態のある改革は関係者が気が付かないくらい地味なものが良い。
改革は根元からばっさりとやらないと反撃にあって崩壊し、「徐々に一歩ずつ」と言う人は改革する気が無いか、既存の軋轢に恐れをなして立ちすくんでいる人です。
名前がどんなに変わろうと法律が変わらなければ変化なし。変わらない日本に出るは溜め息。

投稿: 心象仙人 | 2006.02.21 23:28

hitoriyogari さん。
心象仙人 さん。
こんばんは。
コメント有り難うございます。


hitoriyogari さん。
大前研一さんが「道州制」を提唱していることは有名です。
ただ、その背景には企業の論理があることはしっかり見ていく必要がありそうです。
住民にとっては暮らしにくくなることの方が多いようです。
しっかり、見ていく必要がありますね。


心象仙人 さん。
本当に仰るように、名前や見かけは派手ですが、
地道な生活者の声が届かない「改革」って、一体なんなのでしょう?
結局、小泉さんが向いているのは、
アメリカと大企業だった言うことが明らかになったようです。
本当に、庶民は痛みだけが残りました。
これは「公約通り」???
かぁ。
ため息です。
と、言うことでまたご意見お聞かせくださいね。


投稿: せとともこ | 2006.02.22 18:16

せとさんはじめまして。日本道州制研究会で活動してます、山中です。47都道府県がばらばらでは、国に異議が唱えにくいし、霞ヶ関まで行かなくてもかなりのことがすむので、私は道州制には賛成です。ただ大前さんのような形の道州制には大反対で、道州制推進連盟(日本語検索で出ます)がこの案をほぼ受け継いでいて、そこの代表のOK牧人という人は地方の自立を口実にして、地方への配分をぶら下がりと批判しています。
 そのサイトの会議室という所をのぞいてください。OK牧人氏が作ったサイトの役割分担なんかで激論やってるので、みてください。

投稿: 山中鹿次 | 2006.03.01 17:40

山中さん。
こんにちは。
コメント有り難うございました。
早速、ご紹介のサイトを見てみました。
また、会議室も拝見いたしました。

いろいろ示唆に富むご意見があり参考にさせていただきました。

私も山中さんの仰るように「霞ヶ関」機能が住民に近くなれば良いと思います。
ただ、今回出されている答申では、かえって遠くなる気がしてなりません。
そもそも、住民自らの声が上がらない、未だ議論が未熟な中で、いきなりの道州制では混乱を招くばかりです。
背景が「経団連」であることは山中さんも言われていますが、明白です。
地方自治体の充実は私たちの生活にもろ跳ね返ってくる部分ですから、
この問題、しっかりと議論討論していきたいものだと考えています。
また、色々お教えください。
これからも宜しくお願いいたします。
では、、、また。

投稿: せとともこ | 2006.03.02 13:52

これは大阪市主催のシンポでも、庶民にメリットが見えない指摘がありました。ただ福井県南部は明らかに関西エリアで、南部の首長は北陸に入れられるのなら、北部と縁を切るとまで言ってます。今の都道府県の不合理さが修正できる絶好の機会でもあるわけです。

投稿: 山中鹿次 | 2006.03.02 21:41

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