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2006.06.24

妖精たちの夜 その2

この前の記事「妖精たちの夜」からお読みください。

ケルト人がどこで興ったかは諸説があり、定まった学説はないようです。
やがて紀元前4世紀頃ローマ帝国に押されてブリタニアへ大移動。これがいわゆる「大陸のケルト」。
様々の地域で融合していく中で「ケルトはヨーロッパのルーツ」と言われるようになります。
一方「島のケルト」も判然とはしない歴史を持ちつつも、現在ではケルトの国としては、アイルランドやスコットランドに一番、その血が残っていると言われています。
「スコットランド」かぁ。
うううう〜〜〜〜んん。
哀しい。
以前、とびきり難しい民族史と言うタイトルで民族の抱える問題について書いたことがあります。
アイルランドやスコットランドはまず気候が淋しさを際だてるように思います。
バグパイプの音が響く侘しさの中から培ってきたものは、
侵略の歴史に耐え、「目に見えない」美しい国への憧れだったのでしょうか?
「常若の国」「喜びが原」「至福の島」「波の下の国」からなる楽土。
これは不老不死の霊境です。
死者の国ですが、美しい花が咲き、実り豊かな世界。
これがフェアリーランド、つまり妖精の世界へとつながります。
ドルイドの神秘の力を信じ、霊魂不滅
輪廻転生の考えを、静かに豊かに確実に育てていきます。

自然から生まれ、自然の中で育まれそして還っていく、そんなケルトの思想は、
仏教の宗教観や死生観に相通じます。
精霊達は、花々に樹木に宿ります。
魔力のある木は「オーク」「トネリコ」「サンザシ」とされ、人々に愛され、文学の中でも多く出てきます。

見えない世界、しかし確かにあることを願って人々はフェアリーランドを産みだし、
そこに住む妖精を愛しました。
文学に、絵に彫刻に、そして舞台に音楽に。
いたずらっ子の妖精。
清らかな妖精。
人々の願いをうけていろんな妖精が生まれます。
中世では裸の女性を描くことは禁じられていました。
しかし妖精ならいいだろうという理由で、
絵画に出てくる妖精は実に艶やかで美しい。

コナン・ドイルは妖精をこよなく愛した人としても知られています。
「たとえ目に見えなくても、そういう存在があると考えるだけで、
小川や谷は何か新しい魅力を増し、田園の散歩はもっとロマンチックな好奇心をそそるものになるだろう」と書いています。

その世界が本当にあるかどうかはわからない。
あるとも、ないとも言えない。
しかし、その世界が私たちに語りかけ、
繰り広げるロマンは目には見えないが確かにある。
と、私は思います。


と、言うことで妖精の森を突き抜けました。
また機会があれば次の森へとご案内いたします。

では、今晩は素敵な「夏の夜の夢」があなたに訪れることを祈りながら、、

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コメント

せとともこさん、こんばんは。
「妖精たちの夜」と題した2つのエントリー、興味深く拝見しました。
「夏の夜の夢」に「妖精」とくれば、クラシック音楽を愛好する私にはまずメンデルスゾーンの音楽が思い浮かびます。シェイクスピアの喜劇に付けられた音楽で、結婚行進曲が有名。この音楽を知らない人はいないでしょう。
今晩はこの音楽を聴いて過ごそうかな。

ところで、今私はまたもや例の事件と死刑論の議論に足を突っ込んでいるのですが、この議論に新しい光を当てるとすれば、妖精舞う世界の死生観・世界観ではないかと思っています。「人権」という思想は一神教的な世界感から生まれたもので、現在の議論はここをベースになされますが、私にはどうにも行き詰まりが感じられて仕方がないです。
死刑論の議論に妖精を登場させるのも一興かと思ったりしますが、マジメに受け取ってもらえないかも。

投稿: 愚樵 | 2006.06.25 19:02

愚樵 さん。
こんにちは。
コメントありがとうございます。
以前頂いたご質問の「共謀罪」と安倍さんの記事にたいしての私なりの意見を書かなければと思いつつ、遅くなっています。
と、言うか事件、問題の流れが早くて、付いていけないことと、私のあの時の感想は、最早世間の流れの中で、やや「鮮度」が失われたかなというのが本当です。

さて、「例の光市事件」に関してのエントリー。
拝見させていただいています。
また、コメントの皆さんのご意見も参考にさせていただいています。

>死刑論の議論に妖精を登場させるのも一興かと思ったりしますが、マジメに受け取ってもらえないかも。

是非、書かれて下さい。
愚樵さんの手にかかるとどんな素敵な考えが織り成されるか、、、楽しみです。
実は「妖精」の記事を書きながら、以前のエントリーで「木を切るお仕事」について書いていらっしゃいましたね。あの記事を思い出していました、、、
またクラシック音楽に造詣の深い愚樵さんゆえ、メンデルスゾーンとくるだろうと思っていました。
と言うことで愚樵さんに敬意を表して、今
「スコットランド」を聞きながら書いています。
勿論、A MIDSUMMER'S NIGHT DREAMは書くまでもありません。
ちょっと散漫になりましたが、いずれ改めて記事にしたいと考えています。
では、、、また。
(なお、コメント機能をちょっと変えたので、すぐに公開されませんが、よろしくお願いいたします)

投稿: せとともこ | 2006.06.26 15:34

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