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2007.02.06

競争社会

今日を象徴する言葉として「格差社会」があります。
格差社会を支えているのは新自由主義による競争社会であることは言うまでもありません。
新自由主義と規制緩和について今までも何回か考察してきましたが、もう一度おさらいということで1970年前半のスタグフレーション、ケインズ経済の衰退以降の流れを時系列で追ってみます。
ミルトン・フリードマンを中心としたシカゴ学派のマネタリズムは、
ケインズ経済学の有効需要論を批判。
通貨の供給管理を重視する金融政策を経済の中心に据えることで、
政府は経済成長のために財政を使うことは無い、いわゆる「小さい政府」を提唱。
経済成長は市場での自由な競争の合理的結果としてもたらされるとする考えです。
これを支えたのが新自由主義と呼ばれるもので、現実には政府は企業に対して様々な規制を緩和・撤廃、同時に社会福祉などを見直し労働者の権利を縮小していく政策をとっていきます。
最初に実行したのはイギリスのサッチャー首相(1978年就任)。
続いてアメリカのレーガン大統領、日本の中曽根総理、ドイツのコール首相などがこの政策を展開していきます。
では日本では具体的にどの様に展開されたを見ます。
国鉄、電電公社、専売公社の民営化がなされました。
また90年代には金融市場での緩和、撤廃が相次いで行われグローバリゼーションは浸透していきます。
アメリカの対日要求もこの時期は強まります。
アメリカ流の市場原理を日本も適用するように要請。
96年、橋本政権の日本版ビッグバンは日本の金融の再編を促進。
しかし同時にこの時期は80年代後半からのバブル崩壊やそれに続く銀行の不良債権などが相次ぎました。
そしてついに7つの住宅金融専門会社の破綻。
山一証券、北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行の破綻と続きます。
この収拾をはかるため政府は公的資金(60兆円)を導入。
こうして金融機関の破綻処理に政府の全面介入が行われることで、
新たに市場経済に政府が介入していくという新自由主義の形がより整っていきます。
2001年4月に発足した小泉政権ははっきりと「小さな政府」と打ち出し、
構造改革を謳い、国民への痛みを押しつけることに逡巡はありませんでした。
経済諮問会議が政策の中枢。
国際競争を目指し多国籍企業を中核として据える。
この二つを目的に小泉総理と竹中金融大臣は、あらゆる社会経済の分野に競争を導入。
郵政民営化がその代表とされるところです。
そして労働市場の規制緩和にもドンドン着手。
大規模なリストラが行われ、2002年度には完全失業率は5.4%。
低賃金の非正規雇用の拡大。
こうした政策の進む中で「勝ち組・負け組」と言う言葉が当たり前のように使われて来るようになりました。
しかし、出来上がった経済は、
国民大衆生活の不安定化です。
競争社会に晒されている中で、労働の担い手である国民がストレスを抱え、健康を蝕まれ、若者は先が見えなく、労働意欲も失われ、結婚するカップルは減り、子どもの出産も少なくなるという結果が次第に明らかになってきました。
しかし、しかし、
現政府が行おうとしていることは、こうした行き詰まりの経済の打開策を国民の負担増ということで図ろうとしていることです。
大企業には法人税は減、国民には各種保障はとっぱらい、さらに消費税負担までさせようとしています。

では、私たちは何をどの様にすればよいか。
まず手始めとして行うことは「競争社会」について再考することではないかと思います。
今、学校の教育現場で競争原理がバンバン入ってこようとしています。
学力格差に加え、学校間格差が大手を振るって学校に入ってきたとき、
子どもたちは、現場の教師は、
如何に立ち向かうことができるでしょうか。
唯々諾々と上からのお達しに従い、競争原理、成績至上主義を受け入れたときは教育の死ということです。
私たちは、まず競争原理から子どもたちを守り、労働者を守らなければなりません。
因みにここで言う競争原理とは新自由主義に組み込まれた競争原理です。
人が学ぶことや働くことで意欲となるプラスの競争意識ではありません。

いずれにしても新自由主義は知らずしらず生活に浸透していることを実感します。

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コメント

せとさん、こんにちは。
 「競争社会」ですか。これは資本主義社会では宿命とも言うものでしょう。共産主義社会を望まないとすれば、ある程度は致し方ないことでしょう。
 ただ、どの程度の修正を加えるかで、その社会が救われるかでしょう。
 ジニ係数を持ち出すまでもなく、格差社会になりつつあることは否定できません。
 安倍さんは小泉さんのやった政策の修正で、頭の中がいっぱいになっているようですね。

投稿: hitoriyogari | 2007.02.06 15:04

 新自由主義関連を、TBさせていただきます。
 わたくしも、現状分析について、貴方とまったく同様に把握していますが、多国籍資本(多国籍企業)についての、理解が異なる方々がおられるようですが…

投稿: harayosi-2 | 2007.02.07 19:38

hitoriyogariさん。
harayosi-2 さん。
コメントありがとうございます。

hitoriyogariさん。
そうですね。
資本主義の世の中って競争は厳しいですね、、、
ただ、今つくられている競争はかつてなくシビアです。
しかも生活の隅々にわたって浸透して来ている、また心まで蝕まれていることに危機感を覚えます、、、
故き良き時代を思うとますます荒廃を感じます。
未来の子どもたちに何を手渡せるのかと思うと責任を感じます。


harayosi-2 さん。
トラックバック有り難うございます。
社会保障の現場は新自由主義に一番目に蹂躙された所だと思います。
これからの高齢社会にむけて、政府の冷たい政策には心底、反対の声をあげていきたいものです。
またいろいろお教えくださいね。
では、また。

投稿: せとともこ | 2007.02.08 16:07

今日は。

最近「小国寡民」という政治の在り方もあると知りました。

過当競争を謳歌する政治と比較しながら考えを進めてみると、大変興味が出て来ました。

投稿: hamham | 2007.02.09 10:33

hamham さん。
こんにちは。
いつもトラックバック、コメントありがとうございます。
今、受験シーズンでバタバタしていてお返事遅くなりごめんなさい。

さて「小国寡民」ですか、、、
そうですよね。
大国って言っても、その実狭い国土で競争でウヘウと喘いでいる国民と、小さくて少ない国民でしっかりと政治を行う老子の思想とは対極にあるものなのでしょうか???
またいろいろ教えてくださいね。
ブログ、いつも拝見していますよ(^.^)
楽しみです。

投稿: せとともこ | 2007.02.17 17:40

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