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2007.03.30

「権利侵害しないでさん」へのお返事

国民投票案と言う記事を2005年の12月に書きました。
その後も私は国民投票法案の動向や内容については拘ってきました。
何故いま?「憲法改正国民投票法案」
「憲法改正国民投票法案」その2
「憲法改正国民投票法案」その3
「憲法改正国民投票法案」その4
国民投票制度とメディア規制
硬性憲法の意味
さらには共謀罪との関連や、
あるいは国会で審議されるたびにその問題点について述べてきました。

そんな国民投票法案について昨日 「権利侵害しないで」 さんからコメントをいただきました。貴重なご意見、有り難うございました。
本来ならコメントでお返しする事が筋ですが、
ちょうど、エントリーで挙げようとしていましたので、こちらでお返事と言う意味も込めてエントリーとして書きます。
では、
「権利侵害しないでさん」のコメントに沿って今回は論を進めていきます。
まず「現行憲法の第96条で定められている改正手続を、なぜ否定しようとするのか理解出来ません。」と言うお尋ねに対して。
これは先に記事に書きました硬性憲法と重複いたしますが、
立憲主義とは国民が憲法で権力を拘束することです(近代市民革命で確立した大原則であり、民主主義の原則でもあります)。憲法で作られた立法権は根本法である憲法を改正する資格は持っていません。持っているのは国民のみです。
しかもその手続きは通常の立法以上に厳格でなければなりません。
さて今、国会で提出されている法案の中身を厳密にチェックしていくならば、
残念ながら憲法改正者である国民が不在、あるいは不在にされそうな事に対して危惧を表明しているのです。

次に「国民には選択する権利があります。」と言うご意見。
本当にそうです。
まったくもって大賛成です。
これに関しては一番大きな障害は「説得時の平等」確保です。
ご存知のようにメディア利用の広告放送は制限されますがあとは自由です。
しかし全国紙一面の広告料が3000万円の業界にあって、情報を提供するには多額の資金が必要です。
国民の判断を左右する情報が公平かどうかという点については更に論議する必要があります。
言論封殺をさせないためにもメディア利用について真剣に論じなければならない課題です。
また運動期間が短い事も「知る権利」に抵触します。
2ヶ月が最短です。
この期間で国民の多くが情報を得、議論を重ね意思を形成できると思われますか?
私は無理と思います。

私は「権利侵害しないで」さんが主張なさるように、本当に国民が公平に自分の意志で選択できるために、
この法案は拙速で通過させてはならないと思っています。

間違っても、「国民は運動の客体として投票にだけ行ってくれればいい」と言う者にならないために、
法案提出者は、もっともっと国民に支えられる努力をすべきです。
ところが最低投票率の制度は設けていないとなると、
何を持って「国民の意思」とするのでしょうか?
そもそもの立憲主義の精神に戻るなら、
今、提出されている法案の中身は、
国民の権利保障から遠いものであると考えます。

と、言う事で「権利侵害しないで」さんへのお答えを兼ねて、
問題点をさらいました。
問題点は、まだあります。
運動の主体者に対する規制です。
これに関してはまた機会があれば書きます。
今日は、まずはここまで。

追記。
ブログ仲間の村野瀬さんにも同じ内容のコメントがついているので、笑ってしまいました、、、

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投稿: disconsolate | 2007.04.02 10:26

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