あとから来るもののために
問題山積の学力テスト。
いよいよ今日行われます。
対象は小学校6年生と中学3年生。
2004年11月4日の経済財政諮問会議で当時の中山文部科学相が「競争意識の涵養」をあげて全国学力テストの実施をかかげたことは記憶に新しく私も当時、この発言を受けて記事にしました。
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「努力して自分を磨く」
「秀でることへの憧憬の念」
などを教育で教えないから社会に出てから激しい競争に耐えることが出来なくて、
出勤拒否や離職者が増えて来ているのだ。
もっと競争原理を教育の現場に導入するべきだ。
(中山さんの当時の発言より)
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一見、正しいのですが、明らかな間違いは「秀でることへの憧憬の念」と決めつけることです。
確かに子どもたちは「学ぶこと」「未知への限りない憧憬」はあります。
何故?
どうして?
どのようにすればいいか???
疑問は尽きません。
しかし、この疑問は「秀でることへの憧憬の念」や競争原理という大人の価値観とはまったく別のものです。
そもそも子どもは純粋に「学びたい」のです。
その学ぶ意欲や権利や場をもぎ取っていったのは他でもない文科省ではありませんか。
そして、今度は「学力低下」を錦の御旗に掲げ、
堂々と競争原理を学校現場に持ち込もうとしています。
しかも、こともあろうことか、その主体者が民間なのです、、、
民間に丸無げして、
教育を語る資格が文科省にあるのだろうか???
この結果を学校間格差や市町村、自治体の教育行政に反映させるとするならば、
競争がとんでもなく繰り広げられることは明らかです。
その競争は「いい意味」、つまり学ぶ意欲を伸ばすものではなく、
ひたすら点数にのみ拘る競争、薄っぺらい知識だけが子どもたちにつけられ、すぐにはがれていくというものであることは容易に予想できます。
いつでも、
子どもたちは犠牲を強いられてきました。
期待される人間像に始まり、ゆとり教育に至まで、、、
その間、子どもたちは競争に晒され、悩み、苦しんで来ました。
本来、学問が持つ学ぶ意欲はすり減らされ、
ひたすら勉強嫌いを量産してきた文科省はここへきて、
自らの失敗を子どもたちに押しつけてきました。
文部行政がこれ以上子どもたちに犠牲を強いることのないように、
ひたすら呼びかけます。
学力テストはやめよう〜〜〜と。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとからくる者のために
苦労するのだ
我慢するのだ
田を耕し 用意しておくのだ
あとから来るもののために
しんみんよ
お前は 詩を書いておくのだ
あとから来る者のために
山を 川を 海を
きれいにしておくのだ
みな それぞれの力を
傾けるのだ
あとから あとから 続いてくる
あの可愛いい者たちのために
未来を受け継ぐ者たちのために
みな それぞれ 自分でできる
何かをしてゆくのだ
『あとから来るもののために』坂村真民より
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コメント
敢えて何も言いません。
しかし、丸投げ総費用77億円はどうなるのか。
多いのか少ないのか、よく分かりません。
何十年ぶりの「学力テスト」ですよね。
はてさて、どうなるのでしょうか?
投稿: hitoriyogari | 2007.04.24 17:43
その人の触ったものが何でもかでも金になる,という民話がありました.文科省が触ったものは何でもかでも鉛になってしまいます.子どもが純粋に目を輝かせるような事柄でも,文科省がからむと途端に子どもの目の輝きが失せてしまいます.
子どものやる気を奪うことで,文科省はこの国の科学技術文化の発展をどれほど妨害してきたことか.国民はこのことをハッキリ認識する必要があると思います.
投稿: Ladybird | 2007.04.25 14:22
お久しぶりです。なんかTBがうまくいかないので関連エントリをこちらに直接貼らせていただきますね。
戯画化する教育環境と教育に関する意思決定の分権化について http://muse-a-muse.seesaa.net/article/37299297.html
上記のような理由で安倍さんの教育関連の旗振りはそれほどの効果をなさないと思われますが、沖縄の教科書改訂などをみても予断を許さないような現状もあるようです。
とりあえず、参議院選挙の結果待ち、ですかね
投稿: m_um_u | 2007.04.26 09:59
hitoriyogariさん。
Ladybirdさん。
m_um_uさん。
こんにちは。
コメントありがとうございました。
hitoriyogariさん。
そうですよね。
裏で莫大な税金が民間に流れていくことも見落としてはいけませんね。
実際、テストを受けた子どもたちの感想は「簡単」だったそうです。
が、
それでもちょっとした失敗をした子どもにとってはかなり傷つくかもしれません。
一体、なんのためのテストか、と改めて思います。
Ladybirdさん。
本当に仰るとおりです。
文科省が如何に子どもたちの学び意欲や生きる力を奪ったことか、、、
思い返せばキリがない。
教育がどんなに大切かと改めて思います。
だからこそ、自民党や政府は力を入れているのでしょうね。
愛国心、、、かぁ。
どうなるのでしょうか???
m_um_uさん。
お久しぶりです。
お元気でいらっしゃいましたか?
私は相変わらずボチボチとやっています。
さて、トラックバックの件、不思議ですね?
どうしたのだろうか???
いずれにしてもm_um_uさんの記事、拝見を致しました。
相変わらずオモシロイ。
グングン引き込まれて読みました。
義家さんに始まり、宮台さんまで、なかなかでした。
考え込みました。
ちょっと、すぐには感想が書けませんが、今度記事にしようと私も思いました。
愛国心。
徳育。
確かに今にはなじまない言葉です。
現場でもそうそう受け入れられそうにもありませんが、
しかし、少しづつ、ゆっくりシンワリと染みこんで来る怖さを感じる事も事実です。
今後、どうなるか、本当に今、考える時期だと強く思います。
また書いてみますので、その時はお知らせします。
これからも宜しくお願いします。
では、、、また。
投稿: せとともこ | 2007.04.26 15:15