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2007.04.03

科学と政治

温暖化ガス削減「米中印も参加を」 鉄鋼連盟が提言と言うニュース。
こんなニュースを目にすると科学と政治について思いが及びます。
昨年の1月29日ニューヨーク・タイムズはブッシュ政権が米国航空宇宙局 NASA の著名な気候科学者ジェームズ・ハンセン博士に地球温暖化問題について話さないよう、圧力がかけられていると報じたことやNatureの2006年2月23日号では「政治的干渉と闘う米国の科学者たち」と言う記事も出ました。
実際、アメリカではブッシュ政権と科学者の間で小さからぬ亀裂が生じています。
昨年2月の米国科学振興協会の年次総会で会長のディビット・バルティモアが公の場で政府の干渉を非難、さらに事実上の検閲と闘うように科学者に呼びかけました。
引き金になったのは先に述べたジェームズ・ハンセン博士の温室効果ガスについて政府の政策を批判する可能性があると言う事でNASAが圧力をかけたことです。その後NASAの報道官は辞任してこの問題の幕引きをはかりました。
バルティモア会長は気候学者として有名なハンセン博士の問題が一人ハンセンの事だけでなく科学者全般、あるいは科学そのものへの政治介入であるとして「行政優位理論」を批判したのです。
このハンセン博士と地球温暖化問題に関してはネットでも多く取り上げらていますので興味のある方はご覧下さい。
エネルギ政策に関してはアメリカ、とくにブッシュ政権が果たす役割は大です。
企業の利益のみを優先させる政策を今後も続けるとしたら数知れない環境難民が出ると予想されます。
一方日本では科学者と政治との関係は如何でしょうか?
アメリカの米国科学振興協会にあたるものとしては日本では日本学術会議があります。
科学の門番として科学者を守り、科学を守っていくことが最大にして最高の使命なのですが、、、
残念ながら今の学術会議は研究者の権利や地位の確保、また倫理的行動規範とはなっていません(これに関しては別の記事で詳細に書くつもりです)。
ここしばらく政治家の目を覆うような、あるいは耳を疑うような発言が相次いでいます。
その根底にあるのは、
基礎教育、科学教育の立ち後れがあります。
社会科学、自然科学全般にわたり政治が介入する事で真理探究よりも利益追求に学問が脅かされる事は、
いずれ私たち人類に返ってくる者ではと思います。
温暖化しかり、生命の倫理しかり、
歴史の認識しかり、、、
今、私たちがなすべき事は持続可能な地球を次代に引き渡すことです。
科学が政治から独立する事を願ってやみません。

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