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2007.06.20

さくらんぼ

昨日は桜桃忌でした。
偶然、夫の実家からさくらんぼが届きました。
桜桃忌に届いたさくらんぼ。
贈ってくれた父、母のことを思って子供より親が大事と言いながら、頂きました。
さくらんぼの季節になりましたね、、、
あの赤と黄色の小さなりんごのような形が愛らしいさくらんぼ。
口の中でプチュッと噛み切る時の歯ごたえがなんともいえず楽しいさくらんぼ。
聖母マリアも好きだったということらしいが、、、

さてさて、さくらんぼ。
実は昨日は水上勉の「ブンナよ木からおりてこい」について書こうと準備していたのです。
蛙のブンナが野心と見栄で高いたかぁ〜〜〜い椎の木のてっぺんに登り、
そこで見た事、考えた事、そして悟った事が描かれている水上作品の童話の一つ。
いえね、ブンナならぬ我が総理も、そろそろ政権の座からおりてきたらいかがですか???
と、思うことしきりのこの頃。
そんなわけでブンナを本棚から引っ張り出して読んでいたのです。
そこへ、やってきたのがさくらんぼ。
こりゃ、やっぱり水上よりは太宰を書くしかないなぁ〜〜〜なんて思いながら、
太宰のアレコレを思い浮かべていました。
ううううう====ん。
太宰かぁ。
太宰と言えば私が一番好きなのは「富嶽百景」。
作家の苦悩が滲み出ている作品です。
「月見草がよく似合う」と謳った富士。
大きなおおきな日本一の山と、名も知れず楚々と咲く黄色い月見草のなにやら寂しげな風情が、
当時の太宰の心境にピッタシだったのでしょうか。
この句を見ると芭蕉の「よくみればナズナ花咲く垣根かな」を思い出す私です。
何気ない日常の有り様を鋭くそしてビジュアルに描ききっていると思うのです。

さてそうは言っても、どうも頭はブンナがブンブンと鳴り響いている私は、
そうだ!太宰のお伽草子を書こうと、もう一度読み直しました。
何回読んでも面白い。
昔話というのは不条理の世界です。
悲しかったり残酷であったり甘美であったり異形であったり、、、と。
話の筋がどうにも複雑で何がいいたいのか?と思えば、あまりに単純で「あっそう」とかとか。
しかし、諦めない民衆のエネルギーが文字の裏に隠されていて、
そこを読み説くのは成人になった大人がいまなお昔話に魅せられ引き込まれる理由の一つです。

そしてこんな不条理の世界を太宰もまた魅せられた一人なのでしょうか。
彼のお伽草子は実に愉快です。
とくに私が好きなのは浦島伝説。
そう言えばこの話、かなり桜桃が出てきますね。
玉手箱の煙の謎が太宰によって太宰流に繙かれていきます。
乙姫の優しさが、
そして許すことの寛容さがここには描かれています。
歳を取ること、忘却することの有り難みが太宰によって浦島を通して教えられる思いです。

こうして読むと、
やっぱり太宰ってやさしい。

そんなあれこれを思いながら昨日はさくらんぼを食べました。
勿論、子どもより多く食べました!
と、いうことでブンナよ、もうちょっと待ってくれ、、、

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