世界の政治経済の変動 その2
先に書いた「世界経済の動向」を参考に今一度レーニンの「帝国主義論」をみていきます。
確かにレーニンの理論は現実とは乖離しました。
その最大の物は「列強による領土分割」という植民地支配と「領土分割のための更なる戦争」の二点です。
ではレーニンの理論は古く使い物にならないかというと、そうではありません。むしろ極めて新しい。
今、アメリカがおはこにしている「他国への介入と改造」「そのための覇権争い」。
その追求のためには戦争やあらゆる暴力とていとわない。
植民地支配と言う言葉は額面通りに受け取れば、レーニンのそれは否であるが、
現実、アメリカ主導の市場原理は資本主義的帝国主義とも言え、それがレーニンの指摘した成長・増長した姿であることを知る必要があるのです。
これは帝国主義自体が一極覇権に向かう性質を内蔵しているからです。
社会主義体制が崩壊しても、植民地が解体してもなお覇権主義は必要だったのです。
アメリカの中心の国際的枠組みを考えるためにギャラハー=ロビンソンによる自由貿易帝国主義(Imperialism of free trade)があります。
非公式帝国という概念を用い、自国の植民地以外への投資を説明している。彼らの論によれば、自由貿易の堅持や権益の保護、情勢の安定化といった条件さえ満たされるのならば、植民地の獲得は必ずしも必要ではなく、上記の条件が守られなくなった場合のみ植民地化が行われたとされる。(wikipediaより)
アメリカ帝国主義とはなにかの著者であるレオ・パニッチ やサム・ギンディン も次のように言う。
「帝国主義とは国家間の領域を媒介してはじめて確定できる問題である」と。
植民地支配は階級的力関係や文化、軍事行政能力など国家固有の要因によって多様でもあると述べています。
市場原理を公式の秩序としてアメリカはヨーロッパ・日本、発展途上国へと軍事をもちらつかせながら進出の歩をとめることなく止めることなく進めます。
アメリカにとっては理想は日本で成功したように他国も従属させることです。
そのために突出した軍事力を備えることは理の当然です。
つまり今日の世界経済の構造は帝国主義の発展・成長した姿なのです。
「アメリカ一極覇権の下での外交・軍事を使い資本の自由な活動交換の世界」「アメリカのもとでの各国の資本の相互浸透」。
この二点に集約されます。
アントニオ・ネグリはマイケル・ハートとの共著『<帝国>』で、
グローバリゼーションの進展に伴い出現しているこれまでとは異なる主権の形態を<帝国>と捉えました。<帝国>の特徴は、その脱中心性かつ脱領域性にあり、アメリカが現代世界で特権的地位を占めていることを認識しつつも、世界はアメリカによって支配されているといった「アメリカ帝国」論とは一線を画する理解を示しているとwikipediaには書かれています。
事実ヨーロッパの理論家の多くは先進国による世界の共同統治を描いています。
が、アメリカ自身は自国の経済が膨大な赤字を抱えようが、世界経済が不均等に発展しようがおかまいなく他国を覇権下におき、そこから依存・寄生しようとすることが目的であるので、弱体化することなく一極化に突き進んでいます。
こうした中で日本の果たす役割が何か?
アメリカ覇権の世界戦略の急先鋒になることか?
あるいは別の道を見つけることか???
今、私たちはその分岐点に立っていることは間違いありません。
ゆっくり、じっくり、しっかりと討論、議論しながら未来を決めていくときです。
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