宇宙条約制定40年
宇宙条約制定40周年の今年。
さらに広がりつつある宇宙軍拡に対して、どのように歯止めをかけていけばいいかを今日は考えていきます。
まず今までの状況を日本とアメリカを中心に見ます。
日本では二つの動きがあります。
一つはアメリカ主導のMD計画に参加協力するというもの。もう一つは宇宙の軍事利用それ自体を解禁しようとするもの。
これは一見良い方向に向かっているのではと思いますが実はそうではありません。
この動きを推進している人たちの思惑は自前の軍事力を宇宙にも拡大していこうというものなのです。
理由として挙げているのは北朝鮮からのミサイル・核攻撃に対しての防衛です。
日本人の命と暮らしを守る。
純防衛である。
周辺国に脅威は与えない。
費用対効果もある。
日本で自前の宇宙政策を行うことは経済政策の観点からも是である。
などを挙げています。
しかし、この自前宇宙産業の背景にはアメリカの新型戦争構想があるのです。
NCW。
ネットワーク中心型戦争といいます。
第二次大戦後、国連主導で各国はお互いの国家の平和と安寧を守っていくことを取り決めました。
領土拡大や植民地、また賠償金などの帝国主義的な振る舞いを禁じられたのです。
しばらくは、その流れに沿っていたのですが、どうにもこうにも我慢できない、またむき出しの帝国主義で領土拡大、いやひたすら儲けたいという国がありました。
そう、アメリカです。
と、言うかアメリカの一部の勢力です。
彼らは中東の石油資源や中央アジアの天然ガス資源、また中国やインドの経済成長に目をつけました。
そんな中、9/11事件が起きました。
恰好の口実を見つけた彼ら勢力は「テロの脅威」を錦の御旗に19世紀的軍事ドクトリンを復活。
宇宙は再びスポットがあたります。
偵察衛星、ミサイル発射探知衛星、軍事通信衛星。
さらに冷戦の遺産である宇宙空間とサイバー空間への圧倒的な支配をバックに、兵器システムを宇宙に移行。宇宙をベースに情報ネットワークを構築。
攻撃機能と防御機能を統合。
新しいスタイルのネットワーク中心型戦争(NCW)への準備は着実に進んでいます。
実際、イラク戦争はNCWの絶好の実験でした。
私たちはまるでテレビゲームを見ているように湾岸戦争を見ていたのですが、
さらに、威力は強くなりました。
全米戦略軍の新しい任務と使命は、ますます宇宙へと伸びていくわけです。
ならず者国家とテロ組織に対しては、いつでも電撃的に攻撃をかける。
核大国に対しては抑止力。
ミサイル防衛。
などなど明確な使命と任務をもって宇宙への覇権を活用している国、アメリカ。
このNCW構想を横から、後ろから、また全面からバックアップするのは日本であることは言うまでもありません。
日本人の命や暮しを守るなんて毛ほども思ってはいません。
MDの第一義的目的は「NCWシステムの防衛」です。
実際、前安倍総理は「集団自衛権の見直し」という事でアメリカの要求を全面的に受け入れる方針でした。
MDが配備されれば、宇宙は戦場になる可能性はグーーンと高くなります。
戦争のためだけに科学技術が開発され、膨大な費用があてがわれ、
結果、宇宙に膨大な汚染物質がまき散らされるだけなのです。
今年「宇宙条約」制定40年。
私たちは宇宙を守るために何をすればよいのか?
まずは、この条約の中身をさらに修正・加筆することが肝要かもしれません。
宇宙配備の禁止対象は兵器全般に拡大すること。
軍事衛星の配備禁止。
などなどの見直しが必要ではないでしょうか?
いずれにしても、新たな局面を迎えている宇宙。
私たちの在り方が問われています。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント