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2008.02.29

江原さんが大学で講義?

江原啓之が旭川大学の客員教授になる件と言うタイトルでkikulogの菊池先生がエントリーを挙げていらっしゃいます。
エントリーの内容もさることながらコメント欄を読んでさらに考え込みました。
大学人として菊池さんが、学問の危機を感じられるのは尤もです。
またコメントの皆さんも、それぞれの立場での専門や経験を語られていて、大いに学ばされます。


さて、そもそもの記事は週刊朝日やJ-CASTニュースに載っています。

この記事によれば、
==============
江原さんが講義するのは、08年4月に新設される、旭川大学(北海道・旭川市)の保健福祉学部。同大によれば、江原さんは客員教授として、90分の講義を年間2~3回する予定。科目名は「生命倫理」もしくは「コミュニティ福祉への招待」になる予定で、具体的な講義内容などについてはまだ決まってないという。
==============
とのこと。
旭川大学の保健福祉学部という学部がこの4月に新設されるのですね、、、
保健福祉ということだから、そこでは看護士さんが現場・臨床での患者さんへの対応やケアを学ぶことは当然です。
そこでスピリチュアル・カウンセラーと言う新しい職業の肩書きをもつ江原さんが、食指を動かしご自分から名乗りを挙げられたというのがニュースの記事。
そして、大学側は、
「講義では「スピリチュアル・カウンセリング」について直接扱うのではなく、あくまで「看護婦や看護士の実態や対処の仕方」が主なテーマになるようで、「スピリチュアル」を扱った講義として広報することはない」と言っているそうです。

と、なると江原さんは何を話されるんだろうか?
学生さんを前にして。
あくまで「看護婦や看護士の実態や対処の仕方」が主なテーマと大学当局は言う。
一方、江原さんは、ご自分の経験から、看護士さんたちの終末医療での現場での厳しい状況のカウンセリングを通して、新しく看護士さんになる若い人たちに「こころの持ちよう」を伝えたいと申し出たと言うことは、江原さんはスピリチュアルの話以外、何が出来るというのか?
まさかテレビ出演の裏話や本の売れ方?
あるいは音楽の話をなさるわけではないでしょう。

大学側が対外的にどんな言い訳しようとも、
江原さんを招聘したということは、スピリチュアルの話を学生さんの前で話すということです。
そして、その目的は、
看護婦さんや看護士さんの実態や対処の仕方の一つ、
ということになります。

これは、はっきりいって重大な瑕疵を大学に残すものと考えられます。
真理を探求するという自らの目的を霊媒師に明け渡すということになります。
(江原さん、霊媒師でなくてスピリチュアル・カウンセラーだそうです)

大学は、学問をする場です。
それが医学であったり、工学であったり、法学、文学であったり、
あるいは宗教学であったり、
様々な分野ではありますが、
「科学」という言葉に収斂していく学びの場です。
もし、当該の大学(旭川大学)が本当に学生さんに、終末医療の現状と看護婦さんや看護士さんの実態や対処の仕方の一つを教えたいとするならば、
学問としての心理学や社会学という面で斬っていくことが誠実な態度だと考えます。
死を目前にした患者への医療以外の心優しさ。
家族への気配り。
そして自分自身の心の持ちよう。
それらは霊の問題ではありません。
生きている私たちの問題です。
社会の問題です。
終末医療の充実や環境整備を学ぶことだって、大事な勉強です。
江原さんは、「科学」の何を教えるのだろうか???

これから、
終末医療という最も人間が畏れ、戦き、
そして如何に威厳をもって貫くかという「人として試される」現場で働く方々。
その彼らが、患者さんや家族の方々に、
安易に「おおいなるもの」に頼らせようとする姿勢は、
物事の本質と向き合うエネルギーをそぐものです。
考えることや感じることや対峙することを、全て何者かに預けてしまうと言うことは、
一見はラクに思えますが、実際は問題の放棄です。
医療現場のスタッフがすべきことは、ただ一つ。
医療のプロであることです!!!
最後まで患者さんとともに戦うこと。
病と戦うことです。
医療現場でプロとして働くスタッフには、
患者は信頼をよせます。
自らの仕事に全力で向き合うことを教えることこそが、
旭川大学のなすべき授業ではと考えます。
生命倫理なら、霊に頼らなくてもいいではないですか?
コミュニティ福祉への招待なら、何も霊をご招待しなくても生きている人々とのコミュニティを図ったほうが、よほど生産的ではないでしょうか?学長さん。

と、言うことで江原さん。
あなたの霊は、どのようにこの問題を見通していますか?
私は霊は見えません。
見えない私は理性で考え、感じたいと願っています。
そんな私からすれば、この話、誠実ではないように思えます、、、
(あっ、いえね。
江原さんのなさっている仕事を理解して、なおかつ相談に行かれる方々は、それはそれでご自分で納得しているのだから宜しいのですが、
今回のように、学生さん相手に、講義することが誠実ではないと申しているのです。)

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コメント

酷い客寄せパンダですね・・・。

「霊」というのは、とても微妙な問題で、キューブラー・ロスであっても、慎重に取り上げるべきと考える私にとっては、大学の知性の低さを露呈しているとしか思えません。

リテラシー能力の低い(というか、鍛えることを阻まれている)日本人だなぁ、と感じざるを得ませんね・・・。

投稿: 水葉 | 2008.02.29 17:59

せとさん。 今晩は。
改悪前の真の教育基本法をもう一度読んでみました。
--------------------------------
第一条 (教育の目的)  教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
--------------------------------
この理念は、厳然と、豊かな感性とそれに連なる理性を有する21世紀の人たちの内面に生きております。現代人にとっては不滅の理念です。

人間を道具として利用し、蔑にし、侮蔑する輩が如何に巧妙に、自己の利益のために、庶民を洗脳しようと試みても、先は見えております。国民、人類の目は節穴ではありません。決して許してはおかないでしょう。

投稿: hamham | 2008.02.29 19:48

水葉さん。
hamhamさん。
こんにちは。
コメントありがとうございます。
擬似科学もそうですが、
こうした「いかもの」が教育の現場、医療の現場に次第に忍び寄って来る中で、こうして、人々はいつの間にか思うこと、感じること、考えることを失っていくのでしょうか?
なんというのか、この問題は氷山の一角なのでしょうか?
私たちは「もぐらたたき」のように、一つひとつの事例を諦めることなく丁寧に告発していく必要があるのでしょうね。


水葉さんは、そう言えばカウンセラーですから、
この問題に関しては、心理学という意味からも大きな問題があるのでしょうね。
キューブラー・ロスに関しても、私はあまり知らないのですが、友人の看護婦さんは、とても蘊蓄深くいらっさいます。この件に関しては激しく憤っていらっしゃいますが、カウンセラーの水葉さんにとっても、そうでしょうね。
大体、プロに対して失礼、極まりない。
学長は何を考えているんだ!!!と思っています。

hamham さん。
はい、国民の目は節穴じゃないと思う一方で、
この話題が出た直後、旭川大学に、「無料できけるのか」「学生でなくてもいいのか」という問い合わせも多数あったそうです。
なかなかリテラシーの浸透は時間がかかりそうですね(^^;
では、また。


投稿: せとともこ | 2008.03.01 17:02

…なんとなく…、頭でっかちの人が多いなあという気がします。

みなさん、ホスピスで実際に患者さんと接してみた経験はおありですか?
私は実際、母を胃ガンで亡くし、現在、ホスピスでボランティア活動をしています。

世界中の全ての患者さん達にお逢いした訳ではないので、自分が経験した範囲の感想でしかありませんが、わたしがホスピスで出逢った患者さん達は、死期を意識しある一線を超えると、何かにつけて「ありがとう」の言葉が多くなります。
心が透明…といいますか、欲がなくなりピュアになっていくようです。
私の母もそうでした。

『医療現場のスタッフがすべきことは、ただ一つ。
医療のプロであることです!!!
最後まで患者さんとともに戦うこと。
病と戦うことです。
医療現場でプロとして働くスタッフには、
患者は信頼をよせます。』

と、ともやんさんはおっしゃっていますが、戦うことも時には必要でしょう。
でも、一番大切なのは、患者さんに寄り添うことではないでしょうか…。

戦っても病に負けることもあります。
戦う手段が、尽きてしまうこともあります。

医療のプロとしての知識や技術ももちろん大切ですが、その前に同じ人として、優しさや思いやりに溢れた人が、最終的には信頼されてる気がします。
もう治療の手だてがなくなった患者さんが、自分の孫娘と同じ年頃の新米看護師に心から信頼を寄せて接するといった場面を、何度も見聞きしています。

戦うばかりが『生』ではありません。
残された時間を心穏やかに平和に過ごすことも、また『生』です。
そういった時に、一番心の支えになるのは、最先端の医療技術や知識ではなく、温かい手や思いやり溢れた言葉だったりします。

助からない…、助けられない大勢の患者さんを目の当たりにして、鬱状態になってしまう医師や看護師さん達も多くいると聞きます。

旭川大学が江原さんを起用しようと踏み切ったのも、学問や理論では割り切れない、『眼には見えない』部分を探究したかったからなのではなでしょうか…。
江原さんが適任かどうかは私にもわかりませんが、いつかは100%、必ず死にいく私達にとって、スピリチュアルな分野も、けして切り離せないのではないでしょうか…。

投稿: ルビー | 2008.04.26 01:01

ルビーさん。
おはようございます。
貴重な体験を教えていただいたコメントありがとうございました。
週末はバタバタしていてお返事遅くなりごめんなさい。


さて、
本当にルビーさんのような方が、終末医療に関わる事は、
患者さんにとって、ご家族のかたにとって心強い物と思います。
ただ、私がここで記事にしたのは、
江原さんのような人が、大学で講義をする事への危惧です。
医療従事者は、もちろん、患者への心配りや思いやり、
云々は講義で学んでいると思います。
しかし講義に霊(江原さんの場合)をもってくるのは、
本質を見にくくします。
また、ルビーさんのように本来の意味でスピリチュアルに関わろうとなさる方への冒涜でもあると思います。

大学では、
終末医療にかんしては、あくまで現時点での医学について、そして今後の医学の発展について学ぶべきと私は思います。

とても難しいこととは思いますが、、、

また、いろいろご意見やアドバイスをいただけると嬉しく思います。
では、、、

投稿: せとともこ | 2008.04.27 08:16

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