« 私学の行方 | トップページ | 私学の行方その3 »

2008.04.16

私学の行方その2

昨日に引き続き深刻な私学情勢について、
今回は「2006年問題」を中心にみていきます。
1966年に国連総会で採択された国際人権A規約の十三条二項(C)では
「高等教育は…無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること」と定めています。
日本政府も同規約を1979年に批准。
しかし同項は留保されたままです(批准はしたが留保や実効されていない条約って結構ありますねぇ)。
こうした国は日本、マダガスカル、ルワンダの三国だけです。
先進国・欧米諸国では、学費は無償か安価で、奨学金も返還義務のない「給付制」が主流です。ドイツでは、基本的に無償で、学生登録料が約2万円。フランスでも、大学はほぼすべて国立で、無償になっている。学籍登録料1.4万円。フランスの「第3千年期の大学計画」「学生福祉計画」には、さらに給与奨学金を増額する、学籍登録料の免除、学生寮の増設など学生の利益を考えた計画を決めているそうです。「授業料」のある国であっても、イギリスでは学生の43%が免除、14%が減額措置をうけています。入学金は無い。授業料は「後払い制」といって卒業後に年間所得が315万円以上になれば支払う、返済額は所得によるというユニークな制度だそうです。アメリカでは、私立大はたしかに高いのですが、学生の 73%が通う州立大は授業料50万円、入学金は無し。しかも7割以上の学生が奨学金をうけ、学生のいる家庭には12万〜18万円の減税措置がされているそうです。
しかし、日本は高等教育機関の私費負担割合が56・9%と、OECD加盟二十六カ国中三番目の高さです。各国平均21・8%より極めて高く、高等教育をうける権利保障という面で後進国となっています。
経済大国・先進国でありながら批准後22年経ってもいまだ留保と言うことで、ついに2001年の国連社会権規約委員会で問題となり、同委員会は、日本政府に対し、「高等教育の漸進的な無償化」条項の留保の撤回を検討することを勧告。
2006年6月末までに勧告にもとづいてどういう措置をとったのか、NGOや市民とどのような協議をしたのか、報告を要請しています。
これがいわゆる「2006年問題」です。
注目された2006年はとうに過ぎ、政府は無回答のママです。
また、
国連・児童の権利委員会からも1998年と2004年に勧告がありました。
日本では競争教育で子どもの発達が妨げられているということに加え、「高等教育への進学に貧困家庭の子どもが不利に」なっている、平等にアクセスできるようにしなさい、という勧告です。
親の負担は先進国でも群を抜いている日本です。
その背景には、昨日も書いたように国の私学助成が減少の一途をたどっていることもあります。
この問題はさらに続けて検討していきます。

|

« 私学の行方 | トップページ | 私学の行方その3 »

コメント

東京都だけでカナダと同じくらい税収があるはずなのに、医療費負担増、福祉は切捨て、教育費も高負担、それではいったい私たちの税金は何処に使われているのか不思議な気持ちです。
税金の使い方が間違っていると私は思っています。毎年5兆円も注ぎ込む防衛費必要でしょうか?防衛装備などはハリボテ装備ではダメなのでしょうか?その方が戦争をしないで安心な気がするのですが。

PS サンフレッチェ観戦記も、いつも楽しく読ませて頂いています。それにしても、女性がサッカーをここまで熱く語れる時代になるとはとっても嬉しく思っています。

投稿: scotti | 2008.04.17 11:03

う~ん、高等教育の無償化か~。

私も基本的には賛成、です。そうあるべきだし、いつでも誰でも望みさえすれば、高等教育は受けられる制度にするべきです(高等教育を受けるだけの下地が出来ていれば)。

けれど、今の日本には懸念はあります。フランスにせよ、ドイツにせよ、大学生はエリートという意識が意識がありますよね? もちろん、日本にも。かの国ではエリートだから、当然、国が面倒をみるのだ、という認識だと聞いた覚えがあります。

日本の場合、国民総中流の国民意識から大学進学率は高まったのでしょう。皆が中流で皆がエリートを目指して。民主主義が成熟したかの国々では良いでしょうが、日本の場合、このまま高等教育の無償化、つまり国家が高等教育の面倒をみるとなると、その“エリート意識”がどのように作用するか? 少し心配です。

投稿: 愚樵 | 2008.04.17 14:57

scotti さん。
愚樵さん。
こんにちは。
コメントありがとうございます。


scotti さん。
本当にそうですね。
立命館もそうですが、実は財政は黒字だったりするんでしょうね???
でも、取るところ(学生とか国民とかとか)は、手綱を緩めずとりまっせ、、、って感じですね(^^;
やれやれ。
いつまでも、こんな政治が続くとは思いたくありません。

さて、サンフレッチェ、頑張っています(^.^)
次は甲府です。
ワクワク、ドキドキ。
楽しみにしてます。
では、、、またね(^.^)


愚樵さん。
ううううう〜〜〜〜ん。
エリート意識ですかぁ。
これは、ちょっと搦手からこられましたね。
愚樵さんらしい切り口。
エリート意識、そのものの検討を試みないとなんとも言えないのですが、、、
少なくとも、今の日本の教育のように偏差値輪切りで作られる学生気質は脆弱なものと私は思います。
この問題、ちょっと保留。
時間を下さいね(^.^)

では、、、またね。

投稿: せとともこ | 2008.04.18 15:25

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/15797/40897408

この記事へのトラックバック一覧です: 私学の行方その2:

» 世界的な食料不足は続く、暴動のリスクも=国連食糧農業機関(メモ) [逝きし世の面影]
2008年 04月 9日 19:47 JST [ニューデリー 9日 ロイター] 国連食糧農業機関(FAO)のディウフ事務局長は9日、食料供給の不足は当面続く見込みで、価格も高止まりするとの認識を示した。  事務局長は当地で記者団に対し「食料価格が急速に上昇し、世界中で非常に深刻な問題となっており、エジプト、カメルーン、ハイチ、ブルキナファソでは暴動が発生した」と発言。こうした暴動が他国にも広がる可能性があると指摘した。  また、世界の穀物在庫は1980年代以来の低水準にあるとし、「これはインド、... [続きを読む]

受信: 2008.04.16 18:37

» 極左系に殴りこんだ解同系の仁義無き戦い『水からの伝言』 のそれから [逝きし世の面影]
4月7日の記事。極左系に殴りこんだ解同系の仁義無き戦い『水からの伝言』に読者から多くのコメントが当ブログに寄せられました。有難う御座いました。 多くは賛成の意見でしたが、読者の中には反対意見も有るはずです。が、しかしコメント欄には見られません。 一件だけkojitaken氏より意味不明の悪口?らしき雑文がTBされていましたが、内容的にエログロ系と同等の道徳水準と判断して当ブログの品位を守るため即削除しています しかし、読者が、反対意見を持っていても書き込めない雰囲気が有るとしたら、当方の不徳で、... [続きを読む]

受信: 2008.04.17 14:40

« 私学の行方 | トップページ | 私学の行方その3 »