食料自給率
今更ながら思うのは日本の風景は田園だと言うことです。
とくに暑い夏は田んぼの近くに行くと涼しい風が吹いてきて、ホッとします。
日本のどこに行っても見ることができた田舎の風景が、
次第に消えていっとのはいつ頃からなのでしょうか?
気になる食料自給率については、過去に日本の農業、
WTOと日本の農業などでも書きましたが、深刻です。
農水省は二〇〇七年度の食料自給率(カロリーベース)は40%と前年度から1ポイント上昇したと好意的に評価しています。
勿論、ポイント上昇は喜ばしいことですが、これは何も政策がうまくいっていることの証というわけではありません。
先月の終わり、農民連(農民運動全国連合会)の白石淳一会長が、ジュネーブで開かれているWTOの閣僚会合で農産物輸入拡大の交渉議長案が出ていることについて以下の様に述べました。
「日本農業に重大な打撃となる案だ。食料自給率向上をいう政府は断固拒否せよ」と。
このWTO交渉議長案とは、いっそうの農産物の輸入自由化を迫るもので輸入関税について、一定水準以下に削減するというものです。
つまりアメリカの圧力のもと輸入自由化を受け入れ、農産物の全体の関税は12%と低くなっています(コメ、小麦、酪農品のような、関税率が100%を超える農産物も少しはある)。
今回の議長案は、「重要品目」として関税100%以上の高関税で保護するものを一定残してもよいが、低い関税の輸入枠をもっと増やせというものです。
出席した若林農水大臣(当時)はジュネーブ会合での提案受け入れを表明ました。
これは農業を守る路線から大きく逸脱したものです。
日本で生産される食べ物に変り、外国産のものがドンドン入ってくるということです。
食料自給率41%。
ため息ですねぇ〜〜〜
主要国の食料自給率は直近の03年の資料では、
米国128%、フランス122%、ドイツ84%、イギリス70%です。
これに比べても日本が如何に先進国の中でも異常から明らかです。
80年代後半には50%を割り込み、一路低落です。
自給率「1ポイント上昇」と言うことで、就任したばかりの太田誠一農水大臣は「大変心強い兆候だ。この状況が続くように頑張っていきたい」と述べました。
本当に、そうです。
が、
実際の政策でも自給率上昇するようなものを望みます。
現実にはどうしようと考えているのかと言うことで、経済財政諮問会議を見るならば、
あらあら、本当に日本の農業を守ろうとしているのでしょうか?悩みます。
農地規制の見直しなどによる「企業型農業経営の拡大」を軸とした「農業改革プラン」を年内につくるとしています。
いいですか、もう一度。
「企業型農業経営の拡大」を軸とした、、、、です。
「企業型農業経営の拡大」かぁ〜〜〜
うううう=====ん。
悩みます。
利益中心の企業が農業に???
この問題、まだまだ見ていく必要がありそうです。
今日はここまで。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
こんにちは、せとさん。たまには経済学の話でもしましょうか。
おそらく多くの人が体験しながらも経済理論としては理解出来ないでいる現象の一つが「比較優位論」という経済理論ではないかと思います。
これは、ある国が他国に対して優位に立てる貿易品を持つとき、その国内において、必ず劣位になる貿易品が生じてしまうという現象を理論化したものです。
単純化して2国2製品で説明してみます。A国においてaという製品が一つ当たり1人日で生産され、bという製品が一つ当たり8人日で生産出来るとしましょう。B国においてはaが一つ当たり3人日で生産でき、bが10人日で生産できるとします。一つ当たり何人日というのはおかしな表現ですが、この人日数が少ないほど生産性が高いという意味になるわけですね。実のところA国はaについてもbについてもB国よりも高い生産性を持っている事が分かります。
なんとなく高い生産性があるのだから、aもbもA国がB国に輸出出来そうな気がしますが、そうはなりません。B国がA国から輸入するためには代金を支払わなくてはならず、そしてその代金を稼ぐためには、B国から何かをA国に輸出しなくてはならないからです。今、このモデルでは2国2品目のみに限定していますからaもbもAがB輸出したら支払うお金が無いわけです。そこで「為替レートの変動」という要素が入ってきます。生産性はaもbもA国の方が高いのですが、その高さはaは3倍、bは1.25倍です。この比較的生産性の差の少ないbについて生産性の差を打ち消してさらに有利に成る程度に為替レートは変動するわけです。つまり、A国の為替レートが1.5倍高くなるわけです。もし為替レートが変動しなければ、B国のbはA国のbよりも1.25倍高い事になるのですが為替レートが1.5倍になるとB国のbはA国のbの0.83倍ということになり安くなるわけですね。
かくしてB国はA国にbを売ることでA国からaを買う外貨を得ることができるわけです。
>「企業型農業経営の拡大」かぁ〜〜〜
>うううう=====ん。
>悩みます。
この2国2品目モデルでA国がbの生産性を上げたとしたら何が起こるかを考えてみます。A国のbの生産性を一つ当たり5人日に上げたとします。そうすると為替レートを考えない生産性比率で2倍となります。為替レートが1.5倍のままなら、B国のbは1.67倍の割高となり、A国内のb産業は守られる様に思われます。しかし、2品目モデルですから嫌でもB国はbをA国に売らないと貿易が成り立たなくなりますから、為替レートは生産性比率を打ち消してなお有利になるように変動します。例えば為替レート2.5倍に変動する訳です。そうするとやはりB国のbはA国のbの0.8の値段で売ることができるわけです。
現実の貿易は国数も品目数も多いので複雑ですが、理解して欲しいのは、貿易を自由に行おうとする限り、比較優位な製品と比較劣位な製品が生じないと貿易が成り立たないということです。そして、比較劣位を位置づけるとのは生産性ではなく為替レートであるという現実なんですね。
投稿: 技術開発者 | 2008.08.19 16:19
技術開発者さん。
こんにちは。
お元気でしたか?
コメントありがとうございました。
実はここしばらくネット環境にいなかったのです。
お返事遅くなり本当にごめんなさい。
さて、頂いたコメント。
難しい〜〜〜〜〜
一度には理解できないので何度も読み、さらにこれからも読む予定。
なにしろ経済にはとんと弱い(強いものなんてあるの?って言う突っ込みは無しよ(^^;)
為替レートについては分かりました。
なるほど。
比較劣位を位置づけるために考えられた手続き。
面白いですね。
これはなかなか容易ではありません。
もうちょっと考えてみますね。
でも、またまた興味深いコメントをいただき、刺激されています(^.^)
技術開発者さん。
秋も近づくと夏の疲れが出る頃です。
どうぞご自愛くださいね。
また、素敵なコメントを頂けることを楽しみに。
では、、、ね。
投稿: せとともこ | 2008.08.31 14:36
こんにちは、せとさん。
>お元気でしたか?
以前の書き込みでは何か勘違いされていたみたいだけど、実はうちの研究所の一般公開は8月30日だったのね。でもって前日には大雨警報はでるは、避難勧告はでるは、当日も朝から雨が一日中降り続くは、という悲惨な気象条件の中で一般公開をやったのね。それでも有りがたいことに約1200人くらいお客さんが来てくれたわけです。なにせ、当日の朝なんて「これ以上雨が酷くなれば、中止決定して玄関前に立って来た人に頭を下げよう」という覚悟を決めて出勤したのだからね。でもって昨日一日片付けをして、やっとこさホッとしたところね。
実のところ来た人は「とてもお得」な一般公開でしたよ。「今年は2000人は来ると予想するから、それに対応出来る準備を」と言いながら、私の心づもりでは2500人まで対応出来るだけの用意をしたのだからね。それが半分でしょ。来た人は工作の当選率も高いし、随時体験ブースもほとんど行列無しで体験出来た訳です。
>難しい〜〜〜〜〜
>一度には理解できないので何度も読み、さらにこれからも読む予定。
>なにしろ経済にはとんと弱い
なんていうか、貿易の基本の目的が分かっていないと理解しがたいと思うのね。貿易の目的は輸入なんです。自国では入手出来ないとか、外国の方が良い物が安く手に入るときに「欲しい」となるから貿易がおきるのね。でもって輸出というのはその代金を稼ぐための手段に過ぎないわけ。本当は輸出なんてせずに輸入だけできれば一番良いんだけど、そうはならないからね。実のところ日本の貿易論で一番忘れられているのは「貿易の目的は輸入である」という事だと思ったりします。
この考え方というのは我々が仕事をして給料を貰うことにもつながるんですよ。商取引の目的は購入なんです。飯を食ったり家電を買ったり、家を買ったり、散髪をしたりが目的で我々は取引を行う。もちろん、商品やサービスの購入だけができれば良いのだけど、そうは問屋が卸さなくて代金を稼がなくてはならないから、仕事をする、つまり自分が何らか商品の製造や販売にたずさわったりサービスの提供者になる時間を持つことで代金を稼ぐわけです。ただ、人間というのは「稼ぐ」という事に一所懸命になっていると、「使うために稼ぐ」という本来の目的を忘れがちになるんです。貿易においても実は似たような概念ができてしまっていて、「輸入したいから輸出する」んじゃなくて、「輸出するために輸出する」に成っている面があるんですね。
投稿: 技術開発者 | 2008.09.02 08:53
技術開発者さん。
こんにちは。
コメントありがとうございます。
>以前の書き込みでは何か勘違いされていたみたいだけど、実はうちの研究所の一般公開は8月30日だったのね
そうだったのですか。
ははぁ、、、すみません。
勘違いしていました。
そうかそうか。
準備なさっている時のご様子を、もう当日と読み間違えたのかしらん。
いずれにしても失礼しました。
でも、無事に終わり、良かったですね。
お疲れさまでした。
私も行ってみたかったです♪
さて、
>「稼ぐ」という事に一所懸命になっていると、「使うために稼ぐ」という本来の目的を忘れがちになるんです
「輸出するために輸出する」。
これって凄くわかります。
以前、ひろさちやさんの本を読んだとき、インド人と日本人の死生観を話題にしていて、同じようなことが書かれていたことを思い出します。
えてして、そうした事ってありますね。
「学ぶ為に大学に行く」はずが「大学に行く為に勉強する」、、、そして受かってしまえばチャンチャン♪
(ちょっと違うか?)
いずれにしても、私も「目的はなんだったのか?」たえず自問自答する態度を身につけることができタラ嬉しいな〜〜〜なぁんて思いました。
そうそう、、、
目的の「貿易」。
ちょっと分かりました(分かった気がするかな?)
と、言う事で、またお教えくださいね。
じゃぁ======ね。
投稿: せとともこ | 2008.09.02 16:38
こんにちは、せとさん。
>目的の「貿易」。
>ちょっと分かりました(分かった気がするかな?)
まあ、たぶん、そう簡単には分からない話なんです。食料の自給率を上げるためには、日本の売り物となっている家電や自動車が中国とか外国であまり売れないようにするしかないという結論になる話ですからね。まあ全く売れないのも困るんですが、無理して頑張って売るほど、比較劣位の農産物や労働集約型産業の工業製品は国内で圧迫されるという事を考えて、もっと穏やかに売るしかない話なんです。
なんていうか、「人の身になって考えろ」なんて言いますけどね。少なくとも現段階では中国の自動車や家電よりも日本の自動車や家電の方が品質が遙かに良いのです。中国においてそれらの家電や自動車が買える人にとっては、「中国製品より高くても日本製を買いたい」しろものなんです。でもねその人が直接日本から買うわけで無くても日本に払われるお金は中国の通貨の元ではなくて円でなくてはならないわけです。どこかで元と円を交換しなくては成らないわけです。でもね、元と円の使い勝手が同じだったら、日本人は誰も円と元を交換してくれないのですよ。元を手に入れて中国で買い物して日本に持って返ったらとてもお得になるものが無ければ誰も交換に応じてくれなくなる訳ですね。だから使い勝手を上げるために「円に対して元を沢山差し上げるから交換してください」と言うのが為替レートが変動するという事なんですね。少ない円を沢山の元と交換することで、その元で中国でものを買って日本に持ってくればお得になるわけです。為替レートがそのように変動するのは「円で日本の物を買いたい」という欲求が中国にあるからなんです。単純な話として「あまり日本の物を買いたくないな」なら無理して「円に対して元を沢山差し上げます」としなくても良い事になるんですね。
なんていうかな、私は製造業の部品屋さんたちを見てきた訳ですよ。でね、家電の部品とか作っている小さな会社が一所懸命にその部品を使った家電が外国に売れるように願う訳です。親会社が儲かれば仕事も増えるだろうってね。でもって無理な値引きでも注文変更でも聞き入れたりしている。でもね、結果として何が起こるかというと、ある時親会社から言われる訳です、「外国の部品もそんなに悪くなくなったし、為替レートを考えるとお前の所から買うより遙かに安く外国から買えるので、今度からは買わない」ってね。ちょっした経済学の知識が使えれば、自分の所の部品がそうやって外国部品にとって変わられた理由が「自分が親会社の家電製品が外国に沢山売れることを願い、無理を聞き入れた結果だ」と分かることなんです。私はこういうのを見るたびに「知識が使いこなせないために、自分で自分の首を締めている」みたいに思ったりするのですよ。
投稿: 技術開発者 | 2008.09.03 17:13
技術開発者さん。
こんにちは。
なるほど。
>使い勝手を上げるために「円に対して元を沢山差し上げるから交換してください」と言うのが為替レートが変動するという事なんですね。
(中略)
為替レートがそのように変動するのは「円で日本の物を買いたい」という欲求が中国にあるからなんです。単純な話として「あまり日本の物を買いたくないな」なら無理して「円に対して元を沢山差し上げます」としなくても良い事になるんですね。
そうなんですか。
購買意欲をかき立てる為には「いいもの」をジャカスカと生産する必要があるのですね。
一方で、国内では、悲惨な中小企業いじめが起きる。
うううう〜〜〜〜〜ん。
難しい。
>「知識が使いこなせないために、自分で自分の首を締めている」みたいに思ったりするのですよ。
と、技術開発者さんは言われますが、
私は、「そうだろうか???」と思います。
日本の経済構造そのものの矛盾が、こうした中小企業に降り掛かるのではないだろうか???
どうなんでしょうか?
いずれ自分の首を絞める立ち回りをすることが分かっていても、たちまちの場面では、そうせざるをえないのではないでしょうか。
なんか悲哀を感じます、、、、
うううう=====ん。
ちょっと悩ましいですね、この問題。
また考えてみます。
じゃ、、、、またね
投稿: せとともこ | 2008.09.04 16:51
こんにちは、せとさん。
>日本の経済構造そのものの矛盾が、こうした中小企業に降り掛かるのではないだろうか???
>どうなんでしょうか?
そのとおりなんですが、その矛盾した経済構造を作り上げるのに多くの中小企業の経営者が協力してしまったということなんです。
実は為替レートの変動というのは、本来自然なネガティブフィードバック機能を持ちます。というのは、生産性の低い国(発展途上国)の貨幣の価値が生産性の高い国(先進国)の貨幣に対して安くなると、比較劣位な商品(農産物や部品)は確かに売りやすくなるのですが、本来、欲しいはずの先進国の比較優位な製品が買いにくくなるんです。為替レートの関係で「高く」なってしまうからです。単純に言うと為替レートが1.5倍になると1000元で買えた輸入品が1500元になるわけですね。でもって本来、そうなると、「買えないな」と諦める面がでますからそれ以上無理して元と円を交換する必要がなくなる、つまり為替レートの変動が止まる訳です。
ところが、その時に先進国の方が「売れなくなった、これは大変だ」と無理な製造(非正規労働を増やしたり、下請けの納入価格を抑えたり)をして、為替レートが1.5倍になっても商品が1.5倍の価格に成らないようにする、例えば1.2倍にしか成らないように値段を下げるとどうなると思います。為替レートのフィードバック機能は弱まり、発展途上国における「先進国製品を買いたい」という欲求はそれなり維持され、それだけの円と元を交換しなくてはならなくなり、さらに為替レートの変動が続くわけです。
理解して欲しいのです。今、日本が落ちこんでいるのは「自由主義経済」の結果では無いのです。「日本は輸出大国でなくてはならない」という思いこみの結果ゆがめられた「無理無理主義経済」の結果なんです。
でありながら、未だに多くの国民が「とはいえ、日本の国際競争力が弱まったら日本は駄目になるだろう」と言います。どういうプロセスを経て駄目になるのかを問うても答えることができないママにね。
投稿: 技術開発者 | 2008.09.05 09:20
技術開発者 さん。
こんにちは。
>今、日本が落ちこんでいるのは「自由主義経済」の結果では無いのです。「日本は輸出大国でなくてはならない」という思いこみの結果ゆがめられた「無理無理主義経済」の結果なんです。
なんとも悩ましいですね。
どうしたらいいのか????
学校では日本は資源がない、とか加工貿易とかとか、、、
そんなことを一杯学んできたので、ますます貿易に対しての幻想があるのでしょうか???
>未だに多くの国民が「とはいえ、日本の国際競争力が弱まったら日本は駄目になるだろう」と言います。どういうプロセスを経て駄目になるのかを問うても答えることができないママにね。
はい。
同時に政治家の手法でもあるんでしょうね。
こうした中で弱いもの、貧しい者が絡めとられていくのでしょうか?
ため息です。
自国の中での経済をもっともっと見つめ直していく時期なのでしょうね。
いろいろ考えさせられます。
また、考えてみますね。
では、、、、またアドバイスなど頂けると嬉しく思います。
投稿: せとともこ | 2008.09.05 17:28