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2008.09.16

山寺の旅

「静けさや岩にしみいる蝉の声」
芭蕉がこの有名な俳句を詠んだ山形県立石寺、別名山寺
行ってきました。
天童から車で20〜30分。
道路脇にはリンゴ園があって、「山形ってリンゴもとれるんだ、、、」とか感心。
道路沿いには、いっぱい果物屋さんがあって、いろんな穫れたて、もぎたての果物がならんでいました。
山形というだけあって、周りには山々。
近くに遠くに見えます。
そんな山の見える風景の中でもさらに田舎を思わせるひっそりとした所に目指す山寺はあります。
(名前からして山寺だもんね〜〜〜)
雰囲気的には京都の神護寺あたりの風情があります。
すぐ近くまで駐車場があって、
方々で駐車場の呼び込みのおじさんが手を振っていて、と。
私たちはかなり早い時間に着いたので、お寺のすぐ近くのバッチリな所に車を止めることができました。

事前に調べた情報では奥の院まで1000段。
うわっ〜〜〜〜私に登る事ができるか????
登る前から不安がよぎります。
いざとなれば夫の背中、、、なぁんて気楽に思いながら登るとするかぁ。
家族には「いつものように観光パワーを出せ」と言われ、全然心配してもらえません。

もう、ここ迄来たからには行くしかない!と決意。
まずは登山口迄、ゆっくりと周りを見渡しながら歩きました。
そして、登山口に入り、いよいよ一段一段登ります。
登るごとに煩悩を払っていかなければならないそうです。
69段。
ふっ〜〜〜〜〜

109段。
ふっ〜〜〜〜〜〜
煩悩。
煩悩。
同じ方向に登る人、もう帰る人。
狭い階段を登りながら、「あっ手摺によしかかりたい」と思いながらも、上を見ると降りてくる方が手摺を握っています。
チラリ。「いやだな〜〜〜私も手摺もちたい」。
ああああ〜〜〜〜〜
煩悩は消えませんね。

途中には、いろんな見るべきところがあります。
せみ塚。
芭蕉の有名な冒頭の俳句。
耳を思わずしまします。
「あっ、この歌知っている」
「フッ〜〜〜〜疲れた」
「まだまだあるよ〜〜〜」
聞こえてくるのは人の声、声こえ、、、、
蝉の声はしません。
そうか、、、もう季節じゃないかぁ
(我が家の周りにいる蝉は今でも日中は鳴いていますが、、、、)
岩にしみ入るかぁ〜〜〜
フムフム。
確かに石灰岩のアチコチに穴が空き、奇妙な景観をしている岩に蝉の声はまっすぐにしみ入ったのでしょう。
が、
静けさや、、、と言うのにはほど遠い山寺でした。

そして、
そして、
途中、とちゅうと休みながらも、遂に奥の院到着!!!!
やりました!!!!
私でも自力で登ることができました!!!
やった!
です。
感無量。
遠くには山々が連なり、眼前に広がるパノラマを見ると、
山好きの夫の両親の言葉が思い出されます。
「山からエネルギーをもらい、元気になる」と言い、日本百名山突破を目標にしている両親の言葉です。
本当に、自然からエネルギーをもらいます。
ふと気がつくと、煩悩の一つくらいは削ぎ落としたかもしれない、、、と思ったりして。

芭蕉の句で有名な立石寺ですが、実は、正式には宝珠山阿所川院立石寺と言われ、
清和天皇の勅願によって貞観2年(860年)慈覚大師円仁が開山したと伝えられている伝統ある格式の高い寺です。根本中堂には、千年以上の昔から火を灯し続ける法燈があります。
これは慈覚大師が立石寺開山の際、比叡山から分けて貰ったものであるが、大永元年に戦乱により一山が焼かれたことから、比叡山より改めて火を貰い受け、その50年後の元亀2年、織田信長によって比叡山が焼き払われ、その再興の折、逆に立石寺から延暦寺に分火されたと言われています。
こうして「千年不滅」の法燈は今も山寺にあって火を灯し続けているそうです。この話は比叡山延暦寺にも残されています。


私も遂に立石寺を訪れたのだと感無量で、下りは一段一段ていねいにおりました。

静けさや岩にしみ入る蝉の声。
さてさて、芭蕉の思いには遠く届く事はありませんでしたが、
それでも孤高の俳人の思いはいかばかりかと想像の翼は羽ばたいたものです。
そもそもの初案は、「山寺や石にしみつく蝉の聲」(『俳諧書留』曾良)だそうです。
そして、次に「さびしさや岩にしみ込む蝉の聲」(『初蝉・泊船集』)となり、
推敲を重ね、さびしいという自分の思いを超えて、現在伝えられている句になったそうです。
なるほど。
山寺や石にしみつく蝉の聲
だったのですか。
これは、かなり直感的ですね。
映像を素直に詠み込む芭蕉らしいです。
そして、それを推敲に推敲して芸術に極める俳人芭蕉。
その心は、やはり寂しかったのでしょうか???
どうなんだろう。
遠い昔の歌詠みの心を思いながら、私は山寺を後にしました。

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コメント

 私は俳句を解さない無骨者ですが:
 しづけさや...は,セミが鳴いているが故にかえって静寂を感じてしまう,というような感覚なのでしょうか.

 秋の夜,スズムシの音を探して,ある谷間の集落にたどりついたことがあります.川岸の斜面に石垣を築いて畑や人家が造られています.石垣でスズムシが繁殖し,その大合唱が谷間を満たしています.しーん,というような,静寂そのもののような大音響です.そういう異次元体験をしたことがあります.
 この異次元の世界は,もう存在しません.石垣が全部コンクリートに変ったからです.

投稿: Ladybird | 2008.09.17 09:53

Ladybird さん。
こんにちは。
コメントありがとうございます。

台風の動きが気になりますが御地は如何でしょうか?
こちらは今のところ、大丈夫です。
それにしても自然の摂理とはいえ、大きなエネルギーの場である台風には、人は無力。
じっとがまんです。

さて、頂いたコメント。
想像に難くありません。
「しーん,というような,静寂そのもののような大音響です.そういう異次元体験をしたことがあります.」

なんだか投げ打つ闇に吸い込まれていきそうですね。
私は雪国だったので、
降る雪がまさにそんな感じでした。
上から音も無く降ってくるんです。
雪は音を吸収するのでシーン。
音だけでなく私も吸い込まれていきそう。
そして、降る雪に音はあるんですね、、、
思い出しました。
そんな異次元体験。

いろんな思い出はある意味、懐かしく豊かで不思議な異次元とともにあるのでしょうか?
失われていく世界。
創世される世界。
なかなかに興味深いですね♪

素敵なコメント、ありがとうございました。
では、、、またね。

投稿: せとともこ | 2008.09.17 18:16

 お返事ありがとうございます.当地は最近は台風にも避けられているようで,拍子ぬけすることが多い気がします.こんどの台風も四国より,むしろ東海〜関東方面に影響が大きいかもしれませんね.
 スズムシの異次元体験に引っ掛けて,自分のブログの記事にしてしまいました.

投稿: Ladybird | 2008.09.19 10:34

Ladybird さん。
こんにちは。
ブログ、拝見しました。
素敵でした。

Ladybird さんのエントリーには異次元体験と今日的問題が絶妙に織り込まれていて、
私はいつのまにかLadybird さんの世界に引き込まれ、
刺激され、
なんだか「音」について書きたくなりました。


素敵なエントリー、ありがとうございました。

また楽しみにしています。

投稿: せとともこ | 2008.09.19 15:12

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受信: 2008.09.16 17:13

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