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2008.09.04

労働者派遣法改正

厚生労働省は8月28日、労働者派遣法改正の骨格となるたたき台を、労働政策審議会部会に示しました。
さて、その中身を見ていきましょう。

積極的評価としては、
低賃金と不安定雇用が問題となっている日雇い派遣を規制するため30以内の短期雇用を原則禁止とするなど規制強化の方向が盛り込まれました。
が、
現行法で規制している労働者委員が求めてきた登録型派遣の原則禁止や、違法派遣をすれば派遣先が雇用したとみなす「直接雇用のみなし規定」、派遣先の労働者との均等待遇などは盛り込まれませんでした。

また、日雇い派遣については原則禁止の一方で、職業紹介で日雇い仕事をあっせんすることも加わりました。
そして政令で定める例外としては、現在、期間制限がない専門26業務に「労働者保護に問題のない業務」も加えています。

派遣先の努力義務として、
不安定な登録型派遣は常用化をすすめるという理由で、一年以上の派遣労働者は期限のない派遣労働者に雇い入れることを示しました。
さらに、待遇について派遣先の同種の労働者の賃金を考慮するよう指針に定め、派遣料金などの情報公開を義務付けます。

行政が勧告する場合については、
違法派遣については派遣先が従前以上の条件で雇用契約を申し込むようにすること。
脱法行為と指摘されているグループ企業内派遣は、グループ企業に派遣する人員の割合を8割以下とする規定も盛り込まれました。

一方、消極的なところでは、
派遣先の雇用契約の申し込み義務や、派遣先が派遣労働者を特定する行為(現在禁止)については、期限の定めのない雇用契約の派遣労働者については問題がないとして適用除外とすることなどがあります。


派遣労働。
わずか20年前の法律「労働者派遣法」が施行されてから、年々増え続け、今では労働人口1割以上を示しています。(320万人以上です)
とくに、ここ10年は派遣労働自由化で、ドンドン増えています。
実際、企業の代表は、「日雇い派遣は電話一本ですむので便利で使い勝手がいい。同程度に使いやすい制度を」
と言い、さらに「日雇い派遣はイメージが悪いので呼び名を変えてほしい」と主張ています。
手前勝手な企業の理屈です。
労災や各種保険を割愛。
労働者に低賃金と不安定な雇用を押し付けた元凶ともいうべき派遣法ですが、
「ワーキングプア」(働く貧困層)拡大の原因とも言われています。

法律にさえ禁止された危険な職種への派遣。
大幅なピンはね。
そして、ついに低賃金でアパートも借りられずネットカフェなどに寝泊まり。
携帯電話で仕事の連絡を待つ「ネットカフェ難民」。
また、働く意欲に関しても「労働白書」は、非正規労働者の増大が、正規労働者への成果主義賃金の導入と並んで、労働者から労働への満足感を奪い意欲を低下させていると指摘しています。

派遣労働はかつて「人貸し」ともいわれ、派遣元企業が派遣先企業の求めに応じて安上がりで不安定な労働を提供するしくみだったのです。
が、
戦後は原則的に禁止されました。
しかし、1999年の「原則自由化」以降急速に拡大していったのは既に述べた通りです。
使い捨てで不安な雇用形態を維持しつつ、肥大していった日本経済ですが、
ここへきて、そのツケが回ってきています。
先に書いたように、今や社会問題となった派遣問題やワーキングプア問題。
能力とか特性を越えて、資本の思うままに飲み込まれた一人ひとりの労働者を、
資本や企業の論理から守り、そのあり方を保障していく事こそが「成熟した社会の役割」であることに、
多くの方々が気がつきだしました。
それは大企業の中からも声があがり、
政治家も、
政府も、遅まきながら腰を上げだし、今日に至っています。
その中身は、まだまだ抜本的なものではありませんが、
まずは第一歩を歩みだしたことも事実です。

派遣労働やワーキングプアは、
私たち、全ての問題なのです。
決して「個人」の問題ではありません。
成熟した社会を願い、自分に出来る事は何かを考えたとき、
この問題を正面から見据え、しっかりと注目していく必要を強く感じます。
今後もずっと、ずっと拘っていきたいものです。


最後に「貧乏物語」の作者として有名な河上肇の詩を書いて締めようと思います。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
老後無事

たとひ力は乏しくも
出し切ったと思ふこころの安けさよ。
捨て果てし身のなほもいのちのあるままに、
飢え来ればすなはち食ひ、
渇き来ればすなはち飲み、
疲れさればすなはち眠る。
故人いふ無事これ貴人。
うらやむ人は世になくも、
われはひとりわれを羨む。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「うらやむ人は世になくも、
われはひとりわれを羨む。」
人はどんな環境でも人を信じ、自分に誇りをもって毅然と現状を打開していくと、いうことでしょうか?
本当に貧しいのは「政治」であって、
断乎「人ではない」!!!

見えにくく、生きにくい世の中だけど、
こんな状況、いつまでも続かない。
と、信じて私はこの問題を多くの人々に伝えていくつもりです。

 
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以前の記事です。お時間がありましたらご覧下さい。
派遣法改正へと
労働者派遣法論点整理

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コメント

「派遣切り」・「2009年問題」・「雇用対策」は何処へ
◆急務は「現在の雇用」
政治(与野党共)もマスコミもジャーナリストも、皆大変だと言葉だけの心配に留まっているように思われます。と言うのは、「労働者派遣法改正案」は見直し審議待ちの足踏み状態で進展しておらず、その先が見えないため、「派遣切り」に歯止めがかかりません。「派遣切り」を加速させている要因は、政府及び厚生労働省の不十分な対応にあるということを理解しているのか疑いたくなります。いったい「雇用対策」はどこへ行ってしまったのでしょうか?とくに製造派遣の「抵触日(3月1日)」が過ぎてしまった現在のわが国において、最重要視されるべき課題はまさに「雇用対策」です。「雇用対策」ができれば、わが国の景気の底支えは可能です。雇用が底支えできれば、将来に対する不安も緩和されます。何といっても一番は「現在の雇用」です。数年先の雇用対策では意味がありません。
◆救済手立ては「雇用創出プラン(福祉雇用)」!
詳細は下記のブログをご参照下さい
◆人事総務部ブログ&リンク集
 http://www.xn--3kq4dp1l5y0dq7t.jp/

投稿: 人事総務部-ブログ&リンク集- | 2009.03.10 08:01

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