« 知的財産立国政策は大学に何をもたらしたか? | トップページ | 大相撲 楽しみました »

2009.01.23

大学と特許

大学と特許。
まだまだ続きます。
「日本にノーベル賞が来た理由」の著者は、
日本の研究土壌を以下のように分析します。
「公的研究資金が少額に留まる理由は、お役人が「学問の自由」を悪く誤解しているからです。大学に払う研究費は憲法も保障する学問の自由があるのであれこれ内容に文句はつけられない。いわば「出て行ったきり」になると諦めています。
中略
2008年までに自然系のノーベル賞が与えられた日本人業績の大半は、研究成果が主として海外で検証され、実用化され、産業化されることで高く評価されました。」

そして著者は、今、最も注目されている山中教授のiPS細胞などにも触れ、
論文として公表する前に特許申請をする必要を説きます。
それが「知の保護」と言うことだそうです。

そこで日本人ノーベル賞受賞者と特許と言う特許庁のサイトを見てみました。

1949年、湯川秀樹博士が日本人として初のノーベル賞受賞者となって以来、これまでに総勢9名の方が自然科学分野においてノーベル賞を受賞されてきました。平成18年3月に閣議決定された第3期科学技術基本計画においても、第2期科学技術基本計画に引き続き、「50年間にノーベル賞受賞者30人程度」という目標に言及しています。
 世界的にも認められる優秀な研究者の輩出は、後に続く人材の目標となり、新たな挑戦の意欲をかき立て、意欲的な研究者の育成と活躍を促進し、我が国が国際的な知の創造の営みにおいて世界をリードする原動力となると考えられます。
 過去にさかのぼり、日本人ノーベル賞受賞者の特許出願状況(発明者として特許出願に関わった件数)についてみると、1973年に物理学賞を受賞した江崎玲於奈博士以降、1981年化学賞受賞の福井謙一博士、1987年医学・生理学賞受賞の利根川進博士、2000年化学賞受賞の白川英樹博士、2001年化学賞を受賞した野依良治博士、2002年化学賞を受賞した田中耕一氏は、いずれも特許出願を行っています。(上記サイトより)
===============

私の友人にも特許の申請事務をしている人が何人かいます。
一口に特許申請と言っても、大変煩雑な事務作業があるようです。
友人は審査する仕事をしているので、論文読みをしています。
論文を読みながら「これ、本当かな?」と思う論文もあったりして机に積み上げられた論文の山を、まず読みこなす必要があると言うことで、もう一度生物の遺伝の勉強を大学でしています。

特許、出す方も審査する方も大変です。
が、
研究を守る、保護するためには必要な手続きかとも思うのです。
思うのですが、
が、
国立大学法人として特許申請することの意味は、また別の次元のものと考えます。
知を囲い込むのか、知を解放するのか?
ここで問われているのは、知とは誰の者かと言うことです。
いう間でもなく知は社会の共有の財産であるということです。

その研究や発見、発明をした個人もそれはそれで尊敬に値するし、社会は相応の対価を支払うべきかもしれないが、
今、政府が推し進めようとしている方針は、
「金になるもの」には援助、保護するが、そうでないものには、資金、研究費は減らすという明白な産と結びついた教育を大学に押しつけて来ていることです。
知的財産の特許は、結局の所、産の意向であることを、もう一度確認していくことと、そもそもの大学の使命は、新しいものの創出と、今までのものを育むことです。
この視点に立ったとき、やはり大学の特許申請方針には疑問を投げかけるものです。

|

« 知的財産立国政策は大学に何をもたらしたか? | トップページ | 大相撲 楽しみました »

コメント

 せとさん こんにちは
 この記事を見て思い出しました。私の友人が京大の化学を出て、大阪ソーダに入社し、色々研究を重ね、ある製品を開発したが、特許の申請は会社がやって、彼には一文も入ってこないことを知り、あほらしくなって退社し、自分で独立して商売をしてました。
 あの青色ダイオードを発見した人は、日亜化学という中小企業でしたが、ほんの少ししかお金を払わず結局提訴して、大きな問題提起をしたことがありました。
 現在は産官学が提携していろんな製品を開発するようになって来ましたが、ちょっと本題から外れたかな?

投稿: hitoriyogari | 2009.01.23 17:43

hitoriyogari さん。
こんにちは。
コメントありがとうございました。
御地は寒さ、いかがですか???
どうぞ、お体だけはお気をつけてくださいね。


さて、特許。
本当にそうですよね。
ノーベル賞の田中さんも、ほんのちょっとしか報奨金はいただけなかったと、聞きます。
と、言うことで、一部、研究者の利益を守るために特許をという動きもあるようですが、
それは基礎科学を置いてけぼりにしていくものなのでしょうね、、、

結局、国がもっともっと保護していく必要があるのでしょうね、、、
フゥ〜〜〜ム
です。


では、、、またね。

投稿: せとともこ | 2009.01.25 17:19

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/15797/43828961

この記事へのトラックバック一覧です: 大学と特許:

» 旧約聖書の神とユダヤ・キリスト教の犯罪性 [逝きし世の面影]
『無茶ぶりな旧約の神』 宗教書として旧約聖書ほど、これ程あからさまに内集団と外集団とを差別しているものは有りません。 実は新約聖書の福音書のイエスの言葉「汝の敵を愛せよ」の意味も本来はユダヤ人「内集団内の敵」の意味で外集団の人々は「人間」の範疇に入れていません。 これを外集団にまで広げたのはパウロの功績でそれ以降は他の民族にもユダヤ教の改革派(キリスト教)が広まっていくわけです。 『神との契約』 ユダヤ教改革派(キリスト教)もユダヤ教も圧倒的に権力を持っている『神』と殆んど力を持っていな... [続きを読む]

受信: 2009.01.24 11:10

« 知的財産立国政策は大学に何をもたらしたか? | トップページ | 大相撲 楽しみました »