投機的金融活動の見直しを図るときでは、、、
世界的金融危機によって資本主義が抱え込んだ新たな問題は何か?
を、そろそろ探ろうと思います。
既に何度も見てきたように、サブプライムローンから始まった金融危機は2008年9月以降さらに深刻さを増しました。
リーマン・ブラザーズの倒産。
AIGの破綻・救済、
アメリカ投資銀行の一挙削減などなど、、、
世界に衝撃を与えました。
その根源というか背景は1970年代初めに遡ります。
金・ドル交換停止→初期IMF崩壊と言う流れから金融は変質していきます。
第二次世界大戦後、政治と軍事はソ連とアメリカに。
そして経済は資本主義と社会主義に。
と、対立する中でアメリカはアメリカ主導の軍事。経済協調体制を構築していくのですが、
これはこれで当時のアメリカとしては当然の政策だったと思います。
しかし、
ご存じ、ベトナム戦争の泥沼化と貿易収支赤字転落でアメリカの国際収支は極限になります。
そして、先に書いた初期IMF崩壊へとなるのです。
次にやって来たのは
「金融の変質」でした。
本来は実体経済のためのものであった金融が、実体経済から離れ、金融面だけでの収益で世界中を席捲していく流れが生み出されたことは、既に何度かみてきました。
金融自由化、対外不均衡拡大、ドルの不安定性、アメリカの対外赤字累増、莫大な余剰資金の供給拡大から展開されたものは何か。
それは、
「投機・投資」です。
デリバティブとヘッジファンドの登場。
そして、
資産の証券化、
続いて証券の証券化などなどが「金融工学」の進歩とも相まって、
それはそれは大きな利益を生み出す構造が出来上がったのです。
が、
が、、、
リスクを常にともなうこの証券化、再証券化はリスクへの危機管理をすることなく膨張拡大していきました。
実体のない金融に依拠した結果、ボロボロと崩れ去ったのが2008年以降なのですが、
では、こうした「虚」に対してどうすればいいのか???
本来ならば金融の公共性、社会的責任をいの一番に行うべきだったのですが、、、
現実には、
国家は徹底的な「金融救済策」をとりました。
アメリカは、
巨大規模で国際協調的資金供給、政府・中央銀行のよる救済策を恒常的に続けています。
例えば、
政策金利引き下げ、
ゼロ金利、
公的資金での不良債権買い取り、、、などなどです。
これは一見、功を奏したように見えたのですが、
が、
現実には内部に火種をはらんだままであることは変りません。
つまり、
実体経済そのものの立て直しを図ることなく投機的金融の立役者を温存、保護しただけでは、と考えられるからです。
実際、FRBの財政内容悪化、実体経済停滞、失業増大などなどが増加の一途を辿ったアメリカです。
根本原因である「投機的金融活動」の見直しを図ることが無い限り、
解決は見えてこないと考えます。
現代資本主義が抱える大きな問題を克服するためには、
「投機的金融活動」から袂を別ち、実体経済へと今一度見直すことではないでしょうか???
なお、過去に書いた記事の一部を掲載しておきます。
お時間がありましたらご覧ください。
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コメント
これも以前かいたのですけど、おかねが人の手をはなれて暴走したのかも???
金交換やめたときから市場原理こえてしまったのではという憶測もあるそうです。
サブプライムの「暴走したおかね」が次にどこにいくのか不安です。
投稿: あゆ | 2009.04.19 12:26
あゆさん。
おはようございます。
「金交換やめたときから市場原理こえてしまったのではという憶測もあるそうです。
サブプライムの「暴走したおかね」が次にどこにいくのか不安です。」
はい。
本当におっしゃるとおりです。
今、国家が行っている措置は、結局「金融」保護なのでは、、、
抜本的な解決ではないのでは、、、
と、私も思います。
金融の社会的責任について、また記事にしたいな、、、と思っていますので、その折はユニークで新鮮なあなたのご意見、楽しみにしています!!!
投稿: せとともこ | 2009.04.20 10:24
こんにちは、せとさん。
最近、組合の機関誌に「愛の反対は無関心」なんて変な名前のコラムを投稿しています。その第9話から16話に、今の不況を引き起こした、「市場原理至上主義」の批判を書きました。とはいうものの、うちの分会の機関誌は不定期発行で、今のペースで発行されると、その原稿が日の目を見るのはずいぶん先になるかも知れませんけどね(笑)。
理解して欲しいのは1980年代までの自由主義先進国の経済政策の基本的な理論は「ケインズ経済学」だったわけです。これは、「市場原理に従いながらも経済の過熱や冷え込みを政府はコントロールする」という考え方に立っていた訳です。ところが1980年代に、シカゴ大学を中心に「ネオリベラリズム(新自由主義)」と呼ばれる理論が台頭して来たわけです。米国ではレーガンがそれを取り入れ、日本でも中曽根政権からその流れに入っていきました。ネオリベラリズムの考え方の基本は「規制緩和(最終的には撤廃)」であり、そこから三本柱と言われる政策が生み出されます。一つは「経済を縛る規制は順次緩和して最終的には撤廃する」「累進課税などの政府による所得再配分機能は経済成長を弱めるので緩和する」「国際的な資本の流動こそ成長の要素であるので、国際的に規制させない」です。
この「規制緩和」の流れは「既得権による不合理の排除」という言い方で、皆さん国民に示されました。皆さんは「熱狂的な支持」をこの政策に対して送られたはずです。マスコミは「既得権による不合理」を見つけ出しては叩き、「規制があるから不合理が起こるのだから緩和すべきだ」と皆さんに示し、皆さんはそれを受け入れたはずです。1990年代には規制緩和に依って起こる問題を取り上げた有識者がかなり居たわけですが、マスコミを中心に「既得権益の擁護者」というレッテルがはられ、皆さんの激しい嫌悪感の中でそういう問題は埋もれ去って言ったわけです。皆さんにとって「壊す」事の方がその後に何が起きるかよりも「楽しい未来」であったわけです。
そういう意味では、金融資本の暴走といいますが、暴走させないようにしていた規制というのを「皆さんが嫌悪して葬り去った」という事をお忘れに成らないで欲しいと思います。
投稿: 技術開発者 | 2009.04.20 10:35
技術開発者 さん。
こんにちは。
コメントありがとうございます。
機関誌に載ったら、私も拝見したいな、、、なんて厚かましくも思っています(*^-^)
さて、
いただいたコメント、とてもよくわかります。
わかるのですが、、、
「そういう意味では、金融資本の暴走といいますが、暴走させないようにしていた規制というのを「皆さんが嫌悪して葬り去った」という事をお忘れに成らないで欲しいと思います。」
と、開発者さんは言われますが、
本来、なすべき「リスク管理」が手薄であったのでは、、、と私は思うのです。
と、言うことで、頂いたコメントから、
今、本来あるべき金融の姿をリスク管理という点で考察してみようと考えていますので、またアドバイスを頂けると嬉しく思います。
投稿: せとともこ | 2009.04.21 10:41