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2009.07.23

文月のふみの日

今日は7月23日で「文月のふみの日」です。

文ですかぁ、、、
この頃、メールと電話で済ますことが多くなり、
手紙を書くことがあまりありませんね、、、
うううう〜〜〜ん。

夫の両親や、私の田舎の母には、
手紙、せめて葉書でも、と思いながらも、つい電話で用事を知らせたりして、、、
本当は、折々のご挨拶なんかを「絵手紙」なんかで送ると、素敵なんでしょうが。


さて、
手紙と言えば、「変しい、変しい」(?)恋文なんかも、この頃は廃れたのでしょうね。

「二つ折りの恋文が花の番地を探している」とルナールは書いていますが、
蝶がウキウキと花を求めて軽やかに飛ぶ様が思い浮かびます。

日本の恋文として、今回は清少納言「枕草子」129段を紹介します。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(一二九段)
頭辨の職にまゐり給ひて、物語などし給ふに、夜いと更けぬ。「明日御物忌なるにこもるべければ、丑になりなば惡しかりなん」とてまゐり給ひぬ。つとめて、藏人所の紙屋紙ひきかさねて、「後のあしたは殘り多かる心地なんする。夜を通して昔物語も聞え明さんとせしを、鷄の聲に催されて」と、いといみじう清げに、裏表に事多く書き給へる、いとめでたし。御返に、「いと夜深く侍りける鷄のこゑは、孟嘗君のにや」ときこえたれば、たちかへり、「孟嘗君の鷄は、函谷關を開きて、三千の客僅にされりといふは、逢阪の關の事なり」とあれば、

 夜をこめて鳥のそらねははかるとも世にあふ阪の關はゆるさじ

心かしこき關守侍るめりと聞ゆ。立ちかへり、

 逢阪は人こえやすき關なればとりも鳴かねどあけてまつとか

とありし文どもを、はじめのは、僧都の君の額をさへつきて取り給ひてき。後々のは御前にて、

 「さて逢阪の歌はよみへされて、返しもせずなりにたる、いとわろし」と笑はせ給ふ。「さてその文は、殿上人皆見てしは」との給へば、實に覺しけりとは、これにてこそ知りぬれ。「めでたき事など人のいひ傳へぬは、かひなき業ぞかし。また見苦しければ、御文はいみじく隱して、人につゆ見せ侍らぬ志のほどをくらぶるに、ひとしうこそは」といへば、「かう物思ひしりていふこそ、なほ人々には似ず思へど、思ひ隈なくあしうしたりなど、例の女のやうにいはんとこそ思ひつるに」とて、いみじう笑ひ給ふ。「こはなぞ、よろこびをこそ聞えめ」などいふ。「まろが文をかくし給ひける、又猶うれしきことなりいかに心憂くつらからまし。今よりもなほ頼み聞えん」などの給ひて、後に經房の中將「頭辨はいみじう譽め給ふとは知りたりや。一日の文のついでに、ありし事など語り給ふ。思ふ人々の譽めらるるは、いみじく嬉しく」など、まめやかにの給ふもをかし。「うれしきことも二つにてこそ。かの譽めたまふなるに、また思ふ人の中に侍りけるを」などいへば、「それはめづらしう、今の事のやうにもよろこび給ふかな」との給ふ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
高校の古文でも出てくる有名な段です。
特に、
「 夜をこめて鳥のそらねははかるとも世にあふ阪の關はゆるさじ」
は、百人一首でも有名です。

ところで、この段は読めば読むほど、
艶やかな男女の情愛と同時に「時間の移り変わり」を楽しむ様が描かれていて、
当時の恋愛が、ゆったりとおおらかであったことがかいま見られます。

と、言うことで、
今日は文月のふみの日。

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コメント

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欧米人には携帯メールは非常時のツール
基本はあって話すこと。

だそうです。
日本語力たかめるにもお手紙書くのいいですね。

投稿: あゆ | 2009.07.24 22:07

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受信: 2009.07.24 08:53

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