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2009.11.18

家族とは何か、憲法24条より その3

その2より続く。

  
さて、こうした家族の変容や意識の変化について、
断固、立ちはだかろうとするのが、自民党が2005年に出した新憲法草案の24条の項です。

第12条 (国民の責務)
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、保持しなければならない。国民は、これを濫用してはならないのであって、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う。

第13条(個人の尊重等)
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

として、
まず国民の義務や個人の尊重について条文は述べます。
これによると、
個人は「公益及び公の秩序」のもと亨受出来るとなり、現憲法の「公共の福祉」よりも公の規定が厳しくなっています。
そして、

第24条(婚姻及び家族に関する基本原則)

① 婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
② 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

としています。
先の二つの条文ともあわせてみると、
これは、「家族」の規定、枠組みのなかに「個人」が配置されています。
発案者は「家制度の復活ではない」と言いますが、
現時点で考えると、家制度、しかもこれは国家にとっての家であることが明らかです。
では憲法改正プロジェクトチーム「論点整理(案)」を見ることで如何に問題が明らかに浮かびあがってくるか見いていきましょう。
これは、平成16年6月10日 自由民主党政務調査会憲法調査会の憲法改正プロジェクトチームの論点整理です。
「3 公共の責務(義務)」を見ましょう。

公共の責務(義務)に関する意見は、次のとおりである。

○ 社会連帯・共助の観点からの「公共的な責務」に関する規定を設けるべきである。

○家族を扶助する義務を設けるべきである。また、国家の責務として家族を保護する規定を設けるべきである。

○国の防衛及び非常事態における国民の協力義務を設けるべきである。「4 見直すべき規定

○上記の2・3とも一部重複するが、現憲法の運用の実態に照らし、権利に関する規定を見直すべきとする意見は、次のとおりである。

○ 政教分離規定(現憲法20条3項)を、わが国の歴史と伝統を踏まえたものにすべきである。

○「公共の福祉」(現憲法12条、13条、22条、29条)を「公共の利益」あるいは「公益」とすべきである。

○婚姻・家族における両性平等の規定(現憲法24条)は、家族や共同体の価値を重視する観点から見直すべきである。

○社会権規定(現憲法25条)において、社会連帯、共助の観点から社会保障制度を支える義務・責務のような規定を置くべきである。」


次に「5 今後の議論の方向性」について。
○この分野における本プロジェクトチーム内の議論の根底にある考え方は、近代憲法が立脚する「個人主義」が戦後のわが国においては正確に理解されず、「利己主義」に変質させられた結果、家族や共同体の破壊につながってしまったのではないか、ということへの懸念である。権利が義務を伴い、自由が責任を伴うことは自明の理であり、われわれとしては、家族・共同体における責務を明確にする方向で、新憲法における規定ぶりを考えていくべきではないか。同時に、科学技術の進歩、少子化・高齢化の進展等の新たな状況に対応した、「新しい人権」についても、積極的に取り込んでいく必要があろう。

○なお、美しい国づくりの観点から、景観を含めた環境保全と私権との調整についても今後の検討課題とする必要があると思われる。また、地方参政権(現憲法93条2項)について明確な規定を置くべきとの意見をふまえ、今後さらに検討を続ける必要がある。」


と、あります。
これは、もう書かなくてもこれを読めば一目瞭然、明らかです。

フゥム。


先の統計で見てきた家族の形態の変化とともに、
今、深刻な社会現象として貧困や介護問題があります。
貧困世帯、そのうちの多くは母子家庭であることは、ユニセフの調査で明らかになりました。
また、介護の問題は老老介護という言葉で表されるように、若者がいない中で家族、しかも年寄りに負担がかかってきています。
国家が保護するのは家族の生活や福祉ではありません。
家族の枠組み、構成について保護するということです。
これらは、すべて「家族の問題」と言うことで家族の責任へと押し付けようとしているのが、改憲案条文であることはしっかりと見ておく必要があります。
これについては坂本洋子さんが分かりやすく纏めていらっしゃいます。
と、言うことで「家族の扶助」について次に現行民法をみていきます。
扶養をみると、
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
第877条

1. 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2. 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3. 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
とあります。

先の論点整理では、「家族間の責務」として児童、成人した子ども、老親の扶養が責務として規定されてきます。
その中には坂本さんのサイトにもあったように「女性の役割」としての大きな期待が込められています。
勿論、人として、つまり人の子として、親として、
我が子や我が親を扶養することは吝かではありません。
が、
それは、社会保障や福祉の分野まで押し付けられ負担を負わせようとしている改憲案の精神とは、まったく違うものであることは確かです!!!

男女の身体的な違いは確かにあります。
決定的な違いは生殖です。
女性は妊娠、出産という特性があります。
が、これは男女の区別と言うことで、
その後の人生の選択に対して決定的な差ではありません。
「両性の本質的な平等」とは「人格としての平等」です!!!
これは何も従来の「古き良き家族」を崩壊することではありません。
むしろ、
男性が男性として、女性が女性として、
個人、人格が認められ、保障されることで、
新しい家族関係や社会が生まれることを見通して、
私は「男女平等」を願うものです。

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