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2009.12.03

金融の社会的責任

先のドバイショックを受けて、次に金融の社会的責任について考察を加えます。
持続可能な社会実現へ金融機関が果たす役割と言う記事を三井住友フィナンシャルグループが挙げています。
またみずほ銀行などもそれぞれに企業の役割を謳っています。
さらに鳥取大学の藤田安一さんや高知大学の紀国正典さんなどの研究もあります。
今回は藤田さんのpdf資料と紀国さんのpdf資料「国際的責任金融」や「金融の公共性と社会的責任金融・国際的責任金融」と言う論文を読みながら論を進めていきます。

まず、金融の公共性とはなにか?
「金融機関の公共性については,従来から2つの概念をもつとみなされてきた。
第1は,預 金者の保護や信用秩序の維持を図るという静態的にとらえられた公共性であり,第2に,資金配分
面等の適切な発揮をはかるという,いわば動態的,積極的にとらえられた公共性である 。
以上2つ の概念は,社会の発展に照応しており,従来,預金者保護と信用秩序の維持を中心としていた銀行
の公共性の内容に加えて,現在では,資金配分の適性・円滑化と公正取引の確保という機会均等に
関連した新しい公共性が,その内容として要求されるようになっている」
と藤田さんは定義します。
静的公共性と動的公共性と言うことです。
一方、
紀国さんは「どのようにも使える万能道具である貨幣を、どのような状況にあるどのような人でもすべての人がその利用から持続的な利益と満足を得られ、同時に社会や国際社会の持続的発展に寄与できるようにその利用をコントロールすること」と定義します。
なるほど。
こうした金融の社会的責任が問題になった歴史は、
1960年代半ばから。
そして、石油ショックによる高度経済成長の終焉。
となるわけです。
その歴史をひも解くと、よく分かります!
さて、
本来ならば安定で持続可能な発展を保障するため、いよいよ金融リスク管理が不可欠となります。
国民レベルとして、また国際レベルとしてのリスク管理が求められます。
紀国さんの論文をみると、
================
貸手責任論(Lender Liabillity),社会的責任投資論(SRI:Socially Responsible
Investment),企業の社会的責任論(CSR: Corporate Social Responsibility),金融機関の社
会的責任論(金融CSR)などの金融責任思想を,わたしは社会的責任金融(SRF: Socially
Responsible Finance)と総称した1)。金融の国際化,グローバル化が進んでいけば,これら
の社会的責任金融は,国際的責任金融(IRF: Internationally Responsible Finance)へと発展
していかなければならないし,実際にそのように進展している。
=================
とあります。
つまり、
金融は今や一国の問題でなく世界の問題であることは周知の事実です。
紀国さんのpdf論文はとても分かりやすいので、興味のある方は是非ご覧ください。

と、言うことで、
次は基軸通貨国アメリカの責任を言及していくことは逃れられません。
世界の金融機関、潜在損失305兆円 IMFが報告書と言うニュースが今年9月末に出ました。
それによると、以下の通りです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
国際通貨基金(IMF)は30日、世界の金融機関は合計で3.4兆ドル(約305兆円)の潜在的な損失を抱えているとの推計を発表した。金融市場の持ち直しで、4月時点の推計より6千億ドル少なくなった。しかし、決算上の損失処理は必要額の半分弱しか進んでおらず「全体のリスクは依然として高い」と警告している。
IMFが10月版の「金融安定性報告書(GFSR)」で、明らかにした。3.4兆ドルとの推計値は07年から10年までに世界全体で見込まれる損失額。IMFはこのうち計2.8兆ドルの評価損計上が必要になると指摘。しかし、09年半ばまでに評価損を計上した額は約1.3兆ドルにとどまっているという。米国では必要額の約6割を計上しているが、英国とユーロ圏は約4割にとどまっているとも指摘した。
(上記ニュースより)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
これは、投機的利益や監督局のリスク管理の不備など人為的なものと紀国さんは指摘します。
と、言うことで、
ヘッジファンドについて次は見ます。
=================
「ヘッジファンド(hedge fund)の正確な定義は難しいが、公募によって一般から広く小口の資金を集めて大規模なファンドを形成することを目指す通常の投資信託と異なり、通常は私募によって機関投資家や富裕層等から私的に大規模な資金を集め、金融派生商品等を活用した様々な手法で運用するファンドのことを指す。代替投資の一つ。」です。
ヘッジファンドはその投資戦略にもよるが、空売りを積極的に利用するものや、金融派生商品へ投資するものも多い。公募の投資信託は機関投資家のみならず、投資に明るくない個人も投資していることから、投資家保護のため、公募型投資信託の運用には様々な法規制がなされており、多くの国では空売りや金融派生商品への投資等に制限がかけられている。このため、多くのヘッジファンドは、公募ではなく私募形式を採用している。
ほとんどのヘッジファンドは絶対的収益の追求を目標としている。「絶対的収益の追求」とは、投資信託等の伝統的な運用形態のほとんどが、TOPIXやS&P 500等のベンチマークを上回る運用成績を目標としているのに対する言葉である。例えば、不況期の下げ相場の環境では、伝統的資産運用ではマイナス20%の運用実績でも、同じ期間のベンチマークのパフォーマンスがマイナス25%であれば5%ベンチマークをアウトパフォームしたと言い、マイナスの運用実績でも「良好」な運用成績とされる。こうした伝統的な運用形態のパフォーマンス計測に対し、ヘッジファンドは究極的には、不況等のいかなる環境下でもプラスの運用実績を目指すことを目標としている。
また、一部ではケイマン諸島やブリティッシュバージン諸島等のいわゆるオフショア地域に書類上の本籍を置く一方、運用担当者は東京、ニューヨーク、香港、ロンドン等の金融センターにいることがある(米国のヘッジファンドはニューヨーク近郊のコネチカット州グリニッジにも相当の集積が見られる)。その理由としては法規制が厳しくない地域での運用を求める場合もあるが、実際には海外の投資家向けにアクセスを提供することを目的としているケースが多い(ヘッジファンドに限らず一般の投資信託においても、オフショア地域にファンドの籍を置くケースは多い)。これは海外の投資家からみた場合、オフショア以外の地域に籍をおくファンドではファンド自体で課される税金に加え、投資家の居住国でも課税され、かつ控除が認められない場合が多く、海外の投資家にとっては二重課税となってしまい税務上不利となるためである。ちなみにアメリカのヘッジファンドの大半は、アメリカに籍を置きアメリカで運用をし、かつアメリカの投資家のみにアクセスを提供している。
(Wikipediaより)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ううううう===む。

ううむ。

唸ります。
さらに、
Collateralized Debt Obligationへと、
ますます磨きがかかる(?)金融商品です。
==============
債務担保証券(Collateralized Debt Obligation)は、金銭債権で構成される資産を担保として発行される証券(資産担保証券、ABS)であり、証券化における商品の一つである。
CDOは、証券化商品として、優先劣後構造を持っていることを特徴とする。CDO全体から、シニア債(受益権)、メザニン債(受益権)、劣後債(受益権)と言った形でトランシェ(tranche) 毎に分かれた債券、受益権に分割し、売り出されるのが一般的である。優先劣後構造は、CDOを構成するアセットにデフォルトやクレジットイベント等が発生した際に元本が優先的に確保される順位を設定しているものであり、シニアから順番に優先的に元本が確保される。つまり劣後部分についてはかなりのリスク断崖リスクがあるため、利回りも高い。 シニア部分やメザニン部分には高格付けが付与されることが一般的であり、機関投資家の投資対象となっている。
(Wikipediaより)
================


うううううう====ん。
もうついていけなくなりました。
跳梁跋扈ですね。

これらがいずれ「くず証券」となり世界金融危機を招いたことは周知の通りですが、
なぜ、ここに至るまでに対策を講じることが出来なかったのかと素朴な疑問がおきます。
なぜでしょう???
なぜでしょう???

見てみぬふりをしてきたとして戦犯扱いされているのはグリーンスパン元議長
「米国金融市場全体のリスクヘッジに対するデリバティブ予測としては、その人為的ミスへの警告が当時のグリーンスパンより出され、強調されていた。」
と。
尤もこの一人の責任でないことは言わずもがなですが。

今、アメリカの時の政権はオバマ政権。
その手腕が注目されるときです、、、
歴史を辿ればたどるほどに明るみになる新自由主義の緊急規制緩和がもたらした経済危機。
その大転換を図る時期がきていることを、私たち全てが肌で感じています。
その時、拠り所となるのは、
一部の金持ちや投機家が資本を握るのではなく、金融の公共性に基づき、だれでもが持続的にの利益を得るという考えだと、
改めて思うものです。

この問題、さらに見ていきます。


Financial policy Risk management
When we think of financial policy, we have to give careful consideration to a risk management.
That’s about peace and environment and human rights and the local community so on.
From these points of view we have to overlook a large of problems.
Thank you.

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コメント

四の五の云っても理工系の学者が金融工学なるものを構築し金融企業が社会に広め拠り安全な投資術?が普及したまでは良かったが人間の強欲の制御までは計算出来なかった事が今回の金融危機を招いたものと思います。
学者本人が危惧しながらも止める事が出来なかったと云っているように強欲の制御は不可能に近く難しいものです。
強欲の制御ラインを何処に引くかは政治の問題に為って来ますが、そこまでの監視体制が政治によって行なえるかどうかは疑問が残ります。かと言って市場に任せっぱなしでは同じ事の繰り返しです。
信用評価さえも嘘で塗り固められた世界金融市場の信用再生は傷口を如何に誤魔化すかに偏向していますから二番底どころか何番底も待ち構えているように思います。
>一部の金持ちや投機家が資本を握るのではなく、金融の公共性に基づき、だれでもが持続的にの利益を得るという考えだと、
改めて思うものです。<
投資と云うのは博打と一緒ですからプラスが在ればマイナスも必ず存在します‥誰もがプラスばかりに為ることは考えられません。詰まる処は自己責任だと思います。
人間の強欲を如何に制御するかが金融だけでなく世界の諸問題の秩序維持の基本だと思います。が生命活動の性ですから永遠のテーマでしょう。

投稿: | 2009.12.03 13:36

よさん。
こんにちは。
お元気でしたか???
そちらは、寒くないでしょうか?
私の住んでいるところは、今日は雨。
いよいよ持病でウエンウエンと泣いています(;ω;)
でも、
気持ちは元気です、、、
実は「から元気」
ははは(^-^;


さて、
私も全く同感です。
結局、金融工学とかとか、、、
の計算の上で躍らされ、
さらにさらに膨れ上がった結果なのでしょうね。
この先も上海ショックあり。
とかとか危惧されていますが、果たしてどうなのでしょう。
いずれにしても実体経済の無いまま進んだツケは大きいですね。
そして、
このツケ、いつでも負うのは庶民なんですよねぇ、、、
マッタク(`ε´)


「人間の強欲を如何に制御するかが金融だけでなく世界の諸問題の秩序維持の基本だと思います。が生命活動の性ですから永遠のテーマでしょう。」

そうですね。
深遠なテーマです。

この問題もまた書くことができたらいいな、、、と思います。
ところで、
よさんの夫婦別姓エントリー充実していますね。
参考にさせていただいています。


投稿: せとともこ | 2009.12.03 14:10

こんにちは、よさん。

>四の五の云っても理工系の学者が金融工学なるものを構築し金融企業が社会に広め拠り安全な投資術?が普及したまでは良かったが人間の強欲の制御までは計算出来なかった事が今回の金融危機を招いたものと思います。

一応、工学系の名誉のために言うと、金融工学というのを考え出したのは、工学系という意味で理系では無くて経済学という文系の人たちなのね(笑)。そういう意味では、「工学ででないのに工学の様に思われてしまうもの」という定義でニセ工学批判でもしなきゃ行けないのかもしれない(笑)。使われている統計計算を作り上げたのは数学という理系の学問だけどね。

なんていうかな、ちゃんとした工学という世界が人間と接点を持つときは、徹底して「人が悪く」なるという面があるのね。例えば「安全工学」とかね。「たとえ、きちんした奴がきちんとした道具立てで、時間にせかされずやっても、いずれミスはするだろう」なんて考えてフェイルセーフを作るのが安全工学なんです。そういう意味では「金融工学」のような人間に対する甘さは、まともな工学が人間との接点を構築するときにはあり得ないと言ってよいくらいです。

私が昔作ったプログラムなんてね、「人は間違うもの」と信じ込んで作るから、「本当にやって良いのね」と何度も問い返してくるプログラムで使う人からとても評判のわるいものでしたよ(笑)。

投稿: 技術開発者 | 2009.12.03 14:46

工学の名誉を守ったついでにもう少しコメントね。

私の立場はとても難しくて、仕事こそ工学だけど、経済学についてもずいぶんやるのでね。「経済学の馬鹿野郎」と言ってかたづける訳にもいかないのですよ。経済学の名誉も多少は守らないとね。

なんていうかな、私は分析化学の専門だけど私と年代の近い人たちの中には「公害問題」で化学(分析化学)の研究者を志した人も多いのね。或る意味ですごくカルチャーショックを受けた人たちなんですね。少年時代を科学技術のバラ色の未来論で過ごして、思春期くらいに公害問題がとても大きくなって、「科学というのは人間にとって善か悪か」みたいなハムレットをやってね。そしてその中から、「科学が起こした問題は科学で片をつけなくちゃ」なんて化学者になっちゃってる。

そういう意味では、新自由主義経済学とかそこから派生した金融工学とかで経済学に絶望を覚えたような若い人から「経済学で起こした問題は経済学で片をつけてやる」なんて人が現れたら良いななんて思ったりするんです。そういう人にお勧めなのが、アマルティア・センなんかの「厚生経済学」なんだけどね。

投稿: 技術開発者 | 2009.12.03 15:21

せとさん。今晩は。
高度に発達した現代の資本主義は、もう限界に達したのではないでしょうか。内部矛盾が飽和に達しているのではないでしょうか。この辺で、経済史、経済原論、経済学説史なども通じて現実の資本主義を吟味してみる必要があるように思います。世界的にもこのような潮流が噴出、流れになって来ました。大変だけれど、面白い時代になって来ましたね。

投稿: hamham | 2009.12.05 20:15

技術開発者さん。
Hamhamさん。
こんにちは。
コメントありがとうございました。
バタバタしていてお返事遅くなりごめんなさい。


技術開発者さん>
いろいろ経験に照らしてお教えいただきありがとうございます。
「厚生経済学」。
以前も伺いましたね、また機会をみつけ、読んでみますね。
Looperさんへのお返事も書いたのですが、
今から大忙しになるので、チョット時間がかかると思いますが、記事に書くことができたら、またご教示お願いいたします。

hamhamさん>
本当に、面白い時代かもしれませんね。
ダイナミックに動いているのか、
あるいは足踏み、止まっているのか???
さてさて。
しっかり注目です!!!

投稿: せとともこ | 2009.12.07 10:21

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