「武器輸出三原則」の「見直し」 その後
「武器輸出三原則」についての動きが活発化してきました、、、
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民主党の外交・安全保障調査会(中川正春会長)は22日、国会内で役員会を開き、すべての国への武器輸出を禁ずる「武器輸出三原則」を見直す方向で検討することを決めた。三原則の問題点や見直しのあり方などについて、11月中に提言をまとめ政府に提出する。
三原則は、兵器の共同開発の必要性などから北沢俊美防衛相が見直しを提起、政府が年内改定予定の「防衛計画の大綱」(防衛大綱)の焦点となっている。
(上記記事より)
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フゥウウウム。
これについては私はこの19日にも「武器輸出三原則」の「見直し」???と言うタイトルで危惧を表明したのですが、いよいよ具体的に進むようです。
この見直しについては自民党も大いに賛成しているようですが、、、
私もテレビ中継で見ていたのですが、今月14日の参院予算委員会で猪口さんが三原則見直しを迫り、菅直人首相から「しっかりとやっていきたい」との答弁を引き出していました。
が、
が、
この猪口さんさえ「自民党時代よりも前のめりかな、、、」と言われたことが中日春秋と言う中日新聞のコラムに載っていました。
フゥウウウム。
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国連の軍縮大使だった猪口邦子参院議員は七年前、小銃や携帯ミサイルなどの小型武器を規制する国連の会合の議長を務め、非合法の武器の拡散防止を目指す最終報告を全会一致で採択した
「困難な局面を乗り越えられたのは、三原則を持つ日本が議長国だったから」と猪口さんは語っていた。三原則を自らに課す日本は世界の軍縮をリードする資格がある。それを捨てることが「国益」にかなうとは思えない。
(上記コラムより)
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ウウウウム。
菅さん、一体どうしたのか???
その背景というか、きっかけは、新防衛計画大綱の策定に向けて設置された総理の私的諮問機関「新たな時代における日本の安全保障と防衛力に関する懇談会」。
pdfで見る事ができますので興味のある方は是非ご覧ください。
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第二章 防衛力のあり方
第1節 基本的考え方
近年の軍事科学技術の発展、事態生起までの猶予期間の短縮化等によって防衛力の
特性が変化し、日本の防衛のためには、従来の装備や部隊の量・規模に着目した「静
的抑止」に対し、平素から警戒監視や領空侵犯対処を含む適時・適切な運用を行い、
高い部隊運用能力を明示することによる「動的抑止」の重要性が高まっている。今日
では、基盤的防衛力構想から脱却し、多様な事態が同時・複合的に生起する「複合事
態」も想定して踏み込んだ防衛体制の改編を実現することが必要な段階に来ている。
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と、あり、「日本だけが武器輸出を禁じることが世界平和に貢献するという考えは一面的」としています。
そして、日本の軍需企業が武器の「国際共同開発・生産」に参入できるように「原則輸出を可能とすべき」だと縷々述べられています。
私はこれを読みながら、どこの政党が作ったのかと目を点にして読みました。
どの項目も自民党のそれと良く似ている、、、
「新たな時代における日本の安全保障と防衛力の将来構想
―「平和創造国家」を目指して― 」と言うタイトルで日本の安全保障および防衛戦略を提示しています。
さらに読み進むと今回のエントリーテーマが出てきます。
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②国際共同開発・共同生産の活用
日本ではこれまで、ごく一部の例外を除き、防衛装備品の調達については、国産か
輸入か、どちらかの選択肢しかなかった。その一方、防衛産業をめぐる世界的潮流に
目を転じれば、諸外国においては防衛産業の再編と巨大化が進み、装備品の国際共同
開発・生産も一般的となっている。
しかし、日本は、武器輸出三原則等に基づく事実上の武器禁輸政策によって、国内
防衛産業としてもこうした流れに乗ることができず、実際、日本は、米国以外の友好
国との国際共同開発・生産、あるいは国と国の間の国際共同開発に至る前の民間レベ
ルの先行的な共同技術開発等への参画すら検討できないでいる。そのため、国内防衛
産業は、最先端技術にアクセスできず、国際的な技術革新の流れから取り残されるリ
スクにさらされている。
日本はこれまで日米の共同開発・共同生産等を武器輸出三原則等の例外として認め
てきた。しかし、日本の安全保障における防衛生産・技術基盤の重要性に鑑みれば、
武器輸出三原則等の下での武器禁輸政策については、見直すことが必要である。
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この見直しにはもちろん、アメリカと財界の強い要望があります。
武器輸出の問題を抑止力と考えている方がいるかもしれませんが、それは抑止力を越え、積極的に軍拡に関わっていくものであることがわかります。
10月8日に行われた第47回日米財界人会議(日本側議長・米倉弘昌日本経団連会長)で、軍需企業の「国際共同研究開発」への参加のため三原則見直しを求めることも提起された共同声明を採択しています。
さて、8月の懇談会の具体的に「国際共同開発」となるのは、航空自衛隊への導入を検討しているF35戦闘機の国際共同開発に日本が参画することや、日米が共同開発中の弾道ミサイル迎撃用ミサイルSM3ブロックIIAの第三国供与を可能にすることです。
フウウウム。
軍需産業大いに活躍。
と、いうことになりそうです。
守屋さんが世間で話題になった頃国防賊???と言うタイトルでエントリーを挙げたのですが、その時、軍需産業との癒着について書いたことがあります。
これをもう一度読み返すと、改めて民主党って自民党と変わりませんね、、、
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自民党、民主党、公明党の超党派で出来ていました。
民主党は誰でもが想像するとおり前原さんが入っています。
石破茂防衛相ほか防衛相(防衛庁長官)経験者がなんと7人、
防衛副大臣(副長官)経験者4人。
設立時から継続しているメンバーは、瓦会長のほか久間章生元防衛相、額賀福志郎財務相(元防衛庁長官)と、公明党の赤松正雄、佐藤茂樹両衆院議員です。
また福田さんも2月の会合で退会が確認されるまで理事メンバーでした。
さらに民主党の岡田克也元代表も発足当初の一時期、理事でした。
この議員協の事務局を担当するのは秋山直紀氏。
秋山、、、と言われてもすぐにはピーンときません。
では、以下のように述べればすぐにピーンと来ます。
さきの参院外交防衛委で証人喚問された守屋武昌前防衛事務次官が、久間元防衛相、元山田洋行専務の宮崎元伸容疑者との宴会に同席したと証言した人物。
ねぇ。
分かりやすい構図でしょう。
そもそもこの安保議員協は1999年設立。
「ガイドライン(日米軍事協力指針)新法案も本国会で成立し日米安全保障関係については、さらなる信頼関係をふかめていかなければなりません」と設立趣意部で述べ、
新段階の日米軍事同盟に対応する活動を展開する目的をかかげました。
安保議員協が果たした役割を思うと背筋が寒くなります。
実に2003年から日米軍需産業の支援をうけて、日米同盟が要請する軍事戦略の議論と新型兵器の説明・展示・商談を同時並行で行う日米安保戦略会議(年2回日米で相互開催)を主催してきたのです。
さらに決定的に黒いのは、軍需産業との癒着です。
安保議員協の主要メンバーは、日米安保戦略会議を共催する社団法人・日米平和・文化交流協会の理事を兼務。
一方、同協会理事には三菱重工や山田洋行などの軍需企業首脳やコーエン元米国防長官なども就任。
(以前の記事より)
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なかなか奥は深そうです。
今は亡きとほほさんのエントリーが日本の軍需産業について詳しく述べられています。
いずれにしても、日本で自前の武器を作ろうと言う背景には軍需産業があります。
そしてその背景にはアメリカがあります。以前、宇宙基本法についてMD防衛とともに書いた事があるのですが、今回の武器輸出見直しの根幹も同じだと思うのでもう一度おさらい。
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一つはアメリカ主導のMD計画に参加協力するというもの。もう一つは宇宙の軍事利用それ自体を解禁しようとするもの。
これは一見良い方向に向かっているのではと思いますが実はそうではありません。
この動きを推進している人たちの思惑は自前の軍事力を宇宙にも拡大していこうというものなのです。
理由として挙げているのは北朝鮮からのミサイル・核攻撃に対しての防衛です。
日本人の命と暮らしを守る。
純防衛である。
周辺国に脅威は与えない。
費用対効果もある。
日本で自前の宇宙政策を行うことは経済政策の観点からも是である。
などを挙げています。
しかし、この自前宇宙産業の背景にはアメリカの新型戦争構想があるのです。
NCW。
ネットワーク中心型戦争といいます。
第二次大戦後、国連主導で各国はお互いの国家の平和と安寧を守っていくことを取り決めました。
領土拡大や植民地、また賠償金などの帝国主義的な振る舞いを禁じられたのです。
しばらくは、その流れに沿っていたのですが、どうにもこうにも我慢できない、またむき出しの帝国主義で領土拡大、いやひたすら儲けたいという国がありました。
そう、アメリカです。
と、言うかアメリカの一部の勢力です。
彼らは中東の石油資源や中央アジアの天然ガス資源、また中国やインドの経済成長に目をつけました。
そんな中、9/11事件が起きました。
恰好の口実を見つけた彼ら勢力は「テロの脅威」を錦の御旗に19世紀的軍事ドクトリンを復活。
宇宙は再びスポットがあたります。
偵察衛星、ミサイル発射探知衛星、軍事通信衛星。
さらに冷戦の遺産である宇宙空間とサイバー空間への圧倒的な支配をバックに、兵器システムを宇宙に移行。宇宙をベースに情報ネットワークを構築。
攻撃機能と防御機能を統合。
新しいスタイルのネットワーク中心型戦争(NCW)への準備は着実に進んでいます。
実際、イラク戦争はNCWの絶好の実験でした。
私たちはまるでテレビゲームを見ているように湾岸戦争を見ていたのですが、
さらに、威力は強くなりました。
全米戦略軍の新しい任務と使命は、ますます宇宙へと伸びていくわけです。
ならず者国家とテロ組織に対しては、いつでも電撃的に攻撃をかける。
核大国に対しては抑止力。
ミサイル防衛。
などなど明確な使命と任務をもって宇宙への覇権を活用している国、アメリカ。
このNCW構想を横から、後ろから、また全面からバックアップするのは日本であることは言うまでもありません。
日本人の命や暮しを守るなんて毛ほども思ってはいません。
MDの第一義的目的は「NCWシステムの防衛」です。
実際、前安倍総理は「集団自衛権の見直し」という事でアメリカの要求を全面的に受け入れる方針でした。
MDが配備されれば、宇宙は戦場になる可能性はグーーンと高くなります。
戦争のためだけに科学技術が開発され、膨大な費用があてがわれ、
結果、宇宙に膨大な汚染物質がまき散らされるだけなのです。
(上記記事より)
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なお、あの大前さんが「新・武器輸出三原則」はいま必要なのかと言うコラムを書かれています。
そこで大前さんはやはり軍需産業の要請を受け入れる現内閣への危惧を表明されています。
大前さんとは意見の違う事もままあるのですが、これに対しては私もそうだと思いました。
今、世界は軍縮の方向に行こうとしています。
対話と納得でお互いにお互いの立場を理解することこそが平和への確かな一歩であることを確認しあいながら、
進もうとしています。
そんな世界の動きに逆行する今回の見直し案、これは異議をとなえるため大きく声を挙げていくつもりです!!!
と、言うことで今後も注目です!!!
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