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2011.09.09

冲方丁「天地明察」を読んで

冲方 丁さんの天地明察 を読み終えました。
ウウウウムと唸りながら読み進み、
いつの間にか夢中になりました。

天地明察。
まさに「明察」でした!!!

さて、内容は上記のアマゾンのリンクをご覧いただければ書いてありますが以下の通り。
============
江戸時代、前代未聞のベンチャー事業に生涯を賭けた男がいた。ミッションは「日本独自の暦」を作ること—。碁打ちにして数学者・渋川春海の二十年にわたる奮闘・挫折・喜び、そして恋!早くも読書界沸騰!俊英にして鬼才がおくる新潮流歴史ロマン。
============
また、リンク先には作者の冲方丁さんの「執筆のアレコレ」についての動画も見る事ができます。
この動画によれば、冲方さんは、作中主人公「渋川春海」に出会ったのは16歳の頃。
宿題のリポートに選んだ人物という事だそうですが、
これはこれで凄いな、、、
普通、渋川春海さんという地味な人を選ぶかな???
やはり栴檀は双葉より芳しいの例え通りなんだな、、と一人で感心。

作者は、この本から「人間はどんなに挫折しても立ち上がるものだ」というエネルギーを感じて、書き綴ったと述懐していますが、
確かに主人公渋川春海には、行く手にいろんな壁が立ちふさがって来ます。
そして、その都度、人間らしく悩み、落ち込み、うち震えながら、進んでいくところに、
等身大の人間を感じる事ができました。

また、冲方さんは「暦」に対しても日本人独特の自然観、宗教観を絡めながら、いかに私たちが無意識に「暦」を受け入れているかを動画で話していました。
今まで「暦」について、深く考えたこともなく、当たり前のように日めくり、カレンダーを見ていた私ですが、
実はこの「暦」がいかに先人たちの知恵と熱意の賜物であったことかと、改めて感動しています。
季節を感じる一つとして「月」を、
また癒しとして星を愛でる。
そんな趣きには、少しでも敏感でいたいと願っている私だったのですが、
その基になる「暦」については、あまりに無関心だったと思いました、、、
さらにさらに、
その自然をはかる術の一つとしての算法。
しかも和算について、本当に知る事の少ない私です。
算法と言えば以前「算法少女」という本を読んで、感想を書きました。
その感想で次のように書いています。
==============
実に素直に伸び伸びと書かれているのですね、全体が。
算数好きの少女の物語と言えば、そうなのですが、
それ以上に人への思いやりとか、学問への真摯な情熱が描かれている本です。
読み終えた後の爽やかな読後感、たまりません。
===============


この感想、まるで「天地明察」を読み終えたときと同じです。

実際、天地明察も「暦」つくりという縦糸と、
人の関わりと言う横糸で紡がれています。

自然の前に人は無力であるが、
それでも、人は科学という知恵で自然に関わって行くのですね、、、


まだ読まれていない方は是非、読んでみて下さい。
おすすめです。

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コメント

はじめまして。

最近、『天地明察』を読んだのですが・・・。
天文学の初歩レベルの間違いだらけだと思いました。
また歴史学から見ても間違いが多いし。
アマゾンの感想を読むと、囲碁や和算でも間違いが指摘されています。

『天地明察』はあくまで娯楽小説であって、TVドラマ『水戸黄門』と同じレベルと考えた方がいいと思いました。
『天地明察』には水戸光圀が出てきますし、現在の冲方丁さんの連載は、水戸光圀が主人公です。

投稿: おおくぼ | 2011.09.11 03:58

おおくぼさん。
はじめまして。
コメントありがとうございました。

天地明察、確かにおっしゃるように歴史的な視点からみると間違いだらけかもしれません。
私は大河ドラマをみているような気持ちでフィクションを楽しみながら読みました。
「人」の生き方として、学ぶ事が多い本でした。
冲方さんの本では以前マルドゥック・スクランブルを読んだのですが、途中でやめてしまいました。
もう一回、挑戦しようと今、手元においています。

と、言う事で、また何かありましたらお教え下さい。
では。

投稿: せとともこ | 2011.09.12 18:24

私は『天地明察』の娯楽小説としての魅力を否定したいわけではありません。
来年の秋に『天地明察』が映画化されるそうですが、配役が岡田准一さんと宮崎あおいさんなので期待しています。

娯楽小説がどこまで科学的な根拠が必要か?という論争は、円城塔さんの芥川賞候補の作品でもありました。
参考 『文藝春秋 9月号』

江戸時代の天文学については・・・

『江戸の天文学者 星空を翔ける  幕府天文方、渋川春海から伊能忠敬まで‐ (知りたい!サイエンス) 』(技術評論社)中村士:著
『月のえくぼ(クレーター)を見た男 麻田剛立 (くもんの児童文学) 』鹿毛敏夫:著
『星空に魅せられた男 間重富 くもんの児童文学) 』鳴海風:著・・・があります。どれも写真が多くてわかりやすい本です。

和算を題材に扱った小説を紹介した本としては、鳴海風さんの『和算小説のたのしみ (岩波科学ライブラリー) 』があります。
鳴海風さんは、渋川春海を主人公にした短編があります。
また関孝和を主人公にした小説『算聖伝―関孝和の生涯』(現在は絶版)に、渋川春海が登場します。

渋川春海は8百年ぶりに改暦をした日本人ですが、その頃の日本には地動説は入ってきていなくて、日本人が地動説を知るのは百年後になります。
江戸時代は改暦を何度かしていますが、太陽暦に変わったのは明治になってからです。
明治の改暦は、旧暦に慣れしたんだ人達をひどく混乱させたそうです。

投稿: おおくぼ | 2011.09.13 07:44

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