宮部みゆき「あっかんべえ」と「おそろし」を読んで
読後の感想は面白かった!です。
早速、つぎの宮部みゆきを読もうと探したくらい、
面白かったです。
まぁ、面白いという感想で果たしていいのか、と言えば、
違うかなという気もするのですが。。。
もっと自分の感想を分析するなら、
「切なかった」「悲しかった」「愛おしく感じた」などなどの模様が表れては、そこに止まらず浮遊している感じなので、最後のまとめの感想が「面白かった」という一言にしたというのが本当です。
とくに個人的には、ラスボスという立ち位置のお寺の住職が亡者として主人公おりんの前に立ちはだかるあたりから、
鳥肌がたつくらい興奮しました。
あまりに怖くて、あまりに悲しくて、あまりに切なくて。
亡者となり怨念のこの世に残しながら、新たな罪を重ね、仏に問うその住職の怨霊が凄まじく飢えている様がビンビンと伝わってくるのです。
この怨霊がもつ苦しみは実はみんなが持っているものではなかろうか、誰が「非」とうちすてることができるだろうか、と思いました。
そして、最後のシーンはすべての蒙が払われていく様が丁寧に描かれていて、私自身もその場に立ちすくみ、ことの成り行きを見守っているような臨場溢れ、迫力ある筆致で、作者宮部みゆきの力量を感じ入ったものです。。。
本当に胸に深く染み入る本でした!!!
この作者に興味をもったので、つぎに手に取ったのが、この本です。
タイトルが「おそろし」なんていうから、はじめはコワゴワと読み始めました。というのも私はホラーは苦手だから。
が、読み進むうちに主人公おちかの優しさと、まわりのひとびとの深く沈みきっている憂が「おそろし」であることに気がつきました。
だれも悪くない。
みんなが己の正義に誠実に生きようとするのだが、
その正義をまげ、抑え、押し殺すところにキシキシと生じるひずみが、やがて罪となり科となる。
だれでもが陥るその闇がこわい。
が、その心の闇から逃げようとすれば暗黒はさらに追っかけてくる。
なら、その業とも言える闇に誠実に向き合うことしか己が己として生きて行く道はない、、、
と、いうことを教えてくれました。
なかなかに辛い本でもあります。
自分を救うのは自分なのだけれど、
助けて励ましてくれるのは周りの人たちの愛情なのです。それを感謝しながら、ふんわりと受け止めることこそが、自分を救うことなんだよ、と作者は語りかけてくれます。
重く苦しい本でしたが、示唆に富む良い本でした!!!
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